整理収納アドバイザー税理士が伝授! 「合格」のための学習環境をつくる5ステップ 


税理士 小野寺綾子

こんにちは。整理収納アドバイザー税理士の小野寺綾子です。

さて、みなさんが普段勉強されているスペースは、今どのような状態でしょうか? スッキリと片付いているでしょうか?

私は受験生時代、片付けがとても苦手だったので、「さあ勉強しよう」と机に向かっても、机の上にはいつの間にか積み重ねてしまったテキストやプリントの山が・・・。

そうなると、目的の教材を探すところから始まり、そのうち机や部屋を片付けたくなってしまい、肝心の勉強が後回しになってしまった経験が何度もあります。

特に本試験が近づけば近づくほど多くの答練が予定されますし、見直したいテキストもたくさん出てくるでしょう。そのため、学習環境を今から整えておくことも、私は試験対策のひとつだと思っています。

ところで、「整理収納」とはどのような意味なのでしょうか?

最近はメディアでも取り上げられる機会が増えていますので、「お片付け」のことかな? と予想される方も多いと思います。

「整理」とは、不要なものを取り除くことをいい、「収納」とは、使うものを使いやすいように収めることをいいます。

このふたつの言葉が組み合わさった「整理収納」という言葉は、片付けの正しい順番も示しています。

受験生だった頃の私は、「整理」をまったく無視して、ひたすら目の前にある教材をしまいこんでいたので、教材の量は増え続けてしまいますし、なんとなくしまっているため、勉強しようにも目的の教材を探し出すまでに時間がかかっていました。

そこで今回は、受験生のみなさんが私のような失敗をすることなく、貴重な時間を勉強に充てることができるように、整理収納の具体的な5つのステップをご紹介します。

※ 今はペーパレス化が進み、タブレットを使って勉強されている方も増えているそうですが、今回は紙の教材の整理収納についてご紹介します。

【ステップ1】テキストとプリント類を整理する

まずは、整理から始めましょう。

整理の作業の基本はすべて出すことです。試験勉強に関係するテキストやプリント、テストなどをひとまず全部出します。

出した教材を、以下のように分けてみます。

・使うもの
・使わないけれど保管が必要なもの
・判断が難しいもの・処分を迷うもの
・いらないもの

棚や本棚に戻すものは使うものだけにすることが基本です。

ですので、使わないけれど保管が必要なものは、棚の下段やクローゼットなどに移動させましょう。

いらないものは処分をします。

いちばん悩むものが、判断が難しいもの・処分を迷うものですね。

ただ、試験勉強に関係する教材の場合は、試験日という基準があります。ですので、迷うものについては、箱に入れてクローゼットなどに保管し、試験が終了した後に見直して、もう一度上記の4つの基準に沿って考えることにしましょう。

【ステップ2】使う教材を分類する

使う教材を分けたら、それらを分類していきます。

分類とはものを探しやすいように分けることをいいます。ものの分け方によって探しやすさが違ってきますので、分類は時間をかけてじっくり考えましょう。

分類は【大分類→中分類→小分類】と細分化します。

この3段階に分けることが教材を片付ける際の秘訣です!

たとえば、税理士試験受験生の場合は、写真のように

  • 大分類:科目(例 簿記論・財務諸表論・法人税法)
  • 中分類:月(例 1月・2月・3月・要見直し)
  • 小分類:教材(例 小テスト・定例試験)

という分け方があります。

この分類のルールを考えるときは、使う教材をポストイットに書き出すと、多くの教材がバラバラにならずにすみますよ。

私は受験生時代、【大分類→小分類】の2段階の分類にしていました。しかし、この方法だと、使いたい教材を取り出すときに、探すことをしなくてはいけません。特に試験前の教材が多いときは、探す時間がかかって大変でした。

ですので、中分類を加えてみてください。これだけで、使い勝手がだいぶ変わりますよ!

【ステップ3】散らかりにくい収納をつくる

分類が終わったら空の棚を掃除して、いよいよ教材を収納していきます。

収納の基本はものをしまいこむのではなく、スペースに余裕をもたせて使いやすい状態にすることです。たくさんの教材を詰め込むのではなく「使いやすさ」を意識しましょう。

ポイント①:動線や動作を考える

使いやすさのポイントは、教材を取りにいく動線を短くすることです。取りにいく距離が長ければ長いほど元の場所に戻しづらくなってしまいますので、できるかぎり勉強する場所から近い場所に教材をしまいましょう。

また、取り出すときの動作が楽かどうかも重要です。基本的に、取り出しやすい高さは【中→下→上】の順になります。

中というのは、目線から腰高までで、手を動かせば取り出しやすく戻しやすい位置です。下は腰高から床までで、かがめば取り出すことも戻すこともできる位置です。上は目線から天井までで、椅子や脚立に乗らないと取り出すことも戻すこともできない位置になります。

この順番からいうとおすすめは、使用頻度の高い教材から一番取り出しやすいの位置に収納し、ときどき使うものを、使用頻度の低いものをに収納する方法です。

しかし、高い所にあるものは、使い終わった後に情熱が冷めるため、元に戻さないことが多くなりますし、教材は重量がありますので、取り出すときや地震が起こったときの危険性を考えると、実はあまりおすすめできません。

また、取り出すときの手間が多ければ多いほど取り出しにくく戻しにくくなります。片付けは使ったものを元に戻すことですので、サッと戻せるような手間のかからない方法を考えましょう。

ポイント②:収納グッズを選ぶ

その1.ファイル用品は追加購入できるものを選ぶ

ファイル用品は数ヵ月後に同じもの買い足したいということがあります。そのため、追加購入が可能なロングセラー商品を選ぶか、100円ショップなどで購入する場合は、試験までに必要なファイル用品の個数がある程度予想できると思いますので、まとめて購入してもよいでしょう。

また、資格試験勉強で使用するプリント類は、長期間保存することは少ないです。簡単に取り出して見直しや解き直しをするために、二穴式のリングファイルではなく、写真のように個別フォルダーなどを使ったファイリングをおすすめします。

◆個別フォルダー使用例

おすすめの個別フォルダー

◆プラスチック付箋使用例

おすすめのプラスチック付箋

その2.四角いものを選ぶ

収納グッズは基本的に「四角いもの」を使いましょう。直角に近いもののほうがデッドスペースが少なくなります。

また、棚の高さに余裕がない場合は、立ち上がりのないファイルボックスを選ぶと教材の出し入れが簡単にできますよ。

◆ファイルボックス使用例

おすすめのファイルボックス

その3.色を効果的に使う

色は人に大きな影響を与えますので、効果的に使うようにしましょう。

たとえば、試験科目のカラーに沿ってファイルボックスの色を分けてみたり、グレーやアイボリーなど落ち着いた色のファイルボックスで揃える場合は、カラーシールで色分けをするとよいですよ。

おすすめのカラーボックス

おすすめのカラーシール

ステップ4.ラベリングで探し物をなくす

ラベリングとはラベルを付けることです。教材を収納する場所が決まったら、分類のルールに沿ってラベリングをしましょう。

ラベリングされることで、ほとんどの教材が迷子になることがなくなります。ファイル用品を色で分けていれば、さらに戻しやすさがアップするでしょう。

また、どの分類にも当てはまらない場合に備えた【その他】のファイルボックスや、すぐに片付けられない場合に備えた【一時保管】のファイルボックスを作っておくと、机や棚の上に教材が置きっぱなしになることを防ぐことができます。

ただし、あくまでも一時的な保管場所ですので、定期的に中身を見直して処分したり、本来の場所に収納しましょう。

ステップ5.習慣になる仕組みをつくる

整理をしていらないものを取り除き、分類をして、分類に沿って収納をつくり、ラベリングをして、使った後に元に戻せる仕組みまでつくった頑張りを無駄にしないためにも、ずっと片付けを続けられる仕組みをつくりましょう。

習慣化させるポイントは3つあります。

ポイント①:やる時間を決める(例:専門学校から帰宅したらすぐに)
ポイント②:やる場所を決める(例:専門学校用のバッグ)
ポイント③:やることを決める(例:バッグを空にする)

この3つを明確に決めることで習慣化しやすくなります。

最初は決めたことをするのに努力が必要かもしれませんが、やがて習慣となり、毎日の歯磨きのように、頑張らなくても片付けられるようになります。


ここまで勉強を頑張ってきた方、年明けから新しく勉強をスタートさせる方。

難関試験に挑戦するためには、勉強へのモチベーションや集中力アップが欠かせませんよね。

そのためには、勉強しやすい環境を整えることや、探しものをする時間を減らすことはとても重要だと思います。

1つでもできることから取り組んでみてくださいね。応援しています!

〈執筆者紹介〉
小野寺 綾子(おのでら あやこ)
税理士/整理収納アドバイザー

2001年に大学卒業後、新日本アーンストアンドヤング株式会社(現 EY税理士法人)にて、17年間にわたり個人事業主から上場企業まで幅広い税務申告書の作成業務に従事した後、独立開業し現在に至る。
「働く女性が定時で帰宅すること」をモットーに、整理収納アドバイザー1級の資格と前職での完全ペーパレス化導入の経験を活かした起業家支援を行う。家庭では小学生女子の母。
東京レインボータウンFMのラジオ番組やC Channelが運営するママ向け動画マガジン「mamatas」に出演。

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