【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
Challenge leads to change チャレンジし続けたところ・・・
皆さんこんにちは! 税理士・米国税理士の玉婆(@tamabar)こと、山口玉美と申します。
いわゆる税クラ(Twitter界隈の税務に関わる方々をこう呼ぶそうです)の中では新参者でございます。
日本大学芸術学部(通称、日芸)の音楽学科を卒業してから、税理士になるまで、私の道のりをまとめますと、このようになります。
エステティシャン見習い
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販売員
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メーカー経理(ここで、簿記と出逢う)
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簿記1級取得後、ITベンチャーへ転職するも倒産・解雇
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法人税法の合格とともに会計事務所へ転職
(個人会計事務所で所長・先輩事務員からイジメに遭う→20名規模の税理士法人へ再び転職し3年)
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その後、官報合格後に100名規模の税理士法人へ転職(ここで税理士登録)
我ながら波乱万丈な人生なのですが、ご覧のとおり、はじめから税理士を目指していたのではありません。
降りかかってくる試練を受け止め続けたところ、税理士になってしまったということでございます。
そして、これから詳しくお話しするように、現在は「ハワイ」をテーマにした税理士として活動をしております。
Jump into global tax issues 目指せ国際税理士
私の税理士受験界デビューは、財表の本試験が終わった直後に開設したWebサイト「Tama Bar~税理士受験生の玉婆が熱く語るページ」(平成23年にサイト閉鎖)でした。
将来、お酒を飲んでくつろぎながら税務相談ができる、BARのような税理士事務所がやりたいな、なんて思い描いて始めたウェブサイトです。
でも実際は、税理士試験の受験卒業後に転職した税理士法人で、所属税理士を8年続けていたのですね。
しかし、医療専門部の配属で、資産税専門部が別にあったため、せっかく相続税法に受かったのに相続に関する実務経験が積めなかったり、マニュアル化を推進していて税理士個人の力量よりも看板で付き合っているクライアントが多いと感じたのがどこか引っかかったりしていました。
また、ちょうどその頃、「独立しないんですか?」と顧問先や同業者団体の仲間からチラホラ聞かれることが増えたり、父が定年退職して、家にこもって寝たきりにならないように何か仕事をしてもらいたいと思ったり、さまざまなことから、「機が熟してきたな」と感じることが重なったのです。
それに加えて、仕事でハワイに行く案件が目の前にぶら下がってきたのが、私の開業に対する気持ちにトドメを刺しました。
というのも、重要顧問先から、「ハワイに不動産を購入したい」「海外に会社を作りたい」という相談が出てきたのです。
その時の私は、英語は全くできなかったのですが、「これは英語や国際課税を習得するチャンス!」と感じました。
一方で、勤務先事務所は「ハワイ」というだけで、なぜか良くないイメージを抱いていたので、解約になる可能性もありました。
解約にならないとしても担当を変えられたら、このチャンスはなくなる、と思いました。
とうとうある日、その重要顧問先に「独立しようと思います」と思い切って相談しました。
そして、その顧問先から「うちだけで足りるんですか?」という言葉をかけて頂き、一緒についてきてくださるとわかったので、独立の決意を固めました。
Hawaii taste website ハワイ推しホームページ
以前、IT企業で勤務していたこともあり、自分でホームページやブログのSEO対策を行ってきたのですが、本業である税理士事務所のホームページについてはかえって慎重でした。
開業数ヵ月後に持続化補助金の募集があることを士業仲間から教わり、本気で検討を始めました。
結果、無事に採択されて費用の2/3を補助金から賄うことができたため、当初思っていた予算より少ない金額でホームページを完成することができました。
製作はIT企業時代の同僚だったSEさんにお願いしました。
「ハワイ」をテーマにした理由は、価格競争やひやかしを極力排除したかったためです。
集客は基本的に紹介というスタンスでしたので、問い合わせを増やして顧客開拓をするというよりは、こういう税理士だということを知ってもらうためのホームページでした。
当時はまだ米国税理士(EA)の資格を取得する前で、国際課税が得意というほどの実務経験もありませんでした。
ですが、ハワイに関わる現地専門家・金融機関・不動産会社とのネットワークが自分の強みと思ったので、国際課税ではなく「ハワイ」だったんですね。
最初は、検索キーワードで「ハワイ 税理士」なんて、「ちょっとぶっ飛びすぎて失敗したかな…」とも思っていたのですが、現在お問い合わせフォームから頂く内容は、ほとんどがハワイや国際相続に関する内容になっております。
International license 国際資格のすゝめ
私のような、はじめから英語や法律の知識がなかった人間が、まさか日米2ヵ国の税理士になるとは思ってもいませんでした。
しかし、もしも英語が多少得意な方で税務会計の業界にいる方なら、米国公認会計士(USCPA)や米国税理士(EA)などの国際資格も十分に射程圏内に入ることと思います。
資格はキッカケの1つに過ぎないかもしれません。
しかし、仕事の選択肢が広がれば、より充実した人生に感じられるのではないでしょうか。
【執筆者紹介】
山口 玉美(やまぐち たまみ)
日本大学芸術学部音楽学科卒業。簿記1級、平成19年税理士試験官報合格(法人・消費・相続)。
平成28年 山口玉美税理士事務所Tama Tax Tokyo 開業
令和元年 米国税理士Enrolled Agent合格・登録
平成20年~東京保険医協会サポートセンター税理士
平成15年~23年まで個人ホームページ「Tama Bar~税理士受験生の玉婆が熱く語るページ」にて独自の勉強法を公開、15万アクセス達成。
東京保険医協会、転職エージェンシー、海外不動産会社のセミナーで定期的に講演。
事務所は神保町駅から徒歩2分、中央経済社ビルが窓から見えるロケーション。
著書:『税理士試験合格の秘訣2008』(共著、TAC出版)
ブログ:Tama Tax Tokyoはてな支店
ホームページ:山口玉美税理士事務所Tama Tax Tokyo
Twitter:@tamabar
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