【編集部から】
春から大学生になった方、進級した方のなかには、「公認会計士」に興味をもった方、新しく勉強を始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、「三大国家資格」といわれる難関試験。大学生活と両立できるのか、アルバイトや部活動などをしてもよいのか、不安な思いもあるかもしれません。
一方で、現在の大学生は、いわゆる「Z世代」に含まれ、スマートフォンなどデジタルにも親しみのある世代。アプリやSNSを受験に活かす方も多いようです。
そこで今回、令和3年公認会計士試験に独学で一発合格を果たした大学4年生のドッポさん(@DOPPO_CPA)に、大学生活との両立のポイント、受験に役立つアプリ、教材の選び方など、皆さんの「気になる」勉強法を伺いました。
今は大学生活と受験勉強が両立しやすい
――公認会計士試験と大学生活の両立は可能ですか?
ドッポさん 可能です。これは独学か予備校利用か関係なく、もともと大学生の受験者が一番多い試験なので、心配することはないと思います。
それに今は、コロナ禍の影響で大学の授業もオンラインのものが増え、両立しやすいのではないでしょうか。
大学と家を移動する時間が減り、たとえばオンデマンド形式の場合、倍速で授業を聞いて、浮いた時間を公認会計士試験の勉強に充てることもできると思います。
私も2年生に上がるときに公認会計士試験の勉強を始め、ちょうどコロナ禍で大学の授業がオンラインになったので、自然と両立させることができていました。
在学中の合格を目指すのであれば、24時間をやりくりして、公認会計士試験の勉強時間を少しでも多く作ることがポイントだと思います。
――アルバイトや部活動、サークル活動などをするのは難しいでしょうか?
ドッポさん 私自身は部活動やアルバイトをしていたのですが、試験直前まで続けるというのは難しいと思います。実際に私も、試験直前には周りに話して部活動をしばらく休みました。
ただ、部活動が勉強の息抜きになったり、試験とは関係のない友人と話すことで元気になることもあると思います。
また、私の場合、部活動と公認会計士試験を両立していたことが監査法人の就職活動でアピールポイントになりました。
最初から最後まで継続的に活動することは難しいかもしれませんが、自分にとってプラスになるのであれば、部活動やサークル活動はしても問題ないと思います。
アルバイトのほうは、個人や家庭の事情などでもあって一概には言えないのですが、経済的に余裕があるならしなくてもいいと思います。試験に合格して、公認会計士として働けば、ある程度の年収は保証されるはずです。
ただ、大学4年間のうち、試験勉強だけというのも寂しいと思うので、勉強に支障が出ない範囲で、または試験に合格してから、アルバイトを通して他の仕事を経験してみるというのも面白いかもしれません。
――ドッポさんは経済学部に在籍されているとのことですが、公認会計士試験と親和性の高い科目はありますか?
ドッポさん 簿記・会計系の科目です。私の大学では、入学して最初に日商簿記3級レベルの授業がありました。公認会計士試験の「会計学」につながる分野なので、履修しておいて損はないと思います。
また、大学によると思いますが、経営学に関する科目もあります。論文式試験の選択科目として「経営学」を視野に入れている人は、大学の授業で経営学に触れておくのもいいかもしれません。
学部によっては、統計学・民法・経済学もあるので、履修してみて「好きだな」「得意だな」と思えたら、これを選択科目とするのもいいと思います。
私は試しに統計学を勉強してみたら難しかったのですが、経営学より学習範囲は狭いので、得意になれたら、他の科目に費やせる時間が増えると思います。
ただ、公認会計士試験の論文式試験では経営学を選ぶのがセオリーになっているというのでしょうか。統計学など他の科目の場合、受験者(母集団)が少ないので、かなりハイレベルな戦いになります。
なので、大学の授業に経営学があるなら、それを履修して、論文式試験の選択科目とするのが無難だと思います。
SNSで情報収集。使いすぎないように工夫も
――今の大学生はデジタルネイティブ世代。ドッポさんは、スマートフォンとどのように付き合っていましたか?
ドッポさん まずはTwitterを情報収集に使っていました。独学だったため、他の受験生のレベル感がわからず不安だったのですが、予備校に通っている方が答練や模試の成績を投稿しているのを見て、「負けないように頑張ろう」と刺激をもらっていました。
また、Twitterでは予備校講師の方のアカウントをフォローしていました。解法のコツや出題予想について発信している方や、人によってはダイレクトメールで質問に答えてくれる方もいます。
独学の場合、なかなか情報に触れられないことがネックになります。独学での挑戦を考えている方は、利用できるものは利用して、自ら積極的に情報を集める、という姿勢が大切だと思います。
――他に使っていたアプリはありますか?
ドッポさん 短答式試験対策として「CPA過去問コム」を使っていました。スマートフォンで気軽に○×問題を解くことができるので、ちょっとしたスキマ時間を活用できました。
ただ、SNSを含めてスマートフォンを触ると無駄に見てしまう時間があり、それを防ぐために「情熱タイマー」というアプリも使っていました。
基本的な機能としては、ストップウォッチのように勉強時間を計るアプリなのですが、同じグループ内の他の人がどれくらい勉強しているのか、リアルタイムで確認できるんです。逆も然りで、他の人からも自分が勉強しているかどうかがリアルタイムでわかります。
時間を計って記録するアプリは他にもあると思いますが、“自分1人で”時間を計って記録するだけのものも多いので、そういった意味では「情熱タイマー」がよかったです。
「みんなが○時間も勉強しているから自分も頑張ろう」とモチベーションを上げることができました。
――独学の場合、教材を集めるにも苦労があると思います。ドッポさんは、教材集めにフリマアプリも活用されていたとのことですが、よい教材を見つけるためのコツや注意点はありますか?
ドッポさん 実際にフリマアプリを見てみると、さまざまな予備校の教材が売買されています。どの予備校も試験傾向や出題実績を踏まえて教材を作っているので、どの予備校の教材を使っても合格できないということはないと思います。
ただ、そうは言っても、自分に合った教材は人によって違います。フリマアプリというと「安く買える」というイメージがあるかもしれませんが、結果的に無駄な出費となったとしても、いろんな予備校の教材を試しに買って読んでみる、というのも大事だと思います。
独学だからといって極限までお金を使わないとなると、結局はいい教材が見つからずに高くつくのかなと。私は、教材選びにコストがかかるのは仕方ないと割り切っていました。
また、注意点としては、最新版を選ぶことが大切です。どうしても試験内容に関わる改正が多い試験なので、必ず新しいものを入手するようにしていました。古いテキストや問題集だと、当時は解答が「○」でも今は「×」になっている場合もあります。
科目によっては、そこまで頻繫に内容が変わらないものもありますが、それを調べるのも時間がかかるので、最初から最新版を買ったほうがいいと思います。
ただ、フリマアプリの場合、ほしいタイミングで必ずしも最新版が売られているわけではありません。私も短答式試験の答練(テストのようなもの)を解きたいと思ったときに、当年度のものはまだ売りに出されていなくて、最初は前年度のもので対応しました。
新しい教材を選ぶことが大前提ですが、すぐに手に入らず勉強に支障が出るなら、古いものを選ぶのも1つの手だと思います。そのときには、改正点がないかどうか、しっかり確認することが大切です。
苦手科目を作らないように、まんべんなく勉強する
――公認会計士試験に興味のある大学生には、大学受験を経験した方も多いと思います。公認会計士試験と大学受験の共通点や相違点はありますか?
ドッポさん まず共通点としては、「複数科目を並行して勉強する」ということです。「合格に向かってマルチタスクをこなす」という意味では、大学受験で合格までの道筋を立てて勉強した経験は活きると思います。
違いとしては、先ほども話しましたが「公認会計士試験には学習内容の改正がある」ということです。大学受験の場合、学習内容が昔と今で大きく変わるということはないと思いますが、公認会計士試験は実務に就くための試験なので、制度改正があれば、そのつど試験内容も変化します。
そういった意味でも、公認会計士試験は古い教材が扱いにくいです。予備校では改正論点もフォローしてくれると思いますが、独学を選ぶ場合は、改正が多い試験であることを意識して、教材を選び、情報をキャッチアップしていく必要があります。
――複数科目を並行する公認会計士試験。大学受験のように、まんべんなく勉強することが大切でしょうか?
ドッポさん どうしても苦手な科目があるなら仕方がないと思いますが、「まんべんなく、どの科目も」というほうが合格しやすいです。
特に短答式試験の場合がそうで、少なくとも平均的に7割程度の得点が必要となります。実際、不合格となった方から、「すごく苦手な1科目があったけれど他の科目でカバーすることはできなかった」と聞いたこともあります。
ただ、論文式試験の場合は少し違っていて、得意科目を作って他の科目を引っ張るのも1つの手です。論文式試験は偏差値で合否が決まるので、頭1つ飛びぬけると全体を引っ張ってくれます。
とはいえ、短答式試験を突破しないと論文式試験に進むことはできないので、まずは「苦手科目を作らないように、まんべんなく勉強する」、そのうえで好きな科目や得意な科目があれば、それを積極的に伸ばしていくという勉強がいいのかなと思います。
――参考になるメッセージをありがとうございました!
【ドッポさんのより詳しい勉強法はこちら】