わたしの独立開業日誌 #会計士 藤沼寛夫


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

独立開業した経緯

はじめまして。2019年に独立・開業しました、公認会計士・税理士の藤沼寛夫(ふじぬまひろお)と申します。
現在は中小企業の資金調達支援・M&Aアドバイザリー支援・会計監査・経営コンサルティング等を中心に、幅広くサービス提供をしています。執筆現在(2024年7月)は、独立開業して6年目に突入しました。

私は2013年公認会計士試験(論文式)に合格し、2014年に現在のEY新日本有限責任監査法人に入社しました。
監査法人では人間関係で悩むこともあり、その後2018年に中堅会計事務所に転職しました。

転職先なら「自分の本当にやりたかったこと」ができるし、楽しく仕事ができるはず!
・・・そう思ったのも束の間、転職先でも同様に人間関係で悩むことになりました。

その時、「転職しても何も変わらない」、「そもそも自分は会社員に向いていない」と気付き、翌日に退職願を提出し、結局その会計事務所を半年ほどで辞めました。

独立開業にあたって準備したこと

私の場合、何の準備もなく独立しました。
もちろん準備しておくに越したことはありませんが、準備せずとも独立できるのが公認会計士資格の強みです。

独立後はアドバイザリー・税務の勉強が必要だったため体に負荷はかかりましたが、すべてが楽しく、精神的なストレスはほとんど感じませんでした。

独立後は事業収入がゼロになりますが、監査法人での非常勤バイトがあるため、生活費が途絶える心配がありませんでした。

独立開業までに積んだ経験

監査法人時代は、国内企業の会計監査(上場・非上場・IPO)に携わりました。また、転職後の会計事務所では税務アドバイザリーやM&Aアドバイザリーの仕事に携わりました。

どちらも公認会計士としてはごく一般的なキャリアだと思いますが、会計監査の経験は独立後も大きく役立っています。

独立後の成功体験

「独立したら、仕事は選ばず何でも受けるべき」とよく言われますが、これは本当にその通りだと実感しています。
というのも、すべてにチャレンジすることで自身の得意・不得意が浮き彫りになり、かつプロジェクトの収益性を把握できるからです。

今では仕事を選ぶようになりましたが、これは「やりたくない仕事をやらない」というわけではなく、経営における集中戦略です。
つまり、1年目は自分の適性を図るために様々な仕事をこなし、徐々に好き・得意・収益性の高い仕事に特化していきます。

これによって、特定分野のノウハウが蓄積されるため競合との差別化ができ、かつ事務所のブランディング戦略にもつなげ、市場での優位性を獲得できるようになります。
そうして徐々にドメインを集中していったことで、最終的には「自分の得意なフィールドで勝てる」事務所ができあがりました。

会社員時代は与えられた仕事だけを淡々とこなせば評価されますが、独立後は自分で戦うフィールドを見極める必要があります。
このフィールドを見極める能力は、独立直後から何でも仕事を引き受けた経験によって身につきました。

独立前に経験すべきだったこと

独立前は監査法人・会計事務所の2社を経験していますが、IPO・国際系のプロジェクトにもう少し携わっておくべきだったと感じています。
なぜなら、これら2つの分野は非常に市場が大きいと実感したからです。

市場が大きいということは、仕事のチャンスが多いということです。
特に、国際系のプロジェクトは営業においても「言い値」で提案しやすく、収益性が高いです。

すでに相場の固まりきった市場で戦うよりも、まだ相場が安定せず、ルーティンワークも少ない市場で戦ったほうが事務所を成長させるチャンスが多くあります。

一般に、IPOや国際案件はハードワークで知られていますが、(独立を考えている方は特に)自分への将来投資であると考え、積極的に関わったほうが良いと思います。
もちろん、その他の経験(監査・経理など)も公認会計士としての大きな経験にはなりますが。

独立してからの仕事術

私は、いかに他者と差別化できるかを常に考えています。
サービス内容だけでなく、価格、集客チャンネル、地域、対象顧客など、様々な視点で差別化を考えます。

「公認会計士である」という事実だけでも多少の差別化にはなりますが、これに甘んじていると苦戦を強いられるはずです。
差別化を行うためには競合のリサーチが必要ですから、交流会等にも積極的に参加し情報収集を行いました。

また、一度差別化を行ったとしても、同様の戦略をとる競合事務所が出てくるとコモディティ化する恐れがあります。
そのため、常にセンサーを張り巡らせておき、他事務所の動向をチェックできるようにしています。

<プロフィール>

藤沼 寛夫(ふじぬま ひろお)

公認会計士・税理士
藤沼会計事務所 代表
アカウントエージェント株式会社 代表取締役
資金調達・ファクタリング支援、M&Aアドバイザリー、税務コンサルティングを得意領域とする。
1986年神奈川県生まれ。2013年公認会計士試験(論文式試験)合格。2014年EY新日本有限責任監査法人入社。2018年中堅会計事務所入所。2019年藤沼会計事務所開業。2020年アカウントエージェント株式会社設立。
藤沼会計事務所HP
アカウントエージェント株式会社HP

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