【編集部より】
さる12月9日、「短答式試験の1問あたりの配点及び試験時間等の調整について」が公表されました。
会計人コースwebでは、試験の実施主体である公認会計士・監査審査会にインタビューをしてきました!
令和7年12月の短答式試験からの改正のねらいについて
――短答式試験の問題数を増やし、それに伴い各科目の試験時間の調整を行う意図は?
短答式試験の役割・位置付け
審査会 10年以上前の短答式試験では、管理会計と監査論を一緒に20問ずつを2時間で解く形式でした。それを分離して1時間ずつとした際、管理会計20問を1時間で解くことは計算問題がある以上困難であることから、問題数を減らして現在は16問になっています。財務会計も問題数が減りました。
短答式試験の役割・位置づけは「基本的な問題を幅広く出題する」「論文式試験を受験するために必要な知識を体系的に理解しているか否かを客観的に判定する」という点にありますが、試験問題数が少なくなると、短答式試験の役割・位置付けからズレが生じてきているという課題があると考えられます。
より的確な判定に向けて
審査会 現在の公認会計士試験は、受験者が増えており、倍率も非常に高くなっています。倍率の内訳をみると、論文式試験は安定的に30%半ば程度を保っている一方で、特に短答式試験の合格率が低下している状況にあります。こうした中、短答式試験では科目によって1問あたりの配点に8点から4点まで2倍の差があり、「どの問題ができるか」というやや偶然の要素が合否に与える影響が大きくなっていると考えられます。
このような状況を踏まえ、各科目の配点(合計点)や問題の難易度を維持しつつ、計算科目において問題数を増やし1問あたりの配点を引き下げ、それに伴う各科目の試験時間の調整を令和8年第1回短答式試験(令和7年12月)から行うことを予定しています。
具体的な内容については、令和7年6月に予定している令和8年公認会計士試験の施行公告のタイミングで示すことになります。
試験時間の変更について
――試験日程が2日間になったりする可能性は?
審査会 マークシート形式である短答式試験においては、解答に至るプロセスの性質上、計算問題と理論問題で1問あたりの解答に要する時間は異なります。計算科目の問題数を増やすことに伴い、このような計算問題と理論問題の解答時間の違いも踏まえ、試験時間の調整を行うことを検討しています。
あくまで検討段階ではありますが、問題数の増加に伴い全体として試験時間は少し伸びる方向かと思います。一方で、試験時間が長くなると、試験会場の確保等にも関係しますので、終了時刻があまり遅くならないよう詳細を検討していきます。
令和9年以降の公認会計士試験について
――資料の末尾には令和9年度から短答式試験及び論文式試験の合格基準等の見直しが言及されていますが、これはどのようなものでしょうか?
審査会 論文式試験の合格率は30%半ば程度と安定的ですが、受験者が増える中で、特に短答式試験の合格率が低下している状況にあります。
短答式試験があまりに厳しい試験となると、受験者の受験意欲を削ぐ可能性や、受験者の勉強が短答式試験中心になってしまう可能性があり、こうした状況は、質の高い合格者を選抜する観点から課題があると考えています。
このため、より多くの受験者が論文式試験を受験できるようにし、それに伴い論文式試験においてより競争が促される形となるよう、合格基準等の見直しを検討しています。
この点についても検討中の段階ではありますが、令和9年試験以降に行うことを検討していますので、決定し次第改めて公表していきます。
論文式試験は難化する?
――論文式試験が難化するのではというSNSでの意見もありましたが?
審査会 現段階では試験問題の難易度を変えることを検討しているものではありません。一方で、論文式試験を受験できる者を増やし、論文式試験においてより競争を促すという観点で、合格基準等を見直すことを検討していますので、論文式試験の倍率としては今よりも高くなることを想定しています。
会計士試験の今後について
――司法試験が令和8年からCBT化、パソコン試験となりますが、会計士試験ではその動きはありますか?
審査会 司法試験の状況については我々も注視しているところですが、現段階で何か決まっていることはありません。論文式試験といっても、公認会計士試験と司法試験では論文式試験での記述量も異なりますし、CBT化により試験の運営コストが増加するとなると受験料の引上げにもつながりますので、CBT化のメリットやコスト等も踏まえつつ検討を行っていきます。
――ありがとうございました!