【連載】<税理士試験簿記論&財務諸表論> 敏腕講師・かえる先生の独学合格ロードマップ2023(第4回)


諸角 崇順

【編集部から】
会計人コースWebの記事を解析すると、税理士試験・会計士試験ともに独学での学習法についてPV(ページビュー)が非常に多いです。でも、独学の場合「いつ・何を・どう勉強していけばよいか」を自分自身で考えて実行しなければならず、この点が受験生の大きな悩みどころではないでしょうか。
そこで、本連載では、敏腕講師のかえる先生(諸角崇順先生)に、主に独学で税理士試験の簿記論・財務諸表論の学習をスタートする方、もしくは前回の試験までは専門学校を受講していたものの次回は独学で再チャレンジしようという方に向けて、毎月1回、その時々で実践すべき学習内容を提示して合格をナビゲートしていただきます(毎月1日更新予定・23年8月1日まで全11回予定)。
独学の方はもちろん、専門学校の講義を受講している方も是非参考にしていただければと思います。
それでは今月の学習ナビゲーション、スタート!

’23年1月の学習ナビ

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、1月1日の配信ということで、みなさんはこの記事をどこで読んでくださっているでしょうか?
お正月ということで、普段よりゆったり過ごしている方も多いと思います。

そこで今回は、ご実家等でテレビを見ながら、また、ご家族でのんびりくつろぎながらでもできる作業をしておいていただけたら、ということで書いていきたいと思います。

その作業とは、試験会場の確認です。
ちなみに、昨年の試験会場は下記のリンクから確認することができます。
令和4年度(第72回) 税理士試験 試験場一覧|国税庁 (nta.go.jp)

もちろん、みなさんが受験する今年の試験会場が、昨年と異なる可能性はありますが、昨年の試験会場がどこかという情報は1つの参考になるでしょう。
特に、試験地区(神奈川県、香川県など)はそう変わるものではありませんので、まず、「自分が前泊する可能性が高いのか」を確認して、前泊する可能性が高いなら、年始のゆったり過ごせる今の時間に、「もし昨年の試験会場と同じだったら泊まる可能性が高いホテル」を探しておくことをおすすめします。

なお、例年、簿記論の着席時間は午前8時45分ですので、自宅から試験会場まで2時間以上かかるような場合は、試験の前日はホテルに泊まったほうが無難です。なぜなら、試験は平日(簿記論・財務諸表論は火曜日)に実施されることから、ちょうど通勤ラッシュの時間帯と重なります。さらには、もし、事故等で電車が止まってしまった場合などには、パニックになる可能性があるからです。
また、普段使っていない路線を使うことになるので、当日はどうしても早めに自宅を出るか、一度、下見をしておくことになるでしょう。しかし、前泊だと「遅刻」という概念がありませんので、時間の無駄も生じません。ただし、枕が変わると寝られないような方は、各自で判断してください。

ホテルを選ぶ際は下記のことを参考にしていただくといいと思います。

<前泊する受験生のための「ホテル選び」チェックリスト>
① 勉強できる大きな机がある。
② 試験会場まで歩いて行ける。
③ 個別空調(各部屋で温度調整ができる)になっている。
④ 枕の固さや高さが選べる。
⑤ エレベーターホールの近くの部屋は避ける。
  ⇨騒音対策。エレベーターを待つ人たちが会話するとうるさく感じる。
⑥ できるだけ角部屋にしてもらう。
  ⇨騒音対策。通路の突き当たりなので、部屋の前をしゃべりながら通る人はいません。
   また、隣の部屋が1つだけになるので少なくとも隣の部屋からの騒音リスクを半減できます。
⑦ 繁華街のホテルは避ける。もしくは高層階の部屋にする。
  ⇨騒音対策。特に、駅前や1階がコンビニ等だと深夜まで騒ぐ人がいることも。
⑧ 夕食がバイキング形式のホテルは避ける。
  ⇨騒音対策。夏休みで家族連れや学生同士の旅行が必然的に多く、騒がしくなる可能性が高い。

友人や家族との旅行と異なり、試験前日の「追い込み勉強」に耐えうる条件に該当するホテル(部屋)は意外と少ないものです。
試験会場が正式に発表されると、そのような条件に適うホテルは空室が瞬間蒸発しますので、今のうちから探しておいて目処をつけてきましょう。

試験直前の貴重な時期に、「ホテル探しで数日使ってしまった…」、なんてことが起こらないようにしたいものです。
旅行サイトで、試験会場近くのホテルを探して、部屋の写真を見て、机の大きさを確認して、個別空調かどうかをホテルに確認して・・・、ということをしていると、あっという間に2〜3日は過ぎてしまいます。

貴重な時期にホテル探しで時間を失うことを避けるため、ゆったり過ごせる可能性の高い「年始」に、テレビを見ながら、ご家族と他愛のない会話をしながら、スマホでちょこちょこと探しておくことをオススメします。

ちなみに、私が受験生だったときは、当時、京都に住んでいましたが、あえて少し離れた地方会場の金沢で受験しましたよ。
なぜなら、簿記論の試験終了後、お昼休憩でホテルの部屋に戻り、静かでエアコンの効いた個室で、財務諸表論の最終確認をしたかったからです(試験終了後、自分へのご褒美として金沢観光するためでもありますが…)。

簿記論と財務諸表論の間のお昼休憩(1時間30分)は、受験生同士が答え合わせをしたり、マウント取り合ったり、とても落ち着いて財務諸表論に向けての最終確認ができる環境ではありません。
また、真夏の試験なので、お弁当や食べ物を持参すると食中毒のリスクがあるので、簿記論の試験が終了した後、ホテルの冷蔵庫内に保管しておいた食べ物を軽く食べながら、財務諸表論の最終確認するために前泊しました(ちなみに、試験会場近くのコンビニの食料は、朝のうちに売り切れることが多いです!)。

長々と書いてしまいましたが、先月と今月は年末年始ということで、「勉強」以外で独学の方をサポートできる記事をメインとしました。
みなさんは受験生です。お正月とはいえ受験生であることを忘れないでください。
机に向かって勉強する時間は減るかもしれませんが、その分、直前期に発生する「作業」を年始のタイミングで行っておくことで、直前期の貴重な勉強時間を奪われずに済むことになります。

それでは、科目別のお話をしていきましょう。

【簿記論・財務諸表論−共通】「問題の中心論点」を瞬時に見つけるトレーニングの準備をしよう!

資格学校が新年の授業再開を迎える1月5日頃までは「総復習期間」でいいと思います。そして、その総復習期間が終わったらやっていただきたいことがあります。
それは、年内に使っていた問題集のタイトルおよび難易度、制限時間を消す、という作業です。

年始は、どうしても移動時間があったり、ご家族と一緒にテレビを見たりする時間が増えるので、そのような時間に、こうした「作業」をしておくと、集中して勉強できる環境に戻った日に、作業で貴重な時間を消費せずに済みます。

(例)使っていた問題集の「タイトル・難易度・制限時間」を修正テープなどで消す

試験では、「問題を解くスピードが重要」というのは独学の方でも一度は聞いたことがあると思います。
ただ、そのスピードという言葉を誤解している受験生が多いです。

スピードというのは電卓をたたくスピードや文字を書くスピードではなく、問題を見て『問題の中心論点』を瞬間的に見つけることができる、というスピードです。

そのためには、先入観をもたず問題に向き合う必要があるのですが、上記のように問題にタイトルが書いてあると、その問題が「破産更生債権等」が中心論点になっているのが問題文を読む前からわかってしまい、『問題の中心論点』を見抜く力を身につけることができなくなります。

また、「試験では難しい問題は飛ばして後回し」ということもしないといけませんが、問題に難易度表記がされていると、問題の難易度を見抜く力を養うことができなくなります。
さらには、制限時間が書いてあると、「その問題を解くのにどれぐらい時間がかかるのか」を自分で判断する力がつかなくなってしまうのです。

【簿記論】消し込んだ問題で実践トレーニング

年内の総復習が終われば、個別問題に加えて、週に1、2問のペースで総合問題を解きましょう。
総合問題を解く際は、上述したように、制限時間や難易度表記を消し込み、解答を開始したら最初の2〜3分を使って、「自分だったら、問題を解き終わるのに何分かかるか」、「どの資料は飛ばす論点か」を判断してから解き始める練習をしましょう。

  1週間あたりの勉強時間の目安:16時間前後

【財務諸表論(計算)】正式な解答を作り上げる

簿記論と同じく年内の総復習が終われば、個別問題に加えて、週に1、2問のペースで総合問題を解きましょう。
総合問題を解く際は、簿記論と同じように、解答開始時の作業をするとともに、財務諸表論では最低でも2回に1回は解答用紙まで完成させるようにしましょう(注記の解答も含めて)。

財務諸表論は処理よりも表示が重視されますので、問題用紙上に書き込むだけで終えたり、計算用紙の完成で終えたりせず、正式な解答用紙まで作り上げることを心がけてください。

1週間あたりの勉強時間の目安:8時間前後

【財務諸表論(理論)】企業会計原則とセットで復習

年明け以降は、新しい会計基準(「金融商品に関する会計基準」など)の理解と暗記に励みたいところですが、その際、企業会計原則の復習とセットで行うようにしましょう。

例えば、「金融商品に関する会計基準」の勉強をしたときは、企業会計原則の「有価証券」の理論を復習する、「棚卸資産の評価に関する会計基準」の勉強をしたときは、企業会計原則の「棚卸資産」の理論を復習する、といった感じです。
そうすることで、企業会計原則のどこに改善すべき点があったのか、そして、会計の向かう方向性が見えてくるからです。

1週間あたりの勉強時間の目安:12時間前後

第5回は2月1日(水)にUP予定です。
ご期待ください!

【連載バックナンバー】
第1回(10月の学習ナビ)
第2回(11月の学習ナビ)
第3回(12月の学習ナビ)
第4回(1月の学習ナビ)

<執筆者紹介>
諸角 崇順
(もろずみ・たかのぶ)
大学3年生の9月から税理士試験の学習を始め、23歳で大手資格学校にて財務諸表論の講師として教壇に立つ。その後、法人税法の講師も兼任。大手資格学校に17年間勤めた後、関西から福岡県へ。さらに、佐賀県唐津市に移住してセミリタイア生活をしていたが、さまざまなご縁に恵まれ、2020年から税理士試験の教育現場に復帰。現在は、質問・採点・添削も基本的に24時間以内の対応を心がける資格学校を個人で運営している。
ホームページ:『かえるの財務諸表論』 (peraichi.com)

【書籍紹介】

『次こそ!税理士試験に合格する方法』(中央経済社)
本記事の執筆者である諸角崇順先生の学習アドバイスをはじめ、合格体験記や独立開業日誌など会計人コースWebの記事に加筆・編集をしてまとめた1冊です。
ぜひご覧ください!

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