公認会計士と受験生の諸君へ!


4 臨機応変に

大手農機具メーカーの買掛金の「確認」手続において、日本代表する総合商社からの回答は会社の帳簿金額より200,000円少なかった。商社の課長は「自分たちは絶対に間違っていない」と主張した。おそらく、帳簿を修正することの責任問題も絡んでいたのであろう。「どうしましょうか」という経理部長の問いに「雑収益で処理しましょう」と答えた。その晩、経理部長の音頭でスタッフと焼き鳥屋に行った。

5 「公認会計士」の肩書きが使えない!?

海運不況の頃、大手商社からの内々の依頼で、瀬戸内海の造船会社に出向いた。商社からは公認会計士という肩書を使わないでほしいと言われた。監査人である公認会計士が出入りしているという「噂」を会社が嫌ったからである。「〇〇商社相談室」という名刺を作成し、会社の経営するホテルに1週間泊まり込んだ。多くのことを学んだ。

6 苦難を乗り越えてきた公認会計士

2000年を前後して始まった会計ビッグバン。連結会計、時価評価、固定資産の減損、退職給付、税効果等々、そして、粉飾決算に絡む監査不信。それでも、公認会計士は乗り切ってきた。今日、経営者による公認会計士監査に対する理解は深まり、業界に対する期待は確実に高まっている。
 
現役の公認会計士と公認会計士を目指す諸君にエールを贈ります。

〔執筆者紹介〕
千代田 邦夫
(ちよだ くにお)
1944年生まれ。1966年早稲田大学第一商学部卒業、1968年早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了。同年鹿児島経済大学助手、講師、助教授、1976年立命館大学経営学部助教授、教授、2006年立命館大学大学院経営管理研究科教授、2009年熊本学園大学大学院会計専門職研究科教授、2012年早稲田大学大学院会計研究科教授、2013年公認会計士・監査審査会会長(~2016年)を経て、現在立命館アジア太平洋大学客員教授、経営学博士 、公認会計士
<主要著書>
『新版会計学入門―会計・監査の基礎を学ぶ』(第6版)、中央経済社、2020年
『現場力がUPする課長の会計強化書』中央経済社、2019年
『財務ディスクロージャーと会計士監査の進化』中央経済社、2018年
『闘う公認会計士―アメリカにおける150年の軌跡』中央経済社、2014年
『貸借対照表監査研究』中央経済社、2008年
『課長の会計道』中央経済社、2004年
『監査論の基礎』税務経理協会、1998年
『アメリカ監査論-マルチディメンショナル・アプローチとリスク・アプローチ』中央経済社、1994年
『公認会計士―あるプロフェッショナル 100年の闘い』文理閣、1987年
『アメリカ監査制度発達史』中央経済社、1984年 他多数

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