ココが間違い!
B社株式について,前期末時点で,時価が取得価額の50%以上下落しているので,減損処理を行っている。減損処理は切放法によるので,当期末の時価評価において,時価と比較すべき金額は,取得価額ではなく前期末時価となる。
1.決算整理仕訳 (2) B社株式 (借)投資有価証券 1,000 (貸)繰延税金負債 300 その他有価証券評価差額金 700 (注1) 評価差益 21,000円(時価)-20,000円(取得価額)=1,000円 (注2) 繰延税金負債 1,000円×30%=300円 (注3) その他有価証券評価差額金 1,000円-300円=700円 2.B/Sその他有価証券評価差額金 1,400円(A社株式)+700円(B社株式)=2,100円 |
【正しい解説】 1.決算整理仕訳 (2) B社株式 (借)投資有価証券 13,000 (貸)繰延税金負債 3,900 その他有価証券評価差額金 9,100 (注1) 評価差益 21,000円(時価)-8,000円(前期末時価)=13,000円 (注2) 繰延税金負債 13,000円×30%=3,900円 (注3) その他有価証券評価差額金 13,000円-3,900円=9,100円 2.B/Sその他有価証券評価差額金 1,400円(A社株式)+9,100円(B社株式)=10,500円 |
チェックポイント
前期末において減損処理を行った場合,切放法により処理されるので,翌期の帳簿価額は前期末時価で評価する点に注意すること。
なお,仮に前期末に計上した評価損が税務上損金不算入となり,税効果会計を適用し,繰延税金資産を計上していた場合,決算整理仕訳は,次のようになる。
(借) 投資有価証券 13,000
(貸) 繰延税金資産 3,600
繰延税金負債 300
その他有価証券評価差額金 9,100
(注) 前期末に計上した繰延税金資産12,000円×30%=3,600円を取崩し,会計上の簿価21,000円(時価)と税務上の簿価20,000円(取得価額)との差額が将来加算一時差異1,000円となるので,繰延税金負債1,000円×30%=300円を計上する。
〈バックナンバー〉