加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
○×問題
剰余金1,000円、自己株式△100円、その他有価証券評価差額金200円(貸方残高)のとき、分配可能額は1,100円である。
解答
×
分配可能額は1,000円(剰余金)-100円(自己株式)=900円である。
根 拠
会社法 第461条
2 前項に規定する「分配可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる額の合計額から第三号から第六号までに掲げる額の合計額を減じて得た額をいう(以下この節において同じ。)。 一 剰余金の額 二 臨時計算書類につき第四百四十一条第四項の承認(同項ただし書に規定する場合にあっては、同条第三項の承認)を受けた場合における次に掲げる額 イ 第四百四十一条第一項第二号の期間の利益の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額 ロ 第四百四十一条第一項第二号の期間内に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額 三 自己株式の帳簿価額 四 最終事業年度の末日後に自己株式を処分した場合における当該自己株式の対価の額 五 第二号に規定する場合における第四百四十一条第一項第二号の期間の損失の額として法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額 六 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額 |
会社計算規則 第158条 その他減ずるべき額
法第四百六十一条第二項第六号に規定する法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額は、第一号から第八号までに掲げる額の合計額から第九号及び第十号に掲げる額の合計額を減じて得た額とする。 二 最終事業年度の末日における貸借対照表のその他有価証券評価差額金の項目に計上した額(当該額が零以上である場合にあっては、零)を零から減じて得た額 |
ワンポイントアドバイス
分配可能額は、剰余金(その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計額)から、会社法と会社計算規則に定める加減算項目を覚えましょう。
自己株式は原則として分配可能額の範囲内で取得するものであり、過去に取得した自己株式の額は分配可能額から除かれます。
また、その他有価証券評価差額金の借方残高(評価差損相当額)は損益計算書を通さず、剰余金(繰越利益剰余金)から控除されていないため、分配可能額から除かれます。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。