【会計士試験】試験制度の変更を受けて受験生が意識すべきポイントは?~第2回 短答対策への影響


平林黎(TAC公認会計士講座講師)

はじめに

第1回では、試験制度の変更の概要について説明しました。
第2回では、短答対策への影響についてお話します。

影響が大きい科目は・・・

大きく変わるのは、財務会計論・管理会計論です。苦手な論点を減らし、変更後の問題形式に慣れることがポイントです。

問題数と配点・出題順の変化

●「基本的な問題を幅広く出題する」「論文式試験を受験するために必要な知識を体系的に理解しているか否かを客観的に判定する」という短答式試験の役割・位置付けに照らして、財務会計論・管理会計論の問題数が増加します。

●一部7~8点だった問題の配点が、5~6点へ引き下げられます。

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問題数が増えるということは、試験1回あたりの出題分野が増えます

時間や他の科目との兼ね合いもありますが、重要論点は潰し込みましょう

また、財務会計論については、個別論点が組み合わさった総合問題の出題も考えられます。予備校の問題集・答練などで練習しておきましょう。

出題順の変化

理論問題をまとめて出題した後に、計算問題をまとめて出題、という構成に変更されます。
※2025/9/22公表

もともと多くの受験生が理論を先に解いていたため、大きな影響はないでしょう。
ただし、以下のような細かな工夫は必要になるかもしれません。答練時は、自分なりに試してみてください。

●理論を解き続けて、集中力が下がってきた場合は一旦計算へ進む
●余白の少ない計算問題が隣り合った状態で、下書きをどこに書くか
※ホッチキス使用可

試験時間の変更

管理会計論・財務会計論

問題数増加に対応して、試験時間が長くなります。全てを解き切るのは依然として難しいです。今後の答練・模試の機会を活用しましょう。平易でも手間がかかる問題は、従来と同様に一旦飛ばす方針で構いません。正確かつ手際よく解く能力を、普段の自習で磨きましょう。

企業法・監査論

試験時間が10分短縮されます。1問2分ほど×20問で、元々時間が余る受験生が多かったものの、多少焦る場面が想定されます。自分にとっての「常識」を増やして、平易な問題は手際良く確実に正答できるようにしましょう。自習時、1問あたりの時間を時折計ってみてください。

休憩時間の短縮

短時間で効率的に教材確認・リフレッシュできるように、答練・模試時からルーティンを決めておきましょう。

疲労によるミス対策

受験経験者の短答生からは、新形式の答練を受けて、問題数増加や総合問題の影響もあり財務会計論を受けている最中以前より疲労感が強かったと伺っています。計算は午前中眠気覚ましも兼ねて取り組む受験生が多いですが、疲労によるミス対策として、夕方にも一部取り組むと効果的です。

次回は、論文対策について見ていきます。

第1回の記事はコチラ

【プロフィール】
平林 黎(ひらばやし・れい)


TAC公認会計士講座講師(フォローチーム主任、学習相談/学習法セミナー/受講生向け公式LINE/財務会計論-理論質問対応)
1986年東京都多摩市生まれ。国際基督教大学教養学部国際関係学科卒業。体調を崩し、公認会計士試験を一度撤退。
2014年独学で保育士資格取得後、公認会計士を再度志す。
2016年論文式試験に合格し、現職。
2020年以降、オンラインでの相談対応・セミナーを開始。
下記SNSで主に受験生に向けた情報発信を行っている。

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