辰の介
(27歳)
合格時期:短答…2018年12月/論文…2020年11月
学習時間:8時間(アルバイトがあった日は2時間)
学習スタイル:専門学校(LEC東京リーガルマインド)
目次
☑公認会計士を目指したきっかけ
☑短答式試験での挫折と、退職の決意
☑決死の思いで迎えた7回目
☑【短答式試験】企業法・監査論で高得点を狙う
☑【短答式試験】管理会計論・財務会計論も理論が重要
☑1回目の論文式試験と、新たなご縁
☑アルバイトでの経験を活かし、2回目の論文式試験で合格!
☑メッセージ
公認会計士を目指したきっかけ
私が会計と出会ったのは2014年12月です。当時、市役所の福祉課に勤務しており、業務で社会福祉法人会計の知識が必要になりました。借方・貸方が何を示しているのかもわからなかった私は、まずは日商簿記3級のテキストを買おうと近所の本屋へ。ひととおりパラパラ読んだところ、すごく簡単に感じたため、2級のテキストを購入しました。実際、約3ヵ月の勉強で2級に合格。思えば、ここが人生の分岐点でした。
「3級を飛ばして2級に合格したの? すごいね!」職場に2級合格を報告した際、そう褒めていただいたことで、私は「自分には簿記のセンスがあるのではないか?」と、とんだ勘違いをします。当時はなんでもうまくいく気がしていたので、公認会計士試験も2級のようにすぐうかるでしょう、と軽い気持ちで予備校の通信講座に申し込みました。
短答式試験での挫折と、退職の決意
公認会計士試験を舐めていました。試験範囲が途方もなく広く、勉強しなければならない分量が明らかに日商簿記2級のそれと違います。
そもそも講義を消化しきれていませんでした。当時は平日フルタイム勤務であり、毎日20時くらいに帰宅し、長くても4時間程度しか勉強できません。一見すると勉強時間が確保できているようですが、公認会計士試験は学習内容の理解が重要です。仕事終わりで疲労している身体では、講義を眺めるだけで精いっぱいでした。
そのような学習環境で短答式試験に3回挑戦し、すべて惜しくもなく不合格。そんななか退職を決意したのは、当時ある予備校で公認会計士試験の講師をしていた方のラジオでの言葉でした。
「ローリスクでハイリターンを得ようなんて虫がよすぎる。ハイリターンを望むのであれば、自らハイリスクを背負わなければならない」
この言葉をラジオで聞き、私は「なんて欲張りだったのだろう」と思いました。安定した公務員を逃げ道として、いつかうかればいい。そんな気持ちでは、合格まで10年、15年、もっとかかるような気もしました。
急な退職によって、職場の方々には大変なご迷惑をおかけしました。しかし、最後には気持ちよく送り出してくださいました。そうして、私はやっと本腰を入れて公認会計士試験の勉強を始めることになったのです。
決死の思いで迎えた7回目
実のところ、私は短答式試験を7回受験しています。公務員として働きながら3回受験し、退職してから4回目で合格しました。
なぜこんなに苦労したのかというと、まずひとつは、きちんとインプットができていなかったからです。そのため、入門講義を受講しなおしました。その甲斐あってか、専念してから2回目(累計5回目)の短答式試験では、合格ボーダーに1.2%(6点)足りないという惜しい結果に。悔しいけれど、勉強のやり方は間違っていないと確信したことを覚えています。
しかし、専念してから3回目(累計6回目)の短答式試験でも不合格となりました。この原因は、前回惜しい成績だったからという油断にあると思います。実家で何も不自由することなく勉強できていたため、公務員を辞めたときのリスクを背負う覚悟を忘れていました。
このことを猛省し、専念してから4回目(累計7回目)の短答式試験に不合格となった場合は就職すると両親に誓います。そして、本番当日の朝、私は机の上に志望動機の欄以外を埋めた履歴書を置き、背水の陣で試験会場に向かいました。
結果として、合格ボーダーよりも13%高い得点で合格できました。ただ、正直なところ、ひとつ前の短答式試験のときと知識量はあまり変わらなかった気がするので、最後は「うかりたい」という気持ち次第なのかなと思います。
【短答式試験】企業法・監査論で高得点を狙う
短答式試験合格のカギは理論にあります。私が短答式試験に合格したときの成績は、次のとおりです。
・企業法 80点/100点 ・監査論 95点/100点 ・管理会計論 65点/100点(内、理論は35点) ・財務会計論 140点/200点(内、理論は56点) →合計得点 380点/500点(得点率76%) |
この回の合格ボーダーとなる得点率は63%でした。結果として、どの科目も単体で63%を超えることができたのですが、企業法と監査論の得点率が明らかに高いです。本来なら63%の得点率(63点ずつ)でいいと考えると、企業法と監査論は、高得点を獲得することが管理会計論や財務会計論に比べて簡単といえます。
私は、企業法と監査論では、一問一答などのアウトプット教材を徹底的に回していました。ただ、この勉強方法は、短答式試験で安定して高得点を獲得できる一方、論文式試験で重要な「理解」の部分は疎かになります。「とりあえず短答式試験を突破したい」という思いのある、時間のない社会人受験生以外にはあまりオススメできないので、注意してください。
【短答式試験】管理会計論・財務会計論も理論が重要
管理会計論は、1時間という試験時間の制約や近年の計算問題がとても難しいという点から、理論問題をいかに取りこぼさないかが重要です。そのため、「計算が得意だから理論の勉強は控えめに」といった選択肢は、そもそも存在しません。
管理会計論の理論(特に管理会計論点)は、理解が求められますので、テキストベースで勉強すると、結果的に点数は伸びるように思います。ここでの知識は、論文式試験における管理会計論の論述にも活きるので、しっかり理解するようにしてください。
財務会計論は、総合問題を除いて計算問題と理論問題の配点が1問あたり8点と、同じ点数であることが特徴です。つまり、頑張って時間をかけて解いた計算問題と、すぐに解ける理論問題の点数が同じということです。2時間という試験時間の制約、また、ラストに6題ある総合問題を解く時間的な余裕を確保したい点を考えると、こちらも理論問題をいかに取りこぼさないかがとても重要です。
財務会計論は、金融商品会計の計算問題を解いた後に、理論テキストで金融商品会計の章を読むといったように、計算と理論をリンクさせるような学習が効果的だと思います。私は、こうしたことで理解と暗記がはかどりました。
1回目の論文式試験と、新たなご縁
一時期、Twitterではある噂が広まっていました。それは、「短答式試験にうかれば論文式試験は余裕」というものです。実際、論文式試験は、受験した3分の1がうかる試験であり、感覚は人それぞれかもしれませんが、数字上では少なくない人数が合格します。
この噂もあり、また短答式試験に合格して気が抜けていたことから、私はゲームに熱中してしまいました。さすがにまずいと焦って勉強しましたが、1回目の論文式試験は、1科目でコケてしまって不合格となりました(他の科目は合格ボーダーを超えていたのですが……)。油断していたものの合格を信じていたため、内心ものすごくショックを受け、気分が戻るまでお歳暮のアルバイトに力を入れたりしました。
新たなご縁があったのは、その頃です。現在は同じ監査法人で働く知人から「予備校で答練の校正をするアルバイトがあるんだけどで、働いてみる?」ともちかけられ、その予備校で校正スタッフとしてお世話になることになりました。
アルバイトでの経験を活かし、2回目の論文式試験で合格!
2020年1月から予備校で校正スタッフとして働きながら、2回目の論文式試験の合格を目指すことに。週2回、1日7時間のアルバイトです。主に短答式試験や論文式試験の答練を校正していたのですが、たしかな知識が求められる以上、知識のメンテナンスを怠ってはいけないという義務感で、おのずと勉強に向き合うことができました。
校正をするうえで必要な知識を高い水準で維持するため、毎日全科目に触れるようにし、結果的にそれが2回目の論文式試験の合格につながりました。
同じく公認会計士試験合格を目指すアルバイト仲間とモチベーションを高め合うこともでき、思い返すと、2回目の論文式試験に合格できたのは、このご縁があったからだと思っています。
メッセージ
この試験は、圧倒的な勉強量が必要です。それには高いモチベーションも必要です。息抜きに周りの受験生と話をしてみてください。モチベーションが高まります。長い道のりですが、ゆっくり歩いていては苦しい日々が長引くだけですので、モチベーションを維持して一気に走り抜けてください。