第5問対策
第5問では、経営管理のための会計が出題される傾向にあります。そこでは、工業簿記的な仕訳や勘定記入よりも、原価管理のための差異分析や経営管理のための損益分岐点の分析などが出題されます。そのため、計算方法についてしっかりと理解するようにしてください。
⑴ 直接原価計算・全部原価計算・総合原価計算
第1のポイント
直接原価計算、全部原価計算の損益計算書の作成について確認しておきましょう。両者では固定費の取扱いが異なります。その結果、営業利益が異なることについて今一度、確認しておいてください。
第2のポイント
固定費調整について確認しておきましょう。直接原価計算方式のP /Lを全部原価計算方式に書き換えるものが固定費調整です。その計算方法について確認しておいてください。また、CVP分析について確認しておきましょう。基本事項である損益分岐点売上高(販売量)、目標利益を獲得するための売上高(販売量)や安全余裕率などについては、今一度、計算方法を確認しておいてください。ここは得点源になる論点にもなります。
第3のポイント
単位当たりの販売価格、変動費、固定費の金額が変更された場合の損益分岐点の感度分析についても確認しておいてください。直接原価計算方式を採ることで、C V P分析や、売上が2倍になれば営業利益はいくらになるのか?といった分析ができるようになります。この直接原価計算方式の有用性についても併せて理解しておいてください。
第4のポイント
原価を固変分解(高低点法)した後、CVP分析させるという問題や、直接原価計算方式の損益計算書を作成するという問題も予想されます。直接原価計算やCVP分析は原価を固定費と変動費に分解してはじめてできるものです。その点をしっかりと理解しておくようにしましょう。
第5のポイント
総合原価計算について、仕損・減損の計算方法もしっかり確認しておくとともに、材料の「平均的に投入」、「工程の終点で投入」、「途中で投入」の計算方法についても、一度確認しておきましょう。
⑵ 標準原価計算
第1のポイント
標準原価計算は出題の頻度が上がっており、第4問で出題される可能性もあります。差異分析について、BOX図を描くなどして計算できるようになっておいてください。有利差異・不利差異、貸方差異・借方差異の区分も間違いやすいので確認しておいてください。
第2のポイント
原価標準、勘定記入、差異分析等について確認するだけでなく、パーシャル・プラン、シングル・プランといった勘定記入と仕訳もテキスト等で確認しておいてください。パーシャル・プラン、シングル・プランは、どの時点で標準原価により記録するか、という点で異なります。両方法の違いを意識してみておきましょう。
第3のポイント
過去に、仕訳問題(第141回第4問)も出題されています。勘定記入だけでなく、仕訳も書くことを今一度、確認しておきましょう。
第4のポイント
第126回では仕掛品勘定と損益計算書の作成、第127回では原価標準、直接材料費等の総差異、標準消費量を求める問題が出題されています。差異分析だけでなく、これらの問題についても対処できるようにしてください。
第5のポイント
第4のポイントのために標準原価の流れを理解しておくとよいでしょう。
① 原価標準の設定
↓
② 生産量が判明し、完成品等の標準原価を計算・記録
↓
③ 実際消費量と消費額が判明し、差異を把握
↓
④ 差異の中身を分析
【執筆者紹介】
平井 孝道(ひらい・たかみち)
株式会社M-Cass 代表取締役
日商簿記検定1級合格、税理士試験2科目合格、公認会計士試験合格。専門学校や大学で、簿記検定講座(3級~1級)や税理士講座(簿記論)、公認会計士講座(財務会計論・管理会計論)などの15年を超える指導キャリアをもつ。