【解答】
1. (借) 賞与引当金繰入 2,000/ (貸) 賞与引当金 2,000
2. (借) 賞与 10,000 / (貸) 未払金 10,000
3. (借) 役員賞与引当金繰入 12,000
/ (貸) 役員賞与引当金 12,000
4. (借) 役員退職慰労引当金繰入 15,000
/ (貸) 役員退職慰労引当金 15,000
【解説】
人件費に関する引当金の処理を確認する問題です。3と4は過去にあまり出題が見られないものの、役員報酬について注目が集まっているため、頭の体操も兼ねた問題としました。
- 期間を基準とした賞与であり、かつ見込額であり確定額ではないため、貸方は賞与引当金となります。金額は、30,000千円×4ヵ月/6 ヵ月-18,000千円=2,000千円と計算できます。
- 期間ではなく業績を基準とした賞与であるため、貸方は未払金となります。
- 役員賞与の支払いは株主総会での承認が必要であるため、承認前は金額が確定していないものとして引当金により計上します。ただし、あらかじめ業績連動型による支払いが承認されていたことにより金額が確定している場合、または株主総会を待たずに金額が実質的に確定している場合(株主が親族などで固められている、ある企業の子会社であるなど)には、未払役員報酬(未払金)などで計上することが考えられます。本試験で出題されるとすれば、問題文の指示等で貸方の計上科目が指示されるものと思われます。
なお、まだ本誌では扱っていない税効果会計(または別の科目である法人税法)の内容となりますが、従業員賞与は引当金計上時ではなく支払時に損金に算入されるため税効果会計の対象となります。それに対し、役員賞与は一定の税務上の要件を満たさないと支払時にも損金算入できません。したがって、税務上の要件を満たさない役員賞与は永久差異となります。 - 企業によっては、役員退任時に功績に報いる目的などにより、退職慰労金が支払われることがあります。この支払いも株主総会の承認が必要ですが、あらかじめ支給基準を定める内規があり、過去の実績から支給される(承認される)可能性が高い場合には引当金の計上が必要です。
つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。