【井ノ上陽一先生からメッセージ】税理士試験合格発表を迎えるみなさんへ


税理士 井ノ上陽一

【編集部から】
令和3年度税理士試験の合格発表まで残り1日。
期待や緊張でいっぱいのみなさんへ、「ひとり税理士」としてマルチに活躍されている井ノ上陽一先生からのメッセージをお届けします。
ガッツあるアドバイスを励みに、明日を迎えてください!

いよいよ明日は、令和3年度税理士試験の合格発表日。

「合格しているはず」
「合格しているかも」
「合格していてほしい」

そして、
「官報合格できるかもしれない」
と、さまざまな心境でしょう。

僭越ながら、合格発表を迎える受験生に応援メッセージを送ります。

それぞれの状況に応じたメッセージですので、該当する部分を参考にしていただければと思います。

合格可能性が高く、来年も受験をする方へ
合格可能性が高くない方へ
官報合格の可能性がある方へ
すべての受験生へ

合格可能性が高く、来年も受験をする方へ

合格していれば、次の科目です。今年のように勉強を続けましょう。

あと何年で5科目がそろうか、それを考えながら、最短で合格を目指すのがおすすめです。

税理士試験は長期化しがち。集中して、来年も合格を勝ち取りましょう。

ただし、税理士試験は5科目がそろわないと効果がありません。

最後まで気を抜かずに、勉強量を増やし、勉強方法を工夫していきましょう。

合格可能性が高くない方へ

結果が期待できない方、受験や自己採点の段階で合格が難しいことがわかった方もいらっしゃるでしょう。

試験の合否には運も作用しますので、しかたがありません。ただ、運に左右されないくらいの勉強量も必要です。

今年の試験後の数ヵ月、勉強していたでしょうか。

私は受験生時代、8月の試験直後以外は勉強を休みませんでした。

もちろん勉強の質(勉強方法の工夫)も大事ですが、一定の量は必要です。

この数ヵ月、あまり勉強してこなかった場合は、これから勉強量を増やしていきましょう。

働いている方は、勉強できる環境を整えるために、職場への交渉、ときには転職も必要です。

私は、残業がない(少なくとも個人の努力や割り切り次第でなくせる)環境を整えて勉強していました。

人生を変える可能性がある税理士試験。合格できなければ人生は変わりません。

今年の悔しさをバネに、全力で勉強していきましょう。

官報合格の可能性がある方へ

官報合格かどうか、緊張するかと思います。

私は、当日に有給休暇をとり(不合格だったときに職場にいるのが嫌だったので)、朝にインターネットで確認しました。

無事に合格できたので、近くのスーパーに寿司を買いに行き、ささやかなお祝いをしたのがいい思い出です。

前日は眠れませんでしたが、みなさんは寝ていただければ。

不合格だったら、もうちょっとだけ踏ん張りましょう。

私は不合格になったら、新しい科目を受験するつもりでした。

最後の科目は国税徴収法で、これ以上できないというくらい勉強しつくしていたからです。

なんとかモチベーションを上げつつ、「最後の年」を駆け抜けてください。

合格だったら、次を考えましょう。

官報合格は、「人生を変える可能性」を手に入れたにすぎません。

そのなかには、私のように「独立し、ひとりでやっていく」という選択肢もあります。

「こっちの水は甘い」というわけではなく、むしろ楽ではありません。給料もないですし、営業もしなければいけませんし。ただ、楽ではありませんが、楽しめています。

人生を楽するのではなく、人生を楽しみたいのなら、独立がおすすめです。

もし興味がある方は、私の著書やブログ、メルマガなどを、ちらっとでもご覧いただければうれしいです。

すべての受験生へ

最後に、すべての受験生へメッセージを送ります。

明日の結果がどうであれ、人生は続くもの。その結果を受け止めましょう。

「次にどうするか?」が大事です。受験勉強にしろ、独立の準備にしろ、次に向かいましょう。

とはいえ、税理士資格をとっても人生が急に変わるわけではありませんし、収入が増えるわけでもありません。私は変わりませんでした。

ただ、人生を変える選択肢は増えます。税理士資格があれば「独立」もできるわけです。

私は増えた選択肢から、独立してひとりで仕事をしていくことを選びました。

税理士業に限らず好きな仕事をし、繁忙期もなく、時間とお金のバランスをとることができています。

自宅で仕事をしていて、きれいな事務所や仕事をこなしてくれるスタッフはいませんが、望む生き方ができるようになりました。

この原稿を書いた今日は、こんな1日です。

・早朝からメルマガ・ブログを書く、セミナー教材受講
・ライブ配信
・娘を保育園に送る
・カメラ2台を持ち歩き、好きな仕事である写真を撮りつつカフェへ行き、仕事
・ランチ前に帰宅してZoomで出版の打ち合わせ
・ちょこっと年末調整
・ランチをつくって食べる(ゆず塩せせり鍋)
・ふたたびカフェで書籍、この記事の原稿を執筆
・このあと、保育園へ娘を迎えに行き、ダイソーへ行く

昨日は、午後に「劇団四季」を観に行き、明日は午前中に娘の保育園のイベントに参加します。

こういった過ごし方ができるのも税理士資格のおかげです。人生を変えることができました。

資格がなければ、好きなものを買えず、好きな仕事もできず、師走は年末調整に追われていたに違いありません。

「人生を変える可能性」がある税理士資格をぜひ目指しましょう。

ただし、変えるのは自分次第であることはお忘れなく。

(執筆者紹介)
井ノ上陽一(いのうえ・よういち)
大阪生まれ宮崎育ち東京在住。2000年に、3年3ヶ月勤めた国家公務員を辞め、税理士を目指す。2003年に税理士資格取得、2007年に独立。ブログ「EX-IT」は独立時から5,000日以上毎日更新。毎日発行のメルマガ「税理士進化論」で税理士独立のサポートも行う。著書に『ひとり税理士の仕事術』、『ひとり税理士の自宅仕事術』など26冊。

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