つぶ問1-1(簿記論)


【解答】

①総記法,小売棚卸法
②分記法,売上原価対立法
③総記法,三分法,小売棚卸法
④三分法,売上原価対立法

【解説】
簿記論つぶ問初回のため,数字を使わずに解ける問題としました。このような文章問題は簿記論の本試験で出題されることはないかもしれませんが,記帳方法の全体の確認に利用してください。解答に上がっている小売棚卸法は本誌では扱いませんでしたが,ちょうど今年の平成30年第68回簿記論で出題されたため,最後にまとめて説明をします。

①総記法は,仕入時は原価で商品勘定の借方に記録し,売上時は売価で商品勘定の貸方へ記録します。そのため,期中の商品勘定の残高が何を表しているのか分からない金額となりますが,仕訳は原始的でシンプルになります。

②分記法と売上原価対立法は,商品の仕入時と売上時の両方で原価により商品勘定へ記録します。そこで,①の総記法とは異なり期中の商品勘定がその時の商品の原価を示すものとなります。三分法の繰越商品勘定は期首の商品原価であり,期中の商品の原価ではないため,当てはまりません。

③この問題は②の裏返しです。期中の処理のままでは商品勘定が商品の原価にならないため,決算整理仕訳で商品勘定もしくは繰越商品勘定を期末の商品原価へ修正することが必要です。また,決算整理仕訳の結果,売上総利益(総記法の商品販売益勘定)もしくは売上原価(三分法の仕入勘定)も示されることになります。

④分記法と総記法は,商品販売益勘定で売上高と売上原価の差額(純額)である売上総利益が示されます。それに対し,三分法と売上原価対立法では,売上高は売上勘定,売上原価は仕入勘定または売上原価勘定で,別々に総額で示されます。

つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。


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