【税理士試験 相続税法】合格発表を受けて令和3年に合格するために今すべきことは?


12月18日に令和2年(第70回)税理士試験結果が公表されました。

相続税法は、受験者数2,499人、合格者数264人で、合格率は10.6%(昨年は11.7%)と、昨年と同じく全科目のなかで最も低い合格率となりました。

惜しくも令和3年(第71回)の試験に再チャレンジされることになった方、来年のチャレンジに向けて不安が大きい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、税理士で相続税法の講師をしていらっしゃる梨井 俊先生に、来年の試験に向けた勉強のヒントを伺いました。

令和2年(第70回)の難易度

――今年の試験は難しかったようですね。

そうですね。ただ、難易度は高かったですが、予備校の直前期の問題形式に近く、例年と比べてやや取り組みやすい問題だったのかな、と思います。

ただし、これは計算の話です!

――理論は難しかったのでしょうか?

理論は2問とも事例形式で、1つは「改正論点も絡んだ手続事例」という、非常に実務色の強い問題でした。

このような「手続関係の事例問題」は3年に1回は出題されます。

ただでさえイメージしにくい手続規定に、事例問題の要素がかかわってくると、正解率は低くなります。

もう1つの理論問題もなかなかとっつきにくい事例で、相続税法だけの知識ではイメージしにくかったのではないでしょうか。

実力者の方でも、「理論から解答を始めて時間を使いすぎてしまった」という声を聞きました。

低かった合格率

――今年の相続税法の合格率は10.6%でしたね。

予想以上に低かったですね。

合格率10%台は非常に低いという印象です。

それだけ、理論は「解答要求事項の把握もれ」が、計算は「時間不足による空欄」が目立つ答案が多かったのだと予想されます。

令和3年(第71回)に向けて

――では、来年の試験に挑む受験生は、どのように勉強していけばよいでしょうか?

まず、相続税法の試験傾向として、平成27年に施行された、いわゆる大改正(基礎控除と税率との改正)から少しずつ変わってきているように感じます。

その背景としては、この大改正により、今まで以上に相続税の申告が必要となる相続が増え、税理士試験を勉強していない方も「相続」というものに興味関心をもつようになったことが考えられます。

そのため、私たち税理士も、相続税法を「知っている≒申告書が作成できる」だけでなく、納税者に対して「話せる≒課税の有無や仕組みの説明ができる」必要が出てきました。

――税理士として今の社会で求められている仕事ですね。

そうですね。

この流れに従って、従来以上に「改正論点」「実務上のトピック論点」に焦点が当たるようになりました。

今回のような「事例理論2題」という出題になったのも、こういった背景があることが考えられます。

そのため、このことを意識して勉強すべきでしょう。

また、2つめの理論で出題された「代物弁済という法律行為にかかる相続税法上の課税」は珍しい論点でした。

しかし、解答要求事項であったであろう「低額譲受益や債務免除益に対する課税」は、他の税法との兼ね合いから、課税実務においては、税理士としてしっかり把握しておかないといけない論点です。

理論への対策

――珍しい論点に初見で対応するのは難しいと思うのですが、どうしていけばよいのでしょうか?

このような理論を説明する問題は、実ははっきりとした解答のテンプレートが構築できていない現状があります。

税理士は「税法の専門家」なので、「法律家になる」というスタンスで見れば、いわゆる三段論法(①法律要件とその効果の説明、②本件事実の確認と法律要件へのあてはめ、③本件事実にかかる効果の結論)の流れで解答するのが望ましいです。

しかし、試験時間を理論と計算で半分ずつ使うとすると、60分で理論2題の答案を作成するのは非常に骨が折れますよね。

そのため、個人的には、以下の流れで答案を作成することをおすすめしています。

① 結論を端的に述べる

② 関連条文を上げる

③ 本件事例に条文の表現を当てはめる

このように、理論は「暗記している」だけでなく「説明できる」も要求される傾向にあり、今まで以上に「頭が疲れる」ようになりました。

計算への対策

――頭が疲れる(笑) 計算のほうはどう対策していけばよいでしょうか?

計算問題を解くにあたって重要なのは「スピードと精度の安定感」です。

難しい問題を時間をかけて解くより、難しくない問題を周りより速く正確に解ける実力が大切です。

そうすれば、理論にも、先ほどお伝えした「暗記している」だけでなく「説明できる」を反映させるくらいの、十分な時間を配分することが可能だと感じています。

――計算はスピードが必要なのですね。今日はありがとうございました。

〈お話を聞いた人〉
梨井 俊(なしい・しゅん)
税理士
大手有名専門学校で相続税法の講師を務めるかたわら、月次顧問を主な業務とする開業税理士。大学受験の学習塾で英語講師を8年間務めた経験から、学習法や覚える仕組みを資格試験の勉強にもあてはめ、活用法や座学と実務の違いなど、積極的に情報発信も行っている。

▼梨井先生のブログ


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