公認会計士・税理士 加藤大吾
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。
難易度 | ★★★☆☆ |
問題9 固定資産②
【問】 次の〔資料〕に基づき,当期(X1年4月1日~X2年3月31日)の損益計算書の減価償却費と固定資産売却益はそれぞれいくらか,求めなさい。なお,減価償却は,月割計算によること。
〔資料〕
1.X1年9月30日に保有する車両(取得価額6,000,000円,減価償却方法は定額法,耐用年数5年,残存価額ゼロ,当期首までの減価償却累計額2,400,000円)をA社へ売却し,売却代金はX2年4月15日を満期日とするA社振出,当社宛の約束手形4,000,000円を受け取った。
2.X2年1月1日に,車両5,600,000円を取得し,代金は当座小切手を振り出して支払った。車両は同日より供用し,減価償却の条件は期中に売却した車両と同様である。
【間違いを含む解説】
1.期中仕訳
(1) 売却時(X1年9月30日)
(借) 受取手形 4,000,000
減価償却累計額 2,400,000
(貸) 車両 6,000,000
固定資産売却益 400,000
(注) 固定資産売却益(解答の金額)
4,000,000円(売却代金)-{6,000,000円(取得価額)-2,400,000円(減価償却累計額)}=400,000円
(2) 取得時(X2年1月1日)
(借) 車両 5,600,000
(貸) 当座預金 5,600,000
2.決算整理仕訳
(借) 減価償却費 280,000
(貸) 減価償却累計額 280,000
(注) 減価償却費(解答の金額)
5,600,000円÷5年÷12ヵ月×3ヵ月=280,000円
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