【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
3つの道が開かれていた
東京都杉並区で開業しています税理士の吉田佳奈です。
2013年4月より都内税理士法人勤務後、2020年7月に独立開業をいたしました。
私の場合、父が地方で税理士として開業しており、
・開業する
・家業を継ぐ
・転職する(会計事務所に限らず)
この3つの道が開かれていたことになります。
この時点でも、選択肢が他の人よりも多かったことは感謝しかありません。
その中から「開業」を選んだ理由は、私にはそれが最も難儀に思えていたからです。
そう考えていた私が、なぜ独立を選択したのか、
独立後どのような歩みを進んできたのか、
その中の何かが、これから道を切り拓こうとするどなたかのご参考になれば幸いです。
なぜ「開業」だったのか
それはかっこよく言うならば
・一度きりの人生なのだから、自分の可能性を信じたかったから。
・チャレンジしたいと思ったから。
開業はゼロからお客様を開拓し、お客様の問題解決やサポートをしていきながら、自分自身の生活も確立していかなければなりません。
それは私にとって、一番のチャレンジのように思えました。
ただし、「開業」決意に至るまでは、克服すべき課題は山積みでした。
私が克服したもの
不安・恐れ
読者の皆さんは自分自身に「自信」がありますか。
たとえば試験勉強の場合、徹底的に問題集などをやりこんで、
模試の結果やその積み重ねた努力から自信を持つことができます。
一方、「開業」の場合はどうでしょうか。
開業してやっていけるのかということについては、どこにも答えがありません。
そこに不安や恐れが潜んでいたのです。
私の開業準備は、
・自分の自信=思い込みを、徹底的に「プラス」に変えること
・準備や種まき、専門知識の勉強を徹底的に行うことで、不安や恐れを克服すること
そこから始まったように思います。
これらを克服していたからこそ、コロナ禍真只中の2020年7月でも開業に踏み切れたように思います。
開業後の歩み
思い切って独立してから、思いのほか多方面から手を差し伸べていただき、ご紹介などでお客様が少しずつ増えていきました。
また、新たな分野のお客様が増えたことをきっかけに、その分野に精通している方の下で勉強がてらお仕事をさせていただくという流れになりました。
これは予想していなかったことですが、開業して時間の融通も利くようになったからこそのことだと思います。
開業してしまえば、やるしかありません。
気がつくと開業前の不安や恐れなど忘れ、思わぬご縁がつながっていくことを楽しみ、
自分の裁量でお仕事ができる喜びを噛みしめてお仕事に邁進しています。
開業をしてみて感じていること
女性の場合、ライフステージの変化に合わせて、仕事の仕方も変わります。
その変化に合わせて、柔軟にお仕事をしていくことができるのも、開業の醍醐味だと思います。
また、「時間の融通が利く」ということは、自分がやりたいと思っていたことに、また新たにチャレンジする機会も作り出せるということです。
開業は、もちろん仕事に対する責任の重さも増えます。
しかし、それ以上に自分自身を鍛えられ、自分の可能性を広げられると思います。
私はお客様と共により多くの社会貢献をできるように、
これからも生じる不安や恐れは小脇に抱えてチャレンジし、
自分の持ち場を守っていきたいと思っています。
【執筆者紹介】
吉田 佳奈(よしだ かな)
大学在学中に税理士試験に合格。個人事業主・中小企業を中心とした税務顧問業務から、上場企業の連結納税コンサル業務、税効果会計システムコンサル業務にも携わり、業種・規模ともに多様な事例への対応実績がある。 顧問先や提携企業において税制改正や会計で会社を強くする方法について、講師として多数登壇。若さゆえのフットワークの軽さと情報化社会についていける能力、女性ならではのホスピタリティと愛らしさで、活躍の場を広げている。
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