税理士ジンノユーイチが教える! 合格可能性を高める“残り3ヵ月”の使い方


税理士 ジンノユーイチ(神野裕一)

【編集部から】

今日は5月2日、ちょうど令和4年度税理士試験まで3ヵ月です。

受験生の皆さんにとっては、本番を間近に感じてギアが一層上がるとともに、いよいよ焦りを感じる時期でもあると思います。

そこで、そんな不安をやわらげることができるよう、合格可能性を高める「残り3ヵ月の使い方」と題して、税理士のジンノユーイチ(神野裕一)先生にアドバイスをいただきました。

こんにちは、税理士のジンノです。
先日、「『合格』をつかみとるゴールデンウィークの過ごし方」という記事を書きましたが、予定通りに勉強時間は確保できているでしょうか?
 
税理士試験のスケジュールも発表され、残り3ヵ月となりました。ここからは、私自身が受験生時代にやっていたこと、心構えをお伝えします。

今日から本試験までの心構え

基礎期が終わり、応用期が始まります。基礎項目の復習に加え、今まで見たことがない問題を解く機会も増えていくので、より本番を想定した勉強が必要です。

まずは、本試験では時間が足りなくなることが想定されるので、時間配分を決めておきましょう。

私の場合、最終的に法人税法は理論問題45分、計算問題75分、相続税法は理論問題50分、計算問題70分を目安に設定していました。

自分が受験する科目の時間配分をあらかじめ決めておき、それを意識しながら問題に取り組みましょう。

また、本試験での心構えとして、「解けない問題はいったん飛ばして解ける問題から解く」ということが言われます。でも、そもそも解いてみないと自分が解けるかどうかわからないよな、と私は思っていました。

ですので、これからは、解けるかどうかを判断する精度を上げていくことが求められます。

ここから応用問題を解いていくなかで、ある程度の演習量が確保できれば、「見たことのある問題」が増えていきます。

この「見たことのある問題」を解けるようにしておくことが大事で、その積み重ねによって「見たことがないから後回しにする問題」を見つける精度を上げることができます。

「見たことのない問題」は難易度の高い可能性があり、「ひとまず飛ばしていい」という判断が必要です。

逆に言うと、「見たことのある問題」は確実に解けるようにしておきましょう。

本試験では、必ず1つや2つは「見たことのない問題」が出てきます。それを判断するための下地作りとして、問題に取り組んでください。

計算は“電卓を使わない勉強”も取り入れる

総合問題や応用問題への慣れが必要です。本試験を想定した問題だと「時間が足りない」と感じることが増えていくでしょう。

最初は制限時間通りに解いて、どれくらい点数が取れるかを確認してください。その後、どこで時間をロスしたか、最後まで解ききったら何分かかりそうか、チェックをします。

同じ総合問題も2~3回は解くことになると思いますので、「間違いノート」を作りつつ、精度を高めていきましょう。

◆筆者が「間違いノート」に関する記事を掲載。

そして、ここからは“電卓を使わない勉強”も取り入れてみてください。

総合問題を解く際には電卓を使って計算しますが、今の時点ではある程度、電卓を打つこと自体には慣れ、打ち間違いも減っているでしょう。

ですので、問題を解く際には算式まで書いて、あとは電卓を叩かなければ結構な学習時間を節約できます。

算式があっていればOK。そういうことにして、電卓を打つのは3回に1回ぐらいの割合でも大丈夫です。

このように時間を節約することで、問題を解く回数を増やしていきましょう。

理論は「タイトルあげ」を完璧にする

私は受験生時代、理論問題にとても苦手意識がありましたが、同じように「計算が得意でも理論は苦手」という受験生はかなり多い印象です。

ということは、理論問題のデキが合否を左右する可能性が高い、ということです。そのため私は、理論学習にかける時間を増やすことを意識していました。

ここまでもインプット、つまり頭の中への入力、暗記を繰り返していると思いますが、さらにここからは、本番を想定したアウトプット、出力も増やしていきましょう。

本番では自分の手で解答を書く必要があり、覚えたことを解答用紙に置けるだけ置いていくことになります。

理論同士のつながりを意識しつつ、解答を「書ききれる」ようにしていきます。

そのためには、理論問題を見て「タイトル」=「解答の柱」を挙げる練習をすることが、時間も節約できて効果的です。

ここで間違えると、その後の文章を一生懸命書いても、「全部間違っていた」となりかねません。

タイトルが正確であれば、あとは書くだけです。事例問題も、書く内容のタイトルをピックアップできるようにしておきましょう。

さいごに

ここまで順調な方もそうでない方も、ラストまで気を抜かずに頑張ってください。

最後に逆転することも、また逆転されることもあります。自分に足りないもの、弱点をできるだけ減らし、応用問題でも点数が積み上げられるよう計画的に取り組むことが合格への近道です。

また、試験3ヵ月を切ると、なおさら時間のやりくりが重要となります。

実際にゴールデンウィークが終われば、本試験までの祝日は「海の日」だけです。土日祝日に集中して勉強するのもよいですが、できれば毎日勉強したいところですよね。

私は、平日は基本的に、朝に勉強時間を確保し、また半日休暇を取って午後から勉強をすることもありました。たとえば、金曜日の午後を休みにして専門学校の自習室で勉強する、といった感じです。大学の図書館も外部利用ができる場合にはオススメです。

このご時世なので、自宅で勉強できるのがよいですが、自分に合った環境を見つけて集中して取り組むようにしましょう。

〈執筆者紹介〉
神野 裕一(じんの・ゆういち)
税理士
1984年大阪府生まれ。2010年関西大学商学部夜間主コース卒業後、医療法人にて医療事務をしながら税理士試験に挑戦。法人税法に合格後、京都市内の税理士法人に転職し、2017年に税理士登録。2019年1月に京都市にて独立開業。税理士試験はすべて通信講座にて合格。
事務所ホームページ
著書『独立開業日誌: 独立3年目までの営業活動を中心に』(kindle版)


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