【簿・財 間違いさがしで実力チェック】第26回:キャッシュ・フロー計算書


加藤大吾
(公認会計士・税理士)


本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。


【問い】に対する【解説】について、誤りを含む部分を指摘しなさい。

【問い】
次の〔資料〕に基づき、当期のキャッシュ・フロー計算書において、投資活動によるキャッシュ・フローの合計額はいくらか、求めなさい。なお、キャッシュ・フローの支出となる場合には、金額の頭に△の符号を付すこと。

〔資料〕
1.有形固定資産12,000円を取得し、8,000円は現金で支払ったが、残額は翌期に支払うこととした。

2.その他有価証券として保有する株式(取得価額5,000円)を売却し、代金は現金で受け取った。これにより、投資有価証券売却益2,000円を計上した。

3.長期貸付金の期首残高は6,000円であり、期末残高は7,000円であった。期中の増加額は当期の貸付けによるものであり、当期に回収はない。

4.短期借入金の期首残高は10,000円であり、期末残高は15,000円であった。当期に新規で12,000円を借入れ、減少額はすべて返済によるものである。

【解説】 ※誤りを含みます!

1.投資活動によるキャッシュ・フローの各金額

(1) 有形固定資産の取得による支出

8,000円(現金による支払額)

(2) 投資有価証券の売却による収入

5,000円(売却原価)+2,000円(投資有価証券売却益)=7,000円

(3) 長期貸付けによる支出

7,000円(期末残高)-6,000円(期首残高)=1,000円

(4) 短期借入金の純増加額

15,000円(期末残高)-10,000円(期首残高)=5,000円

2.投資活動によるキャッシュ・フロー(解答の金額)(単位:円)

有形固定資産の取得による支出 △ 8,000
投資有価証券の売却による収入 7,000
長期貸付けによる支出 △ 1,000
短期借入金の純増加額 5,000

→投資活動によるキャッシュ・フロー 3,000


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