【会計士合格体験記】「理解」と「暗記」の使い分けがカギ! 学生→社会人の環境変化を乗り越えて合格 


TI
(会社員、23歳)

合格時期:短答…2020年8月/論文…2021年8月
学習スタイル:独学→専門学校(CPA会計学院)

公認会計士を目指したきっかけ

私は2019年12月(当時大学3年)から社会人1年目の2021年8月まで勉強をしていました。

公認会計士を目指した理由は、会計の専門性を高めたいと考えたためです。

大学3年の春、漠然と就活について考えはじめ、組織に依存するような生き方ではなく、手に職をつけて人生の自由度を高めたいと思いました。

もともと授業の延長で大学2年の6月に簿記2級には合格していたので、さらにその専門性を高めて武器にしようと思い、公認会計士試験に挑戦することにしました。

2019年8月~2020年8月

公認会計士試験の勉強を始め、1回目の短答式試験を受験するまでの期間です。

私ははじめ独学をしており、書店に並んでいる一般の本を買って勉強していたのですが、監査論と管理会計論以外は何を言っているのかまったくわかりませんでした。そんな状態で2019年12月に短答式試験を受験しましたが、もちろん不合格。予備校に入る必要性を痛感し、同月にCPA会計学院に入校しました。

◆短答式試験に不合格だったときの点数

企業法25点
管理会計論66点
監査論55点
財務会計論28点
合計174点(34.8%)

予備校に入った後は、圧倒的に時間が足りていなかったので、授業を2倍速で1周しました。計算テキストの例題を解いたり、理論テキストを読み込んだりせず、問題集と答練に範囲を絞って勉強です。そのかわり、触れた問題は次に同じ問題を見たときに絶対解けるように徹底的に理解しました。

各科目の学習を振り返ってみます。

財務会計論(計算)

序盤は講義を消化することを最優先に考えていたため、2倍速で講義を聴いていました。この時期は問題集に絞って学習していたのですが、A・B問題を2周ほどしたタイミングで、「税効果会計」や「資産除去債務」、「退職給付会計」は得意であることを認識できたので、それ以降はほとんど触れていません。

中盤は、「ストック・オプション」や「組織再編」など苦手な論点をテキストに戻って学習しました。その結果、問題集の解説で理解しきれなかった部分がわかるようになり、全体的な理解力が向上したことで、答練で解ける問題も増えました。

終盤は、「連結会計」の論点(包括利益や為替換算調整勘定、未実現利益)に自信がなかったため、答練からピックアップした問題をメインに復習しました。しかし、理論のほうが伸び代があると感じていたため、この時期はそれほど計算の勉強はしていません。

管理会計論(計算)

前半の原価計算は、簿記2級の知識で解こうと思い捨てていました(本当にごめんなさい…)。

後半の管理会計は数学的な考え方で解きました。問題集自体は2周ほどしましたが、勉強というよりは、解けることを確認するという位置付けです。

原価計算を捨てているぶん、管理会計で点を取る必要があったため、ここには時間をかけ、解けるかどうかをしっかり確認していました。

理論科目

基本は問題集を3周ほどし、間違え方をサマリーブックに一元化し、電車の中でそれをひたすら読み込みました。本試験を受ける頃には、サマリーブックのどこに何が書いてあるかすべてわかる状態になっていたと思います。

また、すべての問題のひっかけ方を見ていたため、「バツ」の選択肢に対する嗅覚も鋭くなりました。

結 果

2020年8月に2回目となる短答式試験を受験し、無事に合格しました。結果は次のとおりです。

企業法70点
管理会計論52点
監査論70点
財務会計論140点
合 計332点(66.4%)

正直、運に助けられた部分もあります。独学の頃からの変化としては、企業法と監査論と財務会計論を9ヵ月で仕上げたような印象ですが、短期で合格を目指すには①教材を絞ること②A・B問題に絞ることの2点は必須のように感じました。

2020年8月~2020年11月

短答式試験に合格し、1回目の論文式試験を受験するまでの期間です。

2020年8月の短答式試験後から租税法と経営学の勉強を始めました。ただ、この2科目に関してはノータッチで、また短答4科目の論文対策もしておらず、2020年11月の本試験には間に合いませんでした。

そこで、来年の合格を前提とした戦略をとり、経営学で「科目合格」が狙えそうだったこと、企業法の偏差値のブレが大きく「免除されると嬉しい」と考えたことから、これら2科目の「科目免除」狙いにシフトしました。

結果としては、経営学で「科目合格」をとることができました。全体的な成績をみると、もう少し頑張れば合格できていたかもしれません。

ただ、次の論文式試験は仕事をしながら勉強する必要があったので、ここで1科目の免除をとれたことが合格可能性の向上につながりました。本当に間に合わないと思ったら、「科目合格」を狙いにいくほうがよいと思います。

2020年11月~2021年8月

論文式試験に再チャレンジするまでの期間です。この間に大学を卒業し、2021年4月に社会人になりました。

経営学を除く各科目の学習を振り返ってみます。

財務会計論(計算)

短答の知識で十分対策できた論点が多かったです。具体的には第三問・第四問の対策として、テキストの例題で網羅的に知識を確認し、答練で間違えた問題については例題に一元化していました。

また、「退職給付会計」などは、例題の最後にある総合問題さえ解けば例題を解かずとも知識を確認できたので、特定の例題だけを解くなどして負担を減らしていました。

第五問も、基本的には例題で勉強していましたが、総合問題を解くうえで必要な準備もあります。下書きの書き方や情報の集め方は、答練の総合問題を通じて身につけていきました。

財務会計論(理論)

2021年2月から論証集を持ち歩き、次の3ステップでインプットしました。

① 文章を読んで理解する
② 「覚えるべき部分」と「理解で言える部分」に分離する
③ 問題を見たら冊子を閉じ、言えるかを確認し、言い終わったら冊子を見て正しいかどうかを確認する(特に覚える部分)

文章が長いせいで覚えられない場合には、自分で文章を2つに分けたり、理由が3つあれば、3つのキーワードを抜き出し、まずはキーワードだけでも答えられるようにするなど、なるべく文章を短くして覚えるようにしていました。

余談として私はピアノが趣味なのですが、ピアノも最初から弾けるものではなく、1小節ずつ弾く練習をし、最後に全部をつなげて1曲が弾けるようになります。理論暗記はその過程と似ているなあと感じました。

管理会計論(計算)

1月から論文対策集を解きはじめました。この論文対策集では、実戦形式の35問で網羅的に知識を確認できたので、この35問だけを本試験までひたすら解き倒していきました。

管理会計論(理論)

5月くらいから論文対策集を覚えはじめました。この頃にはある程度の計算力がついていたので、計算を言語化するイメージで、一言一句覚えるというよりは同じ意味の文章が言えるかどうか確認するような勉強をしていました。

ただ、「実際配賦の問題点」や「ABCの意義」など、“お堅い表現”の典型的な理論問題もあるので、それについては一言一句覚えていました。

その際、論ズレ(問いと答えの趣旨がずれること)のリスクがある問題については、どの問題と間違えやすいのか識別し、それぞれの問題文と解答をセットで覚えることで、論ズレを防いでいきました。

監査論

論文対策講義を1周聴きました。テキストの右上に基準の番号が書いてあったので、ラインマーカーをひいた部分については基準をひくようにしました。また、「暗記すべき」と講師から指示をもらった部分についても、基準に書いてあることがあったので、なるべく基準はひくようにしていました。

結果として基準をうまく使えるようになったため、答練で時間が足りなくなることもなく、表現も基準の文言なので、減点もあまりされなかった印象があります。

直前期は、基準に書かかれておらず、かつ覚えないとアウトプットできない文章を一言一句覚えていました(監査基準や内部統制監査、四半期レビューなど)。

企業法

不合格だった年、「科目免除をとりたい」と思うくらいに勉強していたので、5月くらいまでは放置していました。

ただ、他の科目が仕上がってきてから再開したことで、時間のない社会人の生活でもキャパオーバーになるようなこともなく、他の科目で得点の基礎を作ったので、「企業法は守るだけでいい」とメンタルを強く保てました。

租税法(計算)

レギュラー答練をひたすら解いていました。点数も安定しており、勉強期間を通じてメンタルが安定していたのは、租税法で貯金が作れるという自信があったからです。毎朝1時間、租税法の基礎答練に触れることを続けました。年末年始もカフェで租税法をひたすら解いていました。

租税法(理論)

5月頃から基準を見はじめました。問題集を解きながら基準に慣れ親しんでいくイメージです。基準の並びは完璧に覚えるまでいかなくても、読めばどの論点の話をしているのかがわかる状態を作り、問題を見て、どのへんを引けばいいかはわかるくらいには覚えるようにしていました。

租税法は必ず時間が足りなくなる科目です。そのため、勉強段階から、本試験で解く時間を短縮できるような準備を心がけていました。 

結 果

2021年8月に2回目となる論文式試験を受験し、無事に合格しました。結果は次のとおりです。

社会人の期間は学生時代に比べて勉強時間を確保できず、成績が落ちてしまった時期もありました。しかし、ここでもA・B論点に絞った学習を行い、また得意な科目を先に仕上げ、苦手な科目はあとから守るイメージで学習したのがよかったと思っています。

さいごに

「理解」と「暗記」をしっかり使い分けたこと、基準集をしっかり見て勉強したことが、比較的高い順位で合格できたカギだったと思います。

これから受験される皆さんには、筆記用具や電卓に力を入れるくらい、基準集の読み込みにも力を入れてほしいです。


関連記事

ページ上部へ戻る