つぶ問8-4(簿記論)―特商、工事収益、新収益認識


【解答】

【取引1】誤り。

 割賦販売における原則的な収益認識基準は、実現主義であるため、回収基準(未実現利益控除法)に従った処理を行うのは誤りである。

【取引2】誤り。

 決算整理仕訳では、積送品勘定の借方と積送品販売益勘定の貸方に、それぞれ16,000千円ずつ記入しなければならない。

【取引3】正しい。


【解説】

 収益認識に関する復習のために、仕訳の正誤判定問題を出題しました。

【取引1】

 割賦販売の勉強に慣れてくると、必然的に回収基準による収益認識を前提に問題を解いてしまいがちですが、原則的な収益認識基準はあくまでも実現主義です。このため、未実現利益控除法による利益の繰延べや、対照勘定法による回収部分のみの収益認識は行わない点に注意しましょう。

【取引2】(金額の単位:千円)

 総記法による決算整理では、積送品勘定の前T/B残高を積送品の期末棚卸高に修正するための仕訳が必要となります。本問の取引状況からすれば、積送品勘定の前T/B貸方残高は、以下のように計算できます。

借方記入額(2,000+20,000)-貸方記入額34,000=-12,000(貸方残高)

 この貸方残高を消去し、さらに期末棚卸高を4,000の借方残高にするには、次のような修正仕訳を行わなければなりません。

 ちなみに、積送品販売益の金額は、積送品の売上原価18,000(=22,000-4,000)と販売高34,000との差額としても計算できます。

【取引3】

 工事損失引当金の計上額は、最終的に計上される損失額から、これまでに計上した工事損益の額を控除して算定します。

 前期までの工事利益:2,000

 当期の工事損失:工事収益12,000-工事原価13,000=-1,000

 工事損失引当金への繰入額:-1,500-(2,000-1,000)=-2,500

 なお、工事損失引当金への繰入額は、工事原価に含められます。この点を誤りと判断してしまわないように気をつけましょう。

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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