加藤大吾
(公認会計士・税理士)
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
【問い】
次の〔資料Ⅰ〕および〔資料Ⅱ〕に基づき、当期(X1年4月1日~X2年3月31日)の株主資本等変動計算書における利益準備金の当期変動額はいくらか、求めなさい。
〔資料Ⅰ〕 決算整理前残高試算表
〔資料Ⅱ〕 決算整理事項
1.残高試算表の株主資本の各残高は、当期首残高である。また、発行済株式総数は10,000株、自己株式数は500株であり、当期中に変動はない。
2.残高試算表の仮払金には、X1年3月31日を基準日とした剰余金の配当の支払額が含まれている。剰余金の配当は1株当たり4千円であり、このうち、その他資本剰余金を財源とする配当が1千円であり、繰越利益剰余金を財源とする配当は3千円である。また、剰余金の配当に伴う準備金の計上が、未処理である。
【解説】 ※誤りを含みます!
(単位:千円)
(借) その他資本剰余金 11,000
繰越利益剰余金 33,000
(貸) 仮払金 40,000
資本準備金 1,000
利益準備金 3,000
(注1)仮払金:
10,000株(発行済株式総数)×4千円=40,000千円
(注2) 資本準備金:
40,000千円÷10×25%(財源割合)=1,000千円
(注3) 利益準備金(解答の金額):
40,000千円÷10×75%(財源割合)=3,000千円
(注4) その他資本剰余金:
10,000株×1千円+1,000千円=11,000千円
(注5) 繰越利益剰余金:
10,000株×3千円+3,000千円=33,000千円