【税理士法人山田&パートナーズ社員インタビュー】File2:川村理重子「専業主婦から税理士へ! たくさんの仲間に支えられた働きながらの受験と大学院生活」
税理士法人山田&パートナーズ(YP)に入社して6年目の川村さん。大学卒業後に自動車メーカーへ就職し、結婚を機に退職。子育てがひと段落したところで、一念発起し税理士を目指されました。働きながら大学院に通い、今年6月に税理士登録。お仕事のお話はもちろん、受験勉強や大学院生活のこともたっぷりお聞きしています。専業主婦から税理士を目指す受験生の背中を押すお話です。
【目次】
これまでのキャリアについて聞いてみよう!
受験時代のことを聞いてみよう!
大学院時代のことを聞いてみよう!
未経験での挑戦について聞いてみよう!
現在のお仕事と働き方について聞いてみよう!
これまでのキャリアについて聞いてみよう!
――会計業界で働くことになったきっかけは何ですか?
川村さん ひょんなことからこの業界に入ったというのが正直なところです。結婚前は自動車メーカーの人事部で、国内外の出向や出張者のサポートをしていました。結婚し、夫の転勤を機に退職し、専業主婦だった時間が長かったので、年齢的にも雇ってくれるところがあるのかがすごく不安でした。
でも、「正社員として働きたい」という気持ちが強かったので、「何か1つ資格を取らなければ」と思って、大手資格専門学校の無料相談に立ち寄ってみたんです。そこで、たくさんの講座の中でも、偶然「税理士」の文字が目に留まりました。本当に、偶然ですね。
ただ、学生のときに簿記検定を受けたこともあり、そのときに「簿記の勉強は数字のパズルみたいで楽しいな」とも感じていました。だから、その延長線上にある税理士という資格に興味をもったという面もあるのかもしれません。
最初は「科目合格できれば十分」と思って、ゼロから簿記の勉強を始めて会計科目に合格することができ、それを機に、個人の会計事務所で働き始めました。すると、仕事が面白くて、欲が出てしまったんです。それで、そこから「税理士資格を目指そう」という気持ちになりました。
――はじめは「科目合格で十分」と思われていたのですね!?
川村さん はい、税理士試験が「科目合格制」である点にも魅力を感じていました。
当時、上の子が中学生で、下の子が小学4年生の頃で、少し手は離れてはいたんですけれども、完全にというわけではありませんでした。小学校から帰ってくる時間もありますし、スイミングやピアノといったお稽古事へ子供の送り迎えをしなければいけないということもありましたので。
でも、「税理士試験はいきなり取らなくても、1年に1科目ずつ取ることができるんだよ。諦めなければなれるんだよ」といった、専門学校の人の言葉に乗せられてしまったんですね。
でも、そこが大きな魅力でした。「これで本当に国家資格が取れるんだったらすごいな」と思ってチャレンジしました。
受験勉強を始めてからは、子供を学校へ送り出した後、お掃除などの家事を済ませ、専門学校に通っていました。10時から授業を受けて14時半までに自習も終えて家に帰るという生活で、子供が小学校から帰る頃には、もう家にいるようにはしていましたね。
受験時代のことを聞いてみよう!
――30代後半からの税理士試験、挫折などはなかったのでしょうか?
川村さん 「もう無理なんじゃないか」とか、「合格できないんじゃないか」と思ったことは何度もあります。そんなときに周りの人たちに話を聞いてみると、みんな同じ気持ちだったり、共感してくれたりする人がたくさんいたんです。
特に直前期の6~7月頃は勉強をいくらしても足りている気がしなくて、「もう受かる気がしない」という不安な気持ちになりました。ですが、すごく頑張っている受験生仲間の20代の女の子がいて、「どうやって時間を作っているの?」と聞いてみると、具体的に教えてくれたんです。その教えてもらったことを1つずつ実践しながら、計画的に勉強をしました。
昨年の直前期には、その女の子と毎朝7時から始業の9時まで、会社の個別ブースで毎日一緒に勉強していました。朝2時間勉強をすると、「もう1日のノルマはこなした」と思えて、多少の残業などもできました。なので、夜は時間があれば理論をパラパラっと見たくらいです。
振り返ってみると、仕事をしていたおかげで、孤独になりそうなときにも、いつも誰かがいてくれましたね。YPでは、12月の税理士試験合格発表の後、会社が合格者を表彰してくれるのですが、同僚と「来年は一緒に表彰してもらおうね」と励ましあったりしました。もちろん家族にも協力してもらって、あまりいい主婦でも母でもなかったと思いますが、ここまでやってこれました。支えてくれた皆さんには感謝しかありません。
あと、心に残っているのが、会社の上司が朝礼で、「ダメだと思っても、そこからもう30分、もう一踏ん張り」と受験生に向けて話されたんです。辛いときはこの言葉を思い出してやる気を保っていました。私の受験生活は、受験生同士で励ましあったり、経験者にたくさんお話を聞いたりして、模索しながらの挑戦でした。あとは信じてやると決めたらやるのみです。
――税理士の資格を取ろうと思った瞬間はいつですか?
川村さん 税理士という仕事をよく知らなかったのですが、なんとなく私の思っていた税理士とは違って面白い仕事だなというのが、働いて感じるようになりました。
というのも、税理士の仕事としては、電卓をすごいスピードで叩きながら、ペンを走らせ計算をして、帳簿や申告書を作り上げるようなイメージを持っていたんです。
けれども、はじめて働いた会計事務所の所長税理士は会計入力や申告書作成等は一切されなくて、それは私たちのような科目合格者に任せて、自分はお客様にもっと寄り添う形で相談に乗ったり、アドバイスしたりしていたんです。
所長税理士の専門知識を使った働きぶりをみて、税理士の仕事をもっと知りたいなという気持ちになりました。そして、その会計事務所は全員で4〜5人の小さな個人事務所だったので、もっと大きい事務所を見てみたいという思いから、山田&パートナーズに転職をしてきました。
――YPに転職してからは、どのような変化がありましたか?
川村さん YPに入社して、また新たな仕事に触れる機会がありました。それは、あるお客様のところで相続税の税務調査が入るということになり、直属の上司(税理士)にお供をしたときのことです。
特に相続税の調査だと、税務調査官と相続人というプロと素人のやりとりで、そこを税務調査官がうまく誘導するように、「ちょっと待ってよ」という方向に話を持っていこうとするんです。そこを、専門家である上司がさっと止めるんですよ。まさにお客様の盾になるんですよね。
「いったん待ってもらえますか?」と言って、話が進むのを止めて、相続人に「今の話はこういう意味だったんですが、あなたは本当にそういう意味で捉えていますか?」と聞いて、相続人にわかりやすい言葉で噛み砕いて説明していたんです。その場面を目の当たりにして、すごいなと思ったんです。
資格がないと税務調査は立ち会えないので、「本格的に税理士を目指そう」という気持ちになりました。
――かっこいい上司の姿ですね!
川村さん 周りには、「かっこいいな」「頼もしいな」と思う上司や先輩がたくさんいるので、目標にしています。
大学院時代のことを聞いてみよう!
――今年6月に税理士登録をされたと伺いました。 おめでとうございます!
川村さん ありがとうございます。昨年、法人税法に合格し、6月に税理士登録が完了しました。
YPに入社する前から法人税法の試験を受けていたんですけれども、なかなか簡単には合格できませんでしたね。YPに入社して2年経ち、「もう無理かな」という気持ちになった頃、先輩が「税理士試験でというこだわりがないんだったら、気分を変えて大学院に行ってみるのもいいのでは」と勧めてくれました。
「税理士試験の勉強とは違ういい点があるよ」と教えてくださって、それまでは大学院ルートのことは考えてなかったんですけれども、「それも1つかなあ」という気持ちが芽生えはじめたんです。上司にも相談したらすごく喜んで応援してくださったので、「じゃあ行ってみようかな」ということで、大学院に進学しました。
――働きながらの大学院生活はどうでしたか?
川村さん 平日は、大学院の授業が18時50分くらいから始まって、終わるのが22時頃、そこから家に帰ると23時前ぐらいに着いて、翌日はまた朝から仕事という日々でした。土曜日は、午後から授業が始まり、20〜21時までずっと大学院にいて、レポートを書いたり、論文を書いたりしていました。プライベートの時間はすべて勉強でしたね。
仕事面では、大学院に通っているということから、上司やメンバーには助けられていました。負担がかからないように配慮をしてもらったり、特に時短勤務をするといったわけではありませんが、自分でも調整したりするように心がけていました。
とはいえ、完全徹夜をした日も何日もありました。どうしても終わらないので、徹夜でレポートを仕上げたこともありましたね。
でも、大学院はとっても楽しかったですよ。久しぶりに学生生活を送ることができました。周りには税理士を目指す人だけではなく、純粋に研究目的で通う人やスキルアップのために通う社会人もいたので、いい刺激を受けました。みんなで学生に戻って、コロナの前でしたし「終わったらビール1杯だけ飲んで帰ろう」とか言いながら、楽しく大学院生活を過ごしました。
――法人税法に合格された2020年度税理士試験は、コロナ禍での受験となりましたね?
川村さん 大学院を修了した翌年の試験だったので、何が何でも合格したいという気持ちが強かったです。ですので、受験ができないということは本当に考えられなくて、日々不安でした。他の国家試験では延期や中止などが発表されていたので、税理士試験についてもいつ国税庁からどんな通知が出るのかと不安でした。また、家族みんなで体調管理には気を配りましたね。
未経験での挑戦について聞いてみよう!
――専業主婦から税理士になって、感じていることはありますか?
川村さん 会計業界にかぎらず、結局のところ大切なものはみんな同じだと思います。「対人感受性」とか、YPでは「人間力」というんですが、そういったところが一番大切なのではないでしょうか。
もちろん税務知識や会計の知識も必要ですが、それ以上にどの業界にも共通する「人間力」が一番大切です。それは、これまで専業主婦だったり別の業界で働いていたりしたとしても、経験が活きる部分です。
専業主婦であれば、子育てや幼稚園ママやご近所付き合いなどでいろいろな人と関わりながら過ごしてきたこと、そこで見たり聞いたりしてきたことが必ず活かせます。
これは、ご高齢者や相続人の方とお話しするときも、「この方はどういったことを感じていらっしゃるのかな」と考えることもできますし、「この方が気になっていることは何かな」と気にかけることもできます。そうやって、すべての経験が繋がっているのではないでしょうか。
そういう意味では、この業界には科目合格からでも足を踏み入れられるというのは魅力的ですよね。
――不安はありませんでしたか?
川村さん チャレンジするときは不安でした。
まず年齢的なもので、雇ってもらえるのかということや、若い優秀な人たちと一緒に働けるのかということですね。
あと、私が専業主婦をしていた間は、特に世の中がすごく動いた時代だったんですね。私のPCスキル大丈夫かなとか、エクセル、ワードも基礎の基礎しか使えず、会計ソフトも使ったことがないけれど大丈夫かなとか、そういう不安がすごくありました。
でも、実際に会計業界に入ってみると、思ったよりもなんとかなりました。つたないパソコンスキルであっても、周りの人に聞きながら、自分でも調べて、使いながら慣れていけばいいのです。年下の人でも、後輩の人でも、詳しい人に聞けば、みんな親切に教えてくれました。今思えばまったくいらない心配だったなと思っています。
現在のお仕事と働き方について聞いてみよう!
――現在のお仕事についても教えてください。
川村さん 主な業務は、個人資産税です。相続税申告や相続対策、あとは事業承継などのお手伝いをしています。
8割ほどが相続税申告です。主には富裕層の方々ですが、なかには相続税申告なんて関係ないと思っていたとおっしゃる方もいらっしゃって、年間10件以上の申告に携わっています。
また、法人税法に合格したこともあり、法人業務のメンバーにも加わることができ、上場会社に近いような大規模な会社の法人決算業務にも携われています。
――コロナの影響で働き方が変わった点はありますか?
川村さん たとえばペーパレス化やオンライン面談などといったものも、徐々に取り入れつつあったなか、コロナの影響でそれがグイッと加速して進められたというように感じています。
ペーパレスによって、PCがあればどこでも仕事ができるようになり、在宅勤務もしやすくなりました。Zoomのようなオンライン面談によって遠くの人とも顔を見てお話ができるようになったのはこの1〜2年の大きな変化です。
突如として導入しなければいけない状況になりましたが、意外とできるものなんだな、という実感があります。
また、税務署へ提出する書類も、押印不要なものも増えてきていますし、イータックスや電子申告も導入されているので、進んだなと感じています。
――在宅勤務はどういったときにされていますか?
川村さん たとえば、子供が急に熱を出したといったような、今までであれば有給休暇を消化するような場面でも、急遽、在宅勤務に変更するといった対応もできるようになりました。
在宅勤務制度やオンライン面談等はコロナの影響で急に取り入れたものですが、これはこれからも続けていくものと思います。オンライン面談は、物理的な距離が遠くても、顔を見ながら話ができますし、移動時間が不要なので効率化にもつながります。顧客の要望をくみ取り、よりよい提案ができる環境が整ってきているのではないかと思います。
また、在宅勤務制度も継続されると思うので、働き方が多様化し、主婦やお母さんたちに限らず男性も、今までだと諦めていた両立が、両立どころか2つも3つもできるようになってくると思います。
〈お話を伺った人〉
川村 理重子(かわむら りえこ)
税理士法人山田&パートナーズ プライベートアドバイザリー部・税理士
大学卒業後、新卒で入社した自動車メーカーを夫の転勤を機に退職。専業主婦となり2人の子を出産、子供の成長とともに自分の時間が持てるようになり、社会復帰への思いが強くなる。30代後半から税理士試験の勉強を始め、未経験の会計業界に足を踏み入れる。42歳で個人の会計事務所に就職し、その後、税理士法人山田&パートナーズに転職。働きながら大学院を修了し、2020年度税理士試験法人税法に合格。2021年7月、税理士登録。
【税理士法人山田&パートナーズ社員インタビュー】
File1:安岡 喜大「次の世代を担う人たちへ 税理士の仕事はこれからも社会に求められる」
File2:川村理重子「専業主婦から税理士へ! たくさんの仲間に支えられた働きながらの受験と大学院生活」
File3:井上 弘美「在宅勤務で子育てと両立! 税理士の資格は「長く働き続ける仕事」が魅力」
File4:土田 裕規「証券マンから会計業界へ! 公認会計士が「税理士法人」を選んだ理由」
File5:岩﨑 理恵「ロサンゼルスオフィスで奮闘した4年間! 帰国後も、税理士として日米の架け橋になる」
File6:山田 知佳「新卒で会計業界へ! 神戸⇄東京の「部門間交流」で得た経験を後輩たちにも伝えたい」
File7:阿部 佑大「自分の3本柱を意識! 地元・仙台で”お客様の近くにいる”存在になりたい」
File8:松田紗貴子「将来は海外で働きたい! 働きながらの受験生が活躍できる業界・組織の魅力」