勉強スケジュールも「間違いノート」もこれ1冊で! イクメン税理士が教える手帳120%活用術


税理士 板倉 圭吾

こんにちは、イクメン税理士の板倉です。

私は現在、紙の手帳を愛用しており、仕事の予定も家族の予定もそこで管理しています。

なぜ手帳を重宝しているのかというと、それは「手帳の使い方を工夫したこと」が税理士試験合格のカギとなったからです。

育児をしながらの税理士試験。そのチャレンジを支えてくれた手帳の使い方をご紹介します。

【受験歴】
1998年 簿記論・消費税法→受験断念
2006年 簿記論→B判定 財務諸表論→A判定
2007年 簿記論→A判定 財務諸表論→A判定
2008年 財務諸表論→A判定
2008年~2011年 北海道大学大学院
2013年 国税徴収法合格
2014年 簿記論・財務諸表論合格(修士論文とあわせて12月に官報)
 
※2009年に3週間、2013年4月~2014年8月に育児休業を取得。

手帳の3つの役割

① スケジュールをひと目で確認する

まず手帳は、それ1つで情報を集約させることができます。

私が受験生時代から使っているのは「マンスリー手帳」。1ヵ月分の予定を俯瞰できるのでお気に入りです。

現在愛用しているのはキャンパスのマンスリー手帳ですが、その前は主に無印良品のマンスリー手帳を使っていました。

以下の写真は、簿記論・財務諸表論を学習していた2013年の12月のページです。

1ヵ月すべての予定がひと目でわかるようになっています。育児休業を取得し、育児をしながらの受験だったので、週末には子どもの受診予定なども書かれています(笑)。

当時は平日に講義をコンスタントに受け、答練などを進めていました。

赤字が財務諸表論、青字が簿記論の予定です。色分けすることで2科目をバランスよく進めることを意識していました。

② 逆算思考でゴールを見据える

手帳には本試験から遡って「1,2,3……」と数字を書き込んでいました。常に本番まで残り何日あるのかを意識するためです。

◆2014年7月(直前期)のページ。右下に赤くカウントダウンの数字を書いている。

同じように模試に向けたカウントダウンも重要です。本番に向けたリハーサルができるので、とりわけはじめて税理士試験を受験する場合は模試までの残日数を手帳に書くことをオススメします。

模試の出来は悪くてかまいません。逆算思考で学習を進め、落ち着いて当日を迎える練習をすることが模試の役割です。

アプリなどでも残日数は計算できますが、常に予定と一緒に確認できる手帳に書いておくことが私には効果的でした。

③ モチベーションを維持する

手帳の大きな役割は「モチベーション維持」です。私はこのために手帳を使っていると言ってもいいです。

次に、モチベーション維持に効果的な、手帳を使った「振り返り」の方法をたっぷり紹介します。

自由ページでモチベーションアップ!

「感想ノート」による振り返り

税理士試験は、勉強を始めてすぐには成長の実感がありません。

時間の経過と習熟度が比例するy=axという1次曲線ではなく、私の体感だとy=ax2という2次曲線のイメージです。つまり、直前期に習熟度が急に上がります。

それを信じて、不安を抑えながら目の前の学習をコツコツ進めることが税理士試験のキモではないでしょうか。

そのために大切なのは、勉強開始からの成長を俯瞰することです。

私は答練を解きはじめた頃に、手帳の自由ページに「感想ノート」も書きはじめました。

答練を解いた感想を書くのですが、しばらくしてから読み返すと、今なら「簡単だ」と思うところに昔は悩んでおり、そのたびに自分の成長を実感することができました。

感想ノートは、感想を「書いたそのとき」ではなく「見返したとき」に役立っていました。

「自分年表」による振り返り

「なぜ税理士になりたいか」を思い出すこともモチベーション維持にはベストです。

そのために私は、手帳の自由ページに「自分年表」を作り、人生の振り返りをしていました。

西暦と所属、思い出のイベントや出会った人などを書きとめることで、自分だけの年表がすぐにできます。

これをやる気が出ないときに読み返していました。

また、年表には過去のことだけではなく「夢」も書いていました。8月に受験予定の科目を書き、12月に「合格」と書いてしまうのです。

受験生にとっては、集大成となる目標が「税理士試験合格」であるはずです。これまでの記憶を思い出すと同時に、合格した自分も思い浮かべることで、モチベーションがさらに上がりました。

◆自分年表

「間違いノート」も手帳で管理

「間違いノート」も手帳に書いていました。

以下の写真は、左が財務諸表論、右が簿記論の「間違いノート」です。

私はフリクションペンで書き、克服できたものは消していました。つまり、ここに載っているのは「本試験当日まで残っていたしぶとい間違い」ばかりです。

毎日「間違いノート」を見て手入れすることで、自分の「間違い」にしっかり向き合うことができました。

また、ここでも簿記論を赤、財務諸表論を青と色分けしています。

このように複数科目を受験する際、「科目ごとに色を決める」のは効果があったと感じています。

科目ごとの学習傾向が色によって把握でき、どちらの科目についてのメモなのか思い出しやすいです。

“板倉流”スケジュールの立て方

「7日間1セット」のざっくりスケジュール

スケジュールを立てる際は、7日間や10日間を1セットとするのがオススメです。

私が簿記論・財務諸表論を受験した2014年は4月下旬に試験105日前を迎えたのですが、その時点では

7日間だと15セット
10日間だと10セット

を組むことができます。

1日に何をするのかまで落とし込まず、1セットで何をするのか(「答練の解き直しをする」など)というスケジュールを立てます。7日間を1セットとするのであれば、マンスリー手帳をそのまま活用できますね。

ざっくりと、しかし計画的に勉強できる点が育児をしながらの受験には最適でした。

超直前期は「表」にタスクを集約させる

私は超直前期を7日間×2セットの14日間としていました。本試験15日前からは週末も育児より勉強を優先です。

超直前期は、やるべきタスクをマンスリー部分ではなく表に集約させていました。

以下の写真は、簿記論・財務諸表論の表です。

・毎朝のルーティンである電卓操作(ウォーミングアップ)
・財表理論の柱建て
・本試験直前に解く問題
などのタスクが書いてあります。

答練を解いた際には、全体の得点ではなく、A論点(必ず点を取るべき箇所)でどれだけ点を取れたかを記録していました。大量の問題からA論点を見つけ出して解答する意識をもつためです。

一方で国税徴収法を受験したときは、解答のスピードより精度が合否を分けると感じたので、全体の得点を記録していました。

また、各章の理論柱をきちんと暗記しているかを再チェックする表を作りました。

◆国税徴収法の受験時は「合格手帳」を活用。

おわりに

学習スタイルによっていろいろな手帳の活用方法があると思います。

私にとっては「振り返り」がモチベーション維持に効果的であり、「7日間1セット」というざっくりした計画が焦らずに勉強を進めるのに適しており、超直前期にはさらに集約させてタスクを管理することが本試験会場に行く勇気を与えてくれました。

税理士試験は長く孤独なチャレンジです。しかし手帳の力を借りて、いろいろなアプローチで自分自身を眺めるっことができました。

皆さんの受験に少しでもお役に立てたら嬉しいです。

〈執筆者紹介〉
板倉 圭吾(いたくら・けいご)
板倉圭吾税理士事務所所長
1977年生まれ。小樽商科大学卒業後、北海道銀行に入行。その後、厚生労働省北海道労働局(労働基準行政)に奉職し、在職中に北海道大学大学院法学政治学専攻修士課程を修了、2014年に税理士試験合格。鈴江誠税理士事務所を経て2017年に独立開業。著書に『イクメンひとり税理士という生き方』(kindle版)など。


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