
【編集部より】
明けましておめでとうございます。本年も会計人コースwebをよろしくお願いします。
さて、士業のメリットとして定年がないことがあります。新春特別企画では、長く・楽しく士業を続けるをテーマに、ご執筆いただきます。
開業26年を迎えて
私は現在、「小さな相続専門税理士」として相続税を中心に業務を行っています。
税理士登録から年数を重ね、気がつけば今年2026年には、開業26年、そして個人としては還暦(!)を迎えます。こうして振り返ってみると、税理士という仕事は本当に不思議で、年齢を重ねるほどに面白さが増していく仕事だと感じています。
士業のメリットとしてよく挙げられるのが、「定年がない」という点です。確かにその通りですが、私自身はそれ以上に、「年齢が強みになる仕事」であることが、士業の最大の魅力ではないかと思っています。
「完璧を目指さない」「人と比べない」ことをモットーに
もちろん、ここまで順風満帆だったわけではありません。開業当初は、仕事がない不安、先の見えない焦り、周囲と比べて落ち込むことの連続でした。「自分には何ができるのだろう」「このまま続けて意味があるのだろうか」と、何度か立ち止まりました。
そんな中で私を支えてくれたのは、「完璧を目指さない」という考え方でした。
最初から立派な税理士であろうとせず、目の前の相談者一人ひとりに、今の自分ができる最善を尽くす。それを積み重ねるしかない、と腹をくくったのです。
また、「人と比べない」ことも意識しました。士業の世界は優秀な先生方が多く、能力や規模…比べ始めるとキリがありません。比べるなら過去の自分だけ。昨日より少し前に進めていれば、それで十分だと思うようになりました。
長く・楽しく続けるために大事にしていること
そして、私が長く士業を続けるうえで、何より大切にしているのは、実は「変わり続けること」です。
「変わり続けること」が大切とは、意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。なぜなら、経営はぶれないこと・芯がしっかりしていることが大事とよく言われるからです。
特に士業は保守的と思われがちですが、実際には社会やお客様の悩みは常に変化しています。だからこそ、こちらもサービスの提供の仕方や仕事のやり方を、変えていく必要があります。
私の場合、その一つが、YouTubeでの情報発信です。
2024年6月から、YouTubeチャンネル「小さな相続専門TV」を本格的に始めました。
これは私にとって大きな挑戦でした。カメラの前で話すことも、編集も、最初は分からないことだらけ。それでも「難しい相続の話を、少しでも分かりやすく伝えたい」という思いが、更新を後押ししてくれました。
ちなみにYouTubeに取り組んだ背景ですが、相続のお客様になる60代以上の方のスマホ普及率がアップしたこと、60代以上の方が最も利用するSNSがYouTubeだという統計情報を知ったことが大きかったです。
結果として、YouTubeは新しい仕事の形を与えてくれただけでなく、「まだまだ新しいことに挑戦できる」という自信もくれました。年齢やキャリアに関係なく、学ぶことをやめなければ、士業はいつまでも成長できる仕事だと実感しています。
おわりに ― これからと、受験生の皆さんへ
2026年に還暦を迎える私ですが、「そろそろ落ち着こう」とはまったく思っていません。
むしろ、これからが本番だと思っています。これまでの経験を活かしながら、新しい表現、新しい挑戦を続けていきたい。その一つが、これからも続ける情報発信です。
士業を目指す受験生の皆さんにお伝えしたいのは、「今の不安は、将来の糧になる」ということです。
試験勉強での苦しさ、迷い、焦りを乗り越えた経験は、必ず実務で誰かの気持ちに寄り添う力になります。
士業は、年齢を重ねることがマイナスにならない、むしろプラスになる仕事です。長く、そして楽しく。自分なりのペースで、この仕事を続けていっていただけたら嬉しく思います。
著者プロフィール
木村 聡子(きむら・あきらこ)
税理士。2000年税理士として開業。相続税を専門とし、「小さな相続専門税理士」として活動。相続税申告をはじめ、生前対策、二次相続を見据えたコンサルティングなど、一般家庭に寄り添った相続実務を得意とする。
YouTubeチャンネル「小さな相続専門TV」を運営し、難解になりがちな相続・税金の話を、専門家以外にも分かりやすく伝える情報発信を継続中。
チャンネルURL https://www.youtube.com/@kimutax-tv











