加藤大吾
(公認会計士・税理士)
公認会計士試験(短答式)の財務会計論の計算&理論のレベルを想定した○×問題を、2021年5月の本試験まで毎日(月~金)出題!
もちろん税理士試験の簿記論・財務諸表論、日商簿記1級の対策にも使えます。
【〇×問題】
さきに商品券100,000円を販売し、過去の経験から10%が未使用のまま失効すると見込んでいる。本日、商品45,000円を販売し、代金は商品券で受け取った。
(借) 契約負債 45,000
(貸) 売上 45,000
【正解】 ×
非行使部分10,000円について、顧客による権利行使のパターンと比例的に収益を認識する。よって、10,000円÷90,000円×45,000円=5,000円について、追加で収益を認識するため、売上計上額は45,000円+5,000円=50,000円となる。
(借) 契約負債 50,000
(貸) 売上 50,000
【根拠となる適用指針】
企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」
53. 顧客から企業に返金が不要な前払いがなされた場合、将来において企業から財又はサービスを受け取る権利が顧客に付与され、企業は当該財又はサービスを移転するための準備を行う義務を負うが、顧客は当該権利のすべては行使しない場合がある。本適用指針においては、顧客により行使されない権利を「非行使部分」という。
54. 契約負債における非行使部分について、企業が将来において権利を得ると見込む場合には、当該非行使部分の金額について、顧客による権利行使のパターンと比例的に収益を認識する。 契約負債における非行使部分について、企業が将来において権利を得ると見込まない場合には、当該非行使部分の金額について、顧客が残りの権利を行使する可能性が極めて低くなった時に収益を認識する。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。