
諸角崇順(かえるの簿記論・財務諸表論講師)
はじめに
ついに合格発表を迎えました。
合格された方、本当におめでとうございます!!
合格した方と惜しくも合格できなかった方。
結果は残酷ですがはっきり分かれてしまいます。
惜しくも合格できなかった方のほとんどは、来年の本試験でリベンジすることを心に誓ったと思います。
そこで、微力ながら「先生」と呼ばれる私がリベンジのサポートをさせていただきたいと思います。
油断していると初学者に逆転されてしまう!今日は反省し、明日から前を向こう!!
それではさっそくですが、次のグラフ(60を合格ラインとした場合の一般的な得点力推移グラフ)をご覧ください。

初学者の得点力の伸び方
初学者の方は、当たり前ですが初学(すべてが新しい内容)です。
つまり、1年間通して見れば、1時間勉強すれば1時間分だけ得点力が上昇します(やったらやった分だけ得点力が上がる、ということです。そのため、モチベーションは比較的保ちやすいでしょう)。
ただ、基礎期(ひととおり受験範囲全体の勉強が終わるまでの期間。一般的な資格学校のカリキュラムだと開講から年末までの期間)においては、習得した知識が、まだ全体が俯瞰できるものになっていません。
そのため、点の知識が線の知識になることは基本的にありません。
ですから、そこまで得点力は上昇しません。
体感としては1時間勉強しても30分程度分の得点力アップにとどまると思います。
しかし、応用期(受験範囲の2回転目以降の学習期間)に入れば、点の知識が線の知識としてつながりを持ち始めることから、未学習の論点にも対応できるようになってきます。
こうなれば、一気に得点力が上がり始めます(1時間勉強すれば1時間30分程度の得点力が上がるイメージ)。


点の知識が線としてつながるということは、会計学や税法の考え方の「方向性」が見えてくるということ。
未学習論点が出題されても、「概念フレームワークの考え方の方向性はこんな感じだから、この問題、学校で習ってないけどたぶんこう答えたらいいんだろうな」などと考えることができるようになります。
未学習論点であっても、得点をもぎ取ることができるようになるのです。
受験経験者の得点力の伸び方
一方、受験経験者の方は、受験科目を一通り勉強しています。
2年目になると、1時間勉強しても数分程度分しか得点力が上がりません(勉強時間のほとんどが学習済み項目の「確認」「復習」となってしまうため、ほとんど新しい知識の習得がない。また初学者コースでは取り扱っていない新しい知識を習得したとしても初学者コースで取り扱っていないということは出題可能性が低い論点なので、すぐに得点力に反映されるわけでもない)。
よって、なかなかモチベーションが上がりません。
さらに、受験経験があるのでテストを受けたらある程度の得点はとれてしまう(先ほどの得点力グラフの合格発表日(11月末)時点でいうと、受験経験者の得点力は35、初学者の得点力10ですから、初学者の得点力をはるかに上回っている)ため、「私、まだまだ戦える!!」というように、気持ちに緩みが生じてモチベーションが上がってこないことになります。
こういった状況が受験経験者のモチベーションupの妨げになるわけですが、モチベーションを上げていかないことには2026年も同じ結果(不合格)となってしまいます。
なので、今日中に不合格になった原因をしっかり分析し、明日から前を向く必要があります。
<モチベーションを上げる一例>
・応援してくれている方に「次は絶対合格する!できなかったら撤退する!」と宣言する。
・うわべだけの優しい言葉をかけてくれる人からは距離を置く。
(=厳しいことを言ってくれる方を信じる。)
・授業料相当額で、家族でどこに旅行できたか、任天堂Switchが3台買えたね、などと話し合う。
・経験者は有利、という考えを捨てる。
・受験仲間と必要以上に仲良くしない(基本的にライバル、すなわち好敵手、です)。
・トイレやスマホの待ち受け等、毎日目にする場所に不合格の結果通知を掲げておく。
合格発表後の1ヶ月間(リハビリ期間)を無駄にするな!
残念ながら不合格となった方の中には(確かに気持ちが落ち込むのはわかりますが)、「残念会」「リベンジを誓う会」などといって飲みに行き、そのまま忘年会シーズンに入ってしまう方もいます。
合格発表後の1ヶ月間(12月)を、落ちた科目のリハビリに充てずに過ごすと、さらなる得点力低下につながります。
厳しい言い方をすれば(勉強方法が間違っていたこともあるでしょうが)、勉強時間が足りずに不合格になったわけです。
結果を見た瞬間から気持ちを切り替えてリスタートしないといけません。
よって、先ほども書きましたが、今日は不合格となった原因の分析をして、明日からリスタートをするのです。
そして、年明け以降もしっかりと初学者並の勉強時間を確保し、リベンジを確実に果たすようにしてください。

※合格発表後すぐにリスタートし、年明け以降も手を緩めず初学者の圧倒的上をいく得点力を生み出す場合。
受験経験者が陥るワナ
ちなみに、受験経験者が陥るワナとして、1年目の勉強時間をそのままに2年目の勉強時間を合計し、合格必要勉強時間を計算しようとしていることです。
例えば、簿記論でいうと去年600時間勉強したから今年は400時間の勉強時間が必要だな、という間違いです。
本試験日から合格発表日まで、受験された科目の勉強をしていなかったのであれば(当たり前ですが)得点力は下がっています。
ですから、1年目に費やした勉強時間に「0.5」を乗じてください。
そして、その時間プラス2年目の学習時間で合格に必要な勉強時間を超えるよう勉強計画を立ててください。
1,000時間-600時間×0.5=700時間
※ 1年目以上に勉強時間が必要となる方も多いかと思います。
おわりにーー来年から別の科目を受験する合格者の方へ
最後になりますが、合格された方、本当におめでとうございます!!
きっと今は合格の余韻に浸っているかと思いますが、私は根性論・精神論が支配した昭和生まれの人間なので、あえて一言。
合格したわけですから、合格をつかみ取ったあなたのその勉強方法は正しかったことが証明されたわけです。
なので、勉強方法を変えていただく必要はありません。
ただ、今、あなたが学習している科目は今年合格した科目と比べてボリュームはどうなのか。
それを把握しておいてほしいのです。
具体例で説明させていただくと、あなたが今年、簿記論を一発合格し、来年の受験科目として法人税法を選択したとします。
あなたの勉強『方法』は正しいことが証明されましたが、勉強『時間』についてはきちんと考えておく必要がある、ということです。
下記の表を見ればおわかりかと思いますが、勉強時間に関しては簿記論のときの2倍程度確保しないと法人税法の一発合格は難しい、ということです。
このことを認識せず、1年目と同じように学習していると足をすくわれることになります。

※問題に恵まれたら・・・、予想がぶち当たったら・・・、というレベルで合格を狙う方は上記の勉強時間の半分を目安にしてください。
※資格学校等が公表している標準学習時間は受験生の気持ちを萎えさせないため、気持ち控えめに設定されていますので、本気で一発合格を考えるのであれば上記を目安にしてください。
※あたりまえですが各人の初期値(国語力、記憶力など)によっても大きく変動します。
よって、勉強方法は変えることなく、勉強時間をうまく調節してください。
税法に進んだ方へ
最後に、税法に進んだ方に、私から少し早めのクリスマスプレゼント!
「税法受験生のほとんどは簿財合格者」
「簿財の合格率は平均すると15%前後」
簿財で上位15%にいた方々が母数を構成する税法で、上位12%前後(税法の平均的合格率)に入ろうと思ったら、体感として簿財で上位1.8%(=15%×12%)に入るぐらいの気合いでやらないと、税法一発合格はできないということです。
この事実を早めに知った方は、税法一発合格の可能性がかなり高まります。
ねっ、うれしいクリスマスプレゼントだったでしょ?
合格されたみなさま
本当に合格おめでとうございます!!
すばらしい!!
自信を持って前に進もう!!
【著者プロフィール】
諸角崇順(もろずみ・たかのぶ)
大学3年から税理士試験の学習を始め、23歳で大手資格学校にて講師デビュー(財表)。その後、法人税法の講師も兼任。大手資格学校に17年間勤めた後、関西から福岡に引っ越し。さらに佐賀県唐津市に移住し、質問・採点・添削につき基本的に1時間以内に対応する税理士試験予備校「かえるの簿記論・財務諸表論」を開校し、年中無休で受験生をサポートしています!
ちなみに私が考える優しさは「短期合格してもらうこと」です。優しい言葉で甘やかすことばかりではいけないと考えている昭和の人間です。



-1-150x112.jpg)







