加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
その他有価証券として保有するB社株式(取得価額1、000円、前期末時価200円、当期末時価800円)は前期末に減損処理を行い、繰延税金資産240円を計上した。当期の決算に際して、当期末の時価評価により繰延税金負債が180円計上される。法定実効税率は30%である。
解答
×
当期末の時価評価により、繰延税金負債ではなく、繰延税金資産が180円減額される。
(借)その他有価証券 600
(貸)繰延税金資産 180
その他有価証券評価差額金 420
根 拠
企業会計基準適用指針第26号「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」
その他有価証券の評価差額に係る一時差異の取扱い 38. その他有価証券の評価差額に係る一時差異は、原則として、個々の銘柄ごとにスケジ ューリングを行い、評価差損に係る将来減算一時差異については当該スケジューリングの結果に基づき回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上し、評価差益に係る将来加算一時差異については繰延税金負債を計上する。 (略) なお、減損処理したその他有価証券に関して、期末における時価が減損処理の直前の取得原価に回復するまでは、減損処理後の時価の上昇に伴い発生する評価差益は将来加算一時差異ではなく減損処理により生じた将来減算一時差異の戻入れとなる。 |
ワンポイントアドバイス
前期末に減損処理を行い税務上、損金不算入となると、将来減算一時差異が生じ、繰延税金資産を計上します。
税務上のその他有価証券の帳簿価額は取得原価であることから、「取得原価>当期末時価」となる場合は、将来減算一時差異となるため、当期末の時価評価の仕訳では、前期末に計上した繰延税金資産を取り崩します。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。