読書の秋! ぶーちょさんがオススメする課題図書
- 2025/9/12
- 書籍・雑誌の紹介

【編集部より】
読書の秋。 「スキルアップがしたい!」、「キャリアやプライベートで新しい発見がしたい!」と考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、本企画では、実務家などの読書愛好家から、会計人コースWeb読者の皆さんにオススメする「夏休みの課題図書」をご紹介いただきました(1日お一人の記事を順不同で掲載します・不定期)。
受験勉強はもちろん、仕事や人生において新しい気づきを与えてくれる書籍がたくさんラインナップされています。ぜひこの機会にお手にとってみてください!
まえがき
ぶーちょです。読書の秋になると、「積読本をさらに積み重ねたいなあ」なんてことを思うわけです。
ということで今回は「読書の秋の課題図書」について書いていきます。
私なんかに、こんな立派な場所を与えるなんて・・・
中央経済社さんは何を血迷ったのかと思いますが、現場歴17年の野良経理マンから「オススメ書籍3選」をご紹介いたします。
オススメ図書①『「別表四と五」完全攻略本』(高下淳子著、中央経済社)
会計パーソンにとって避けては通れないのが、法人税です。
非上場企業の経理部門では「申告書の作成ができて、やっと一人前」と言われることもあり、現場では「難しそう」というイメージを持たれがちです。
中には下積みに10年かかる人もいるほどですが、実際に申告書を作成した経験のある経理担当者からすると、「税務上の所得さえ計算できれば、あとは何とかなる」というのが本音ではないでしょうか。
この書籍は、まさにその“税務上の所得”の計算方法を、やさしく解説してくれています。
私自身、申告書作成の経験はありましたが、後輩に教える立場になって改めてこの本を手に取り、基礎から学び直しました。
本書の特長は、法人税の申告書作成において特に重要な所得の計算、別表四と別表五に焦点を当て、税務用語や記載ルールについて実務に即して解説している点です。
また、上場企業向けに求められる税効果会計や税率差異分析(Tax Proof)についても触れられており、非上場企業の実務担当者はもちろん、上場企業で開示業務に関わる方にとっても学びの多い一冊です。
あらゆる会計パーソンが「読んで損のない」良書だと思います。
オススメ図書②『消費税申告書作成事例集インボイス制度対応版』(清文社)
インボイス制度の導入により、消費税計算の実務は大きく変わりました。
それまで日々の会計処理は「課税仕入を取るか取らないか」くらいでしたが、「課税仕入を取れたうえで全額が課税仕入になるのか?」という判断が増えました。
決算の実務において、消費税の計算は一番最初の工程になります。
消費税額が固まったあとに法人税額や税効果の計算、連結、キャッシュ・フロー計算書、決算開示に招集通知、株主総会・・・ものすごく限られた時間で進めていくため、消費税の計算でモタモタしてるわけにはいかないのです。
この書籍は消費税の申告書作成だけでなく、日々の会計処理にも触れられている実務書です。
辞書的な役割としても、この書籍はとても役に立つと思います。
簿記では消費税の計算を習わないため、消費税の計算は実践で初めて目にすることになります。
この書籍ではケースタディ形式で幅広く取り上げられていますので、実務経験の浅い会計パーソンにとってもオススメの書籍です。
オススメ図書③『システムを作らせる技術-エンジニアではないあなたへ』(白川克・濵本佳史、日本経済新聞)
システム導入の成功確率は、一般的に5割程度と言われています。
つまり約半数のシステム導入プロジェクトが失敗に終わっています。
システム導入の投資額は会社に与えるインパクトも大きく、失敗した際にさっさと捨てられるなら御の字で、むしろ5年、10年と使い続けて苦しむことになります。
そんな高額な買い物、普通に考えれば相当慎重になるべきです。
しかし世の中のシステム開発系の本は「システムを“作る”側の目線」ばかりで、ビジネスパーソンのほぼ大半である「システムを“使う”ユーザー側の目線」の書籍はありませんでした。
本書は「使う側」、つまり導入現場の視点から書かれています。
このアプローチがこれまでの書籍にはなかった魅力です。
この本に書かれていることを素直にやっていけば、過去に私が失敗してきた「アレが足りない」「コレがもうちょっとあーなってくれれば」といった場面は格段に減ります。
会計パーソンはエンジニアではありません。
しかし今や会計パーソンにとってもITの共通言語が求められる場面も多いので、この本は実務をやってる会計パーソンに響く内容が詰まっていると思います。
【執筆者紹介】
ぶーちょ
窓際にも座らせてもらえない野良経理マン
経理歴17年、上場企業/経理財務部長
仕方なく経理ネタの発信をしているバツイチ婚活アカウント。
Xアカウント(@buchok_dojo)