つぶ問6-3(簿記論)―純資産(各項目、自己株式、新株予約権)、包括利益


【解答】

X1年度 168,750円
X2年度 207,500円
X3年度  63,750円


【解説】(金額の単位:円)

 ストック・オプションの費用計上に関する問題です。ストック・オプション数の変動による費用計上額の修正を適切に行えるかがポイントです。

1.費用計上すべき総額の計算とX1年度への配分
 ストック・オプション付与日における公正な評価単価を用いて、ストック・オプションの公正な評価額(=費用計上すべき総額)を計算します。単価を乗じるストック・オプション数については、権利不確定によって失効するストック・オプションの見積数を反映します。

総額:公正な評価単価1,000×10個/名×(対象者50名-退職見込者5名)=450,000

 費用計上すべき総額は、付与日(X1年4月1日)から権利確定日(X3年3月31日)までの期間にわたって、月割で配分します。したがって、X1年度への配分額は次のとおり計算されます。本問は12月決算である点に注意しましょう。また、実際の退職者数のデータが与えられていますが、確定した退職者総数でないため、解答には影響しないダミーデータになります。

X1年度配分額:450,000×9ヵ月÷24ヵ月=168,750

2.ストック・オプション数の修正とX2年度の費用計上額
 X2年度には、実際の退職状況から、退職見込人数が5名から7名に修正されています。これにより、付与するストック・オプションの総数が減少するため、公正な評価額も減少することになります。この修正に伴う費用計上額への影響については、修正を行った時点での一時の損益として処理します。
 

 したがって、X2年度の費用計上額は、(a)修正後の条件に基づくX2年度までのあるべき費用計上額と(b)すでに費用計上した額との差額によって計算します。

(a) 総額:公正な評価単価1,000×10個/名×(対象者50名-退職見込者7名)=430,000
  あるべき計上額:430,000×21ヵ月÷24ヵ月=376,250

(b)X1年度計上額:168,750

X2年度の費用計上額:(a)376,250-(b)168,750=207,500

3.ストック・オプション数の確定とX3年度の費用計上額
 X3年度では、権利確定日に退職者数が確定します。したがって、実際に退職した6名を除く、44名に付与されたストック・オプションについての費用計上が必要であったということになります。これに伴う費用計上額への影響については、X2年度と同様に処理します。なお、X3年度は権利確定日の属する年度のため、未認識部分を全額配分することになります。

(a) 総額:公正な評価単価1,000×10個/名×(対象者50名-実際の退職者6名)=440,000

(b)X2年度までの計上額:376,250

X3年度の費用計上額:(a)440,000-(b) 376,250=63,750

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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