K.A
(学習開始時は大学生、卒業後は受験専念)
合格時期:短答…2020年8月/論文…2021年8月
学習スタイル:専門学校(資格の大原)
公認会計士を目指したきっかけ
高校3年生で進路を考えたときに将来の夢はなく、祖父が税理士だったこともあり、なんとなく興味を持ったのが簿記でした。
公認会計士にたどり着いたのは、せっかく挑戦するなら三大国家資格といわれる難関資格を目指してみたいと思ったからです。
そこから調べていくと、公認会計士になれば税理士登録をも可能であることがわかり、加えて、監査法人だけではなく一般事業会社での勤務や独立開業も可能であると知り、資格取得後の選択肢の幅広さに魅力を感じました。
また、現実的な話として、社会的な信用力が高いことや、1年目からある程度の収入が得られることも非常に魅力的で、これも公認会計士を目指した動機として大きかったです。
間違いだらけの勉強から、反省点を活かして再スタート
公認会計士試験の学習期間は2017年4月〜2021年8月です。2018年に約1年間留学をしており、勉強開始時から留学前までは予備校の映像通学、留学中は通信、帰国後から論文式試験合格までは教室通学でした。この間、短答式試験を6回、論文式試験を2回受験しています。
恥ずかしながら私は、これまでまともに勉強をしたことがなかったので、公認会計士試験への挑戦が人生初のまともな勉強でした。当然、自分に合っている勉強方法も知らなければ、自分がどれくらい集中して勉強することができるのかも知りません。
学習開始時(2017年4月)に選んだコースは、2018年合格目標のコースでしたが、かなり駆け足でした。勉強方法もまともにわかっていない状態で受講したので、授業の消化が第一になってしまい、問題演習を疎かにしていました。
しっかりとした勉強経験もない人間が我流で進めたところで結果は知れていて、はじめて受けた短答式試験は総合で「30%前半」と散々な結果に。
また、このときは、講師へ質問もほとんどせず、わからないことがあっても、「そのうちわかるだろう」と流していました。
すべてにおいて、よくないやり方を選択していたと思います。
そこで、これまでのやり方を変えないと同じことの繰り返しになると感じ、帰国後は初学者コースからやり直すことにしました。学習方法や学習計画についても、まずは講師の言う通りにしました。
短答式試験合格までの学習方法
計算科目
講義を受けた日のうちに即復習し、問題を何度も回転させました。
物事の理解も早いほうではなかったので、わからなくても、とりあえず仕訳が頭に浮かぶようにしました。
レクチャー期はテキストと問題集をメインに学習を進め、答練期に入るとメイン教材はテキストと答練になりました。
答練の復習は「理解」重視で行い、何度も回転させるのではなく、知識が足りなかったのか、知識はあるものの下書きがダメだったのか、単なる電卓の叩き間違いだったのかなど、とにかく失点の原因を探しました。
そして、間違えやすいところや苦手なポイントをテキストに整理し、直前期には、そのテキストをメインに学習を進めました。
理論科目
基本的な流れは計算科目と同様で、「講義を受けたら即復習」です。
しかし、短答式試験は出題範囲が広いため、「しっかり理解する部分」と「暗記でゴリ押しする部分」を分けることを意識していました。
前者は時間をかけて丁寧にテキストを読み、後者は条文を確認するなどして結論を覚える、といった感じです。
教材はテキストと肢別チェックを使用していました。テキストの各論点を読んでから肢別チェックを使い、正解したのか間違えたのかマークをつけ、3周くらい回転させました。
そうすると何度も間違えている論点が明確になり、自分の苦手論点が「見える化」されていきます。テキストを読み返しながら弱点を埋める学習をしたので、最終的にはテキストがメイン教材となりました。
論文式試験合格までの学習方法
計算科目
メイン教材はテキストと答練です。答練は、同じ問題を何回転もさせるのは効率的ではなく、答えを覚えてしまっては意味がないので、テキストと突き合わせながら、「背景にある理屈」を押さえる学習をしました。
答練を繰り返し解くことが目的ではなく、出題された論点とそれに関連する周辺論点をまとめて押さえることを目的にしていました。
対比論点がある場合は、それとの違いを説明できるかどうかなどを確認しながら進めました。こうすることで各論点を理解しつつ、他の論点との結びつきも把握することができます。
計算の学習をしながら、可能な範囲で理論も同時に理解することを意識して学習しました。
理論科目
メイン教材はテキストです (企業法のみ論証例集を使用)。
短答式試験の頃から気づいてはいましたが、正直なところ理論科目は苦手でした。暗記も得意ではなく、どちらかと言えば「理由」を知って理解するほうが得意でした。そこで論文式試験でも、可能なかぎり理解しながら知識を定着させて、暗記に頼るのは必要最低限にしました。
イメージとしては、まず各論点の基礎にある「考え方」を押さえ、それができたら自分なりに説明できるようにしました。あとは、その自分なりの文言を専門用語に置き換えることで、模範解答を組み立てられるようにしました。
この「インプットは自分の言葉で、アウトプットは専門用語で。」というスタイルが私には効果的でした。基本的にすべての理論科目は、このスタイルで乗り切りました。
また、椅子に長時間座って理論を学習するのも苦手だったので、電車での移動時間も利用していました。行きと帰りのそれぞれ20分ほどですが、定義を確認したりするには十分な効果がありました。
何が合格の決め手になったのか
私は短答式試験に5回、論文試験に1回落ちました。不合格だったときと合格したときの違いは、「勉強の核となる教材を各科目で1つに絞っていたかどうか」です。
不合格だった頃は、テキストや問題集、答練など、あらゆる教材をまんべんなくこなそうとしていました。
逆に合格したときには、基本的には各科目で1つ(多くても2つ)の教材に情報を集約し、その教材だけをひたすら読み込むということを徹底しました。
複数の教材ではなく、1つの教材を極めることがポイントだと思います。
マイルールとモチベーション維持の方法
マイルールと言えるほどかはわかりませんが、いくつか決めていたことがありました。たとえば・・・
・翌日に影響を及ぼさない範囲でならお酒を飲んでもよい
・スマホゲームなどもしてもよい
・家では勉強はしない(そのかわり自習室にいる間は集中)
・しっかり睡眠はとる
といったものです。極度に我慢すると、それはそれで勉強に身が入らなくなってしまうので、適度に息抜きができるようなルールは持っていました。
また、勉強をしていると孤独感に苛まれることが多くあったので、人とコミュニケーションをとることでモチベーションを維持しました。たとえば・・・
・受験仲間と将来どうなりたいか、何を買いたいか(腕時計や車など)を語り合う
・受験とは無関係な友人と食事や遊びに行く
・予備校の講師に受験勉強で不安なことを相談する
疲れたときに悩みを聞いてくれる友人や予備校の先生など、頼れる存在がいたことはモチベーションの維持に必要不可欠でした。中学時代から付き合いのある友人には特に支えられました。本当に感謝しています。
最後に
公認会計士試験に挑戦したこと自体が失敗だったのではないかと思うことも、直前期に「もう無理」だと思うこともありましたが、家族、友人、先生方のおかげで合格することができました。
合格して世界がとても輝いて見えるようになり、本当にここまでやってきてよかったです。支えてくださった皆様、ありがとうございます。
また、そのおかげで、今回このような合格体験記を書かせていただくことができました。拙い文章でしたが、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございます。
そして受験生の皆様、合格されることをささやかながら応援しております。