【簿・財 間違いさがしで実力チェック】第12回:リース取引


公認会計士・税理士 加藤大吾

本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。

本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。


難易度★★★☆☆

問題12 リース取引

【問】 次の〔資料〕に基づき,当期(X1年4月1日~X2年3月31日)の損益計算書の支払利息と減価償却費の合計額はいくらか,求めなさい。なお,途中計算上生じる端数は,円未満を四捨五入すること。

〔資料〕
X1年4月1日に,パソコン一式を対象物件とするリース契約を締結した。リース契約の内容は,次のとおりであり,ファイナンス・リース取引と判定された。

  • リース期間 X1年4月1日~X6年3月31日(5年)
  • 所有権移転条項および割安購入選択権はなく,特別仕様ではない。
  • リース料 年間10,000円(3月末,現金後払い),リース料総額50,000円
  • 貸手の購入価額は不明であり,見積現金購入価額は42,700円である。
  • 当社の追加借入利子率 年5.0%
  • 経済的耐用年数 6年
  • 減価償却は,定額法により,残存価額はゼロとする。
  • リース料総額に含まれる利息相当額は,利息法による。
  • 年金現価係数は,次のとおりである。
 4.0%4.5%5.0%5.5%6.0%
5年4.4524.3904.3304.2704.212

【間違いを含む解説】

1.期中仕訳および決算整理仕訳
(1) リース料総額の割引現在価値
10,000円×4.330(追加借入利子率5.0%・5年の年金現価係数)=43,300円
よって,見積現金購入価額42,700円と比較して,小さい方の42,700円(見積現金購入価額)をリース資産・リース債務の計上額とする。
(2) リース開始時(X1年4月1日)
(借) リース資産  42,700
   (貸) リース債務  42,700
(3) 第1回リース料の支払い(X2年3月31日)
(借) 支払利息    2,135
  リース債務   7,865
   (貸) 現金     10,000
(注) 支払利息:42,700円×5%=2,135円
(4) 減価償却(X2年3月31日)
(借) 減価償却費   8,540
   (貸) 減価償却累計額  8,540
(注) 42,700円÷5年(リース期間)=8,540円
2.支払利息と減価償却費の合計額(解答の金額)
2,135円(支払利息)+8,540円(減価償却費)=10,675円


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