【公認会計士試験合格】Twitterで大バズりの「教材タワー」 作成者は25歳で地方公務員から一念発起!


去る11月8日、ある公認会計士試験受験生によって投稿された1つのツイート。

この圧巻ともいえる「教材タワー」は、またたく間に反響をよび、たくさんのコメントもついています。

そして、11月19日に行われた令和3年公認会計試験合格発表。

「あの教材タワーの人はどうなったのだろう」と思い、再びTwitterのアカウントページを見てみたら、なんと合格している!!!

それなら、ぜひ公認会計士を目指したきっかけや勉強法についても聞いてみたい!

そこで今回、Twitterで大バズりした「教材タワー」の作成者であるQLクライシスさんこと徳山福太郎さんに、インタビューをさせていただきました。

25歳で飛び込んだ公認会計士試験

――本日はよろしくお願します! 早速ですが、私も徳山さんのツイートを拝見しました。たくさんの反響があったようですね。

徳山さん ありがとうございます。公認会計士試験界隈ではないところからもコメントをいただき、自分でも驚きました。

この「教材を積む」ということ自体は、Twitterで毎年見る風物詩のようなものだと思います。

私もそういった写真を見ては「いつか自分もやってみたい」と思っていました。

また、書店で小説や漫画がタワーのように高く積み上げられているのを見て、どうせやるなら教材も工夫して積んだほうが面白いのではないか、とも考えていました。

「力を入れる方向性が違う」といったコメントもいただいたのですが……(笑)。

たくさんの反響をいただいたので、いざ合格していなかったらどうしようと思っていましたが、無事に合格できたのでよかったです。

――本当にこのたびはおめでとうございます! 今回は、そんな徳山さんに、公認会計士を目指したきっかけから勉強法まで幅広くお話を伺いたいと思います。まず、試験に合格するまでのご経歴を教えてください。

徳山さん 経歴ですが、私は「大学生のうちに合格」といったわけではなく、高校卒業後に地方自治体の職員になり、2018年9月、25歳のときに公認会計士試験の勉強を始めました。

当初は働きながら頑張っていたのですが、公認会計士試験の勉強がなかなか重く、「ちょっと両立は難しいな」と考え、1年後の2019年9月に退職しました。

そこから受験に専念し、丸2年ほど(社会人時代もあわせると3年)かけて合格しました。

【受験歴】
2019年12月:短答式試験 不合格
2020年8月:短答式試験 合格
2020年11月:論文式試験 不合格
2021年8月:論文式試験 合格

――働くなかで公認会計士を目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

徳山さん 前職の公務員では、住民全体に向けてサービスを提供するような仕事をしていて、やりがいはあったのですが、人事異動がつきものだったんですね。

公務員に限った話ではないかもしれませんが、数年おきに配置転換があり、これといった専門性が身につかないまま、定年まで働きつづけることが前提になっていました。

1つの会社で勤めあげれば報われる、そういう時代ならよかったかもしれないですが、これからは大企業であっても個人の将来が保証されているわけではないですし、このままでいいのだろうか、と考えたのが最初のきっかけです。

公認会計士であれば、専門性を活かし、監査法人をはじめ、一般事業会社の経理職やベンチャー企業のCFOなど多様なキャリアを築くことができます。

どこに所属しても活躍できることに魅力を感じ、公認会計士を目指すことにしました。

――公認会計士の存在は最初からご存知だったのでしょうか?

徳山さん まったく知りませんでした。それまで簿記を勉強したこともなかったです。

ただ、前職にいるとき転職サイトを見ていたのですが、つぶしがきくスキルを身につけていなかったので、求人も言ってしまえば「替えのきく」ようなものばかりでした。

そこでいったん転職活動を諦め、「独立」という道も考えてみたんです。

しかし、起業するためのスキルはあるのか、アイディアはあるのか、いや何もない、それはダメだ。

そうしてはじめて資格を取得しようと思いました。

ただ、資格取得のための勉強は貯金でやりくりしようと思っていたので、いつまでも時間はかけられないんですね。

専門性が身につく資格としては、たとえば医師や弁護士がありますが、医師だと大学に6年間通わなければなりませんし、弁護士も司法試験に合格するのが大変で、合格してからも司法修習があるため、20代半ばから目指すのは難しいと感じました。

そこで、次に知った難関国家資格が公認会計士だったんです。

公認会計士に関しては、予備校の広告を見るかぎりだと、「2年くらいで合格できる」とありました。

実際には3年かかりましたが、公認会計士なら私の生活水準でも挑戦できると思い、公認会計士を選びました。

公認会計士試験は「基礎から積み上げていく」

――ここからは勉強について聞いていこうと思います。「教材タワー」を見てもわかるように、公認会計士試験の学習量は膨大です。徳山さんは、何を重視して勉強されていましたか?

徳山さん まず短答式は、何かを重視というよりは、比較的「まんべんなく」勉強していました。

というのも、2019年12月に短答式試験をはじめて受けたとき、基礎的な知識だけでは、特に財務会計論は解くことができないと思ったんです。

そのため、そこからは、「何を聞かれても何かしら頭に引っかかるだろう」というレベルまで、網羅的に知識を刷り込みました。

具体的には、肢別問題集を今日、1日後、3日後、1週間後……とページごとに解き直し、知識を定着させるようにしていました。

ただ、試験で同じ問題が出たらいいのですが、聞かれ方はどんどん変わっていくので、問題集を何度も解くだけでは実力がつきません。

そのため、肢別問題集を解くときは、「間違っている肢のどこが違うのか」をちゃんと指摘するようにしました。

ここまで理解しなければ、結局は頭に入らないと思います。

「重要性」という意味でいえば、短答式は、C論点も含めて肢別問題集は全部つぶしました。

――論文式はどうでしたか?

徳山さん 論文式はそうも言っていられず、答案を書く練習をしなければいけないので、C論点まで押さえるのは難しかったですね。

そのため、A論点・B論点の回転数を上げ、その論点の「キーワード」がいえるようになるまで繰り返し学習しました。

ここでさすがにC論点まで勉強すると効率が悪いと思ったので、論文式は、メリハリをつけて基本的な論点を重視するようにしました。

――やはり「基本」が大事ですよね。

徳山さん そうですね。ちなみにこれは本当に余談なのですが、やはり公認会計士試験は基礎が大事になってきます。

そのため、あの「教材タワー」も、基礎(土台)となる下から中盤あたりに学習初期の教材を積むようにしているんです。

勉強が進むと「法令基準集」などを使うので、それはちょっと上のほうに……。

さすがにこれには誰も気づいていなかったのですが(笑)、普段から基礎を大事に、そこから知識を積み上げていくイメージをもって勉強していました。

◆上に学習後期の教材を。
◆下にかけて学習初期の教材を。

暗記より「理解」を優先

――「まんべんなく勉強していた」ということでしたが、暗記は大変ではなかったですか? 

徳山さん   たしかに、暗記に頼らなければいけない部分もありましたが、論文式試験に合格した今回は、最後の最後まで暗記らしい暗記はやっていませんでした。

監査論については、試験1ヵ月前に予備校の講義を聴きなおしてキーワードを覚えた感じです。

ただ、それまでに監査の流れや手続きなど、軸となる部分はしっかり押さえ、短答式試験の問題は解けるレベルまで理解していました。

特に論文式試験の場合、キーワードを覚えても、聞かれたことに対する答えを出せないと意味がないのかな、と。

論文式試験に一度落ちたとき、「聞かれたことに対して答える」という意識が薄かったので、なおさらそう思います。

「キーワードは入れたし、なんかこんな感じでOKじゃない?」だと、点数はこないんですよね。

暗記ももちろん必須ですが、まずは理解することが先なのかなと思います。

答案は「自分の手で書く」

――他に「合格の決め手」になったことはありますか?

徳山さん とにかく答案を書くようにしました。頭のなかで答案構成をしているだけだと、答練で点数がこないことが多かったです。

いわゆるゴッパチ(短答式5月・論文式8月)の場合は、時間がないので、「答案構成だけをして頭に入れておけばいいよ」という話も聞くのですが、私にとっては、それは厳しかったように思います。

退職して勉強に専念していたから答案を書く練習に時間を割けた、ということもあると思いますが、書いたことが伝わっているかどうかを添削してもらったことは、かなり大きな合格の決め手になりました。

◆筆記具などは大きいポーチで一括管理。

――書いたほうが理解も深まりそうですよね。

徳山さん そうですね。自分のなかでは正しく書いたつもりでも、漢字の間違いがあったり、「意味が通じないよ」という指摘があったり。

「自分はわかってる」と思っても、「いや、わかっていませんよ」というのは、実際に書かないと見えてこないんですよね。

書くことで、「わかっているつもりだけれど、実は試験では点がこない」という事故を減らせたように思います。

また、自分がどれだけのスピードで解答できるのかも、書くことで把握することができました。

――そういう意味では、答練に参加するということも大事ですね。

徳山さん 答練は、時間の許すかぎり絶対に受けたほうがいいと思います。

答練を受けなくても合格した人はいると思いますが、私は「答練を受ける→フィードバックをもらう→復習する」の3点セットは必須でした。

復習が間に合わないとオーバーヒートしてしまうので、「復習ができる範囲で」にはなりますが、答練は逃げずに受けることをおすすめしたいです。

ミスノートはテキストに一元化する

――答練を受け、予備校の先生からフィードバックがあった後、復習はどうされていましたか?

徳山さん まず計算科目ですが、テキストとミスノートを一元化していました。

テキストの項目ごとのトップページに「何月何日、どこを間違えた」と、ミスを集約したんですね。そのページにはインデックスシールを貼り、すぐに開けるようにしました。

ノートを別に作ると、テキストと行ったり来たりしなければならず大変ですし、かといってテキストの内容ページに書くと、どれが本文でどれが自分のメモなのか探すのが大変です。

そのため、項目ごとのトップページにまとめておくようにしました。

――1ページにまとまるものですか。

徳山さん ものによっては、トップページに収まりきらなかった項目もあります。

たとえば、租税法(消費税法)の「仕入税額控除」は重たく、ページが足りなくなったので、「次のミスノートはこっちへ」という感じで、別のページに飛ばすようにしました。

ただ、テキストに一元化するというルールだけは守るようにしていました。

――理論科目はどうでしたか?

徳山さん 理論科目はキーワードを押さえることが大事なので、覚えなければいけないキーワードを書いた付箋をテキストに貼っていました。

最初から「これがキーワードだよ」とテキストで指示されている論点もあるのですが、それがない場合は、自分自身でどれがキーワードなのか把握しなければなりません。

ただ、テキストを全部見ていては時間がもったいないので、目立つように付箋を貼り、そこを見ればキーワードがわかるようにしていました。

その付箋があるページには、さらに付箋を貼り、すぐに開けるようにしています。

こうすることで全部を読まなくてもいいですし、時間を短縮して復習できるようになりました。

そのため、理論科目でも別にノートを作るようなことはせず、テキストで一元管理するようにしていました。

◆ミスも付箋にメモし、テキストで一元管理。

これまでの経験に背中を押された受験生活

――最後に、学習スケジュールの立て方やモチベーション維持の方法について伺います。徳山さんは、どのように毎日の学習計画を立てていましたか?

徳山さん まずは答練の予定でスケジュールを埋めました。週に数回あるので、復習も間もないうちに次の答練が始まるイメージです。

その合間に、残していた講義があるときは講義を聴き、さらに空いた時間に自習をする、といった順番でスケジューリングをしていました。

基本的には朝から晩まで予備校にいて、まったく勉強しない日はなかったと思います。

スマートフォンもあると触ってしまうので、家に置いておくようにしました。

仕事を辞めて退路を断っているので、「休んでいる場合じゃないぞ」と必死でしたね。

ただ、日曜日は夕方に予備校が閉まるので、その後に家で洗濯物をたたんだり、それがちょっとしたリフレッシュになっていました。

◆短答式~論文式(1度目)で利用していたTACの予定表でスケジュール管理。

――ストイックに勉強されたのですね。そのなかで、モチベーションはどのように上げていたのでしょう?

徳山さん モチベーションの上げ方は、社会人時代と専念時代に分かれるのですが、社会人時代は「この道ではないところで頑張りたい」という、言ってしまえば負のイメージで勉強していました。

ただ、前職を辞めるとき、同僚から寄せ書きメッセージをもらったんです。

それが本当に感動して、最初はずっとめくっていたのですが、だんだん傷んできたので、スマートフォンで写真を撮って見ていました。

答練でショックな点数をとったとき、あまり勉強ができなかったときにパラパラ見て、この気持ちを忘れないようにしよう、また頑張ろう、と気持ちを切り替えていました。

「ここから抜け出したい」という気持ちで始めた公認会計士試験ですが、振り返ると、その社会人時代の仲間からの応援メッセージにかなり救われていました。

両方の意味で、これまでの経験がモチベーションになっていたと思いますし、改めて合格することができてよかったです。

――そのとおりですね。このたびは、励みになるお話をありがとうございました! 徳山さんの公認会計士としてのご活躍を応援しております♪


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