【税理士合格体験記】働きながら独学で簿・財一発合格! 勉強を支えたのは教材3点セット+スマホのみ


早起きプログラマー
(30代、会社員)

合格科目:簿記論・財務諸表論(ともに2021年)
学習スタイル:独学

異動をきっかけに、税理士試験にチャレンジ

2020年4月、職場で配置転換があり、経理業務に就くことになりました。

「簿記2級レベルの知識が必要」と先輩に教わり、未経験ではありましたが、書店で簿記2級のテキストと問題集を購入して勉強を始めました。

もちろん、職場では税理士レベルまでの知識は求められません。しかし、簿記2級の勉強中に会計学の面白さ(仕訳を切り、集計し、数値がぴったり合ったときの気持ちよさ)を知り、もう少し勉強を続けてみたいと思いました。

簿記検定自体は、原価計算に興味がもてなかったこともあり、受験していません。ただ、商業簿記を勉強したのに何の資格や称号も得られないというのも寂しく、そこで工業簿記のない税理士試験を受験しようと考えました。

そのため、簿記2級の勉強をしていくなかで、そのまま税理士試験の勉強に移っています。

実際に受験を決意したのは、簿記2級の勉強も一通り終わった2020年8月頃でした。

最小限の教材を使って「必要以上に手を広げない」を意識

社会人が難関資格を目指すとき、最も懸念されるのは「仕事と勉強の両立」だと思います。

毎日8時から20時まで働いていれば、どれだけ頑張っても1日に勉強できる時間は2~3時間といったところ。

繰り返し勉強することが大切とはいえ、勉強した内容は時間が空いたら忘れてしまうものです。

そのため、いかに高速で繰り返し勉強ができるか、これが働きながら合格を目指すカギになると思います。

私は短時間で同じ範囲を何回転もするために、「必要以上に手を広げない」ということを徹底しました。

受験生のなかには、専門学校のテキストや問題集、答練や模試など、いろいろなツールを使い、さらには専門学校のカリキュラムのほかに、試験委員対策本を読むなど、プラスアルファの勉強をしている人もいると思います。

そんななかで私は、手を広げすぎると必要な部分にかける時間が少なくなり、学習がおろそかになるのではないかと思い、次の教材だけを使って簿記論・財務諸表論を勉強しました。

『みんなが欲しかった! 税理士 簿記論の教科書』(TAC出版)
『みんなが欲しかった! 税理士 財務諸表論の教科書』(TAC出版)
『税理士受験シリーズ 問題集』(簿・財ともに個別問題・総合問題)(TAC出版)
『会計人コースBOOKS 税理士試験 直前予想問題集』(簿・財) (中央経済社)

テキスト・問題集・直前予想問題集の3点セットのみを使い、手を広げる時間があったら同じ問題を周回するという方法をとりました。

ちなみに私は、公開模試などは受けていません。そのため、受験生のなかでの自分のレベルや立ち位置を知ることは最後までありませんでした。

『直前予想問題集』には合格ラインが記載されていたので、それを目標にしていました。

すべての問題が解けるまで繰り返す

簿記論と財務諸表論は非常に関連が深い科目です。

私のレベルでは正直なところ、簿記論と財務諸表論の第三問は何が違うのかわかりません。

2科目の違いは、第一問と第二問に仕訳問題が出るか論述問題が出るか、といった差くらいしかないと思っています。

そのため、簿記論と財務諸表論は、「同時に勉強するほうが効率がよい」という以前に、「同じ勉強をしたら両方解ける」と考えました。

そこで、難しい簿記論をメインに勉強することにしました。学習比率は簿記論8:財務諸表論2くらいです。

財務諸表論は基本的に理論のみ勉強し、総合問題は簿記論との違い(注記の書き方など)をチェックするくらいにしました。

【学習の流れ】

まずテキストを精読し、必要な論点を理解する(8月~12月)
 ↓
次に個別問題集にとりかかり、すべての問題が解けるまで繰り返す(1月~3月)
 ↓
それが終わると総合問題集にとりかかり、すべての問題が解けるまで繰り返す(3月~5月)
 ↓
最後に直前予想問題集にとりかかり、すべての問題が解けるまで繰り返す (6月~8月)

※ これは重点的な実施期間です。解けなかった問題や理解できない部分があれば、別の期間であっても繰り返し解きなおしています。

「すべての問題が解けるまで繰り返す」というのが私の受験勉強における唯一の工夫だと思います。手を広げすぎないぶん、1つの問題集に時間を割くことができました。

個別問題集は、間違えた問題に付箋を貼って日付を記入、1週間後にまた解きなおす。

総合問題集・直前予想問題集は、60点未満だった場合、付箋を貼って日付を記入、1週間後にまた解きなおす。

これを付箋がすべて外れるまで繰り返しました。

基本論点で得点を稼ぐことができた

このように基礎だけを徹底したことが、後の自信につながります。

問題集レベルではどの問題も完璧に解ける自信があったので、「自分が解けないような問題は本番で出てもみんなが解けないはずだ、だから飛ばそう」と決心できました。

結果として、今年度の簿記論は第一問・第二問で見慣れない問題が出た一方で、第三問は非常に基礎的でした。

基礎に自信があったからこそ、第一問・第二問を後回しにして第三問で得点を稼ぐことができたのだと思います。

第三問にじっくり時間をかけ、「あとは基本的な問題で点を拾えるだけ拾おう」という意識で第一問・第二問を見ることができました。

スマホを活用して知識を定着させる

どうしても働いている以上、仕事優先のスケジュールとなってしまいますが、私は朝の2時間を使って毎日勉強を続けました。4時から6時までの2時間はさすがに会社からの連絡もありません。

朝2時間勉強し、解けなかった問題や理解できなかった部分はスマホで解答解説の写真を撮り、通勤時間に再確認しました(トップ画像にある耳栓で雑音をシャットアウトして集中です!)。

スマホはどこでも取り出すことができ、電車の中でも邪魔になりません。

画面が小さいので文字も小さくなりますが、解答解説は家で何度も読んでいるわけですから、あくまで「内容を再確認する」という意味合いが強いです。真剣に文字を追って、その場で新しい理解をしているわけではありません。

ある種、家で勉強した内容を定着させるべく、それを思い出すキーワードを確認するためにスマホを活用していたというイメージです。

仕事が終わって帰宅したら、なるべく早く寝るようにしました。

このルーティンをひたすら続けたことで、仕事とバッティングすることなく勉強が続けられたのだと思います。

メッセージ

税理士試験を含む国家試験は、圧倒的な勉強量のほかに、どうしても当日の運が必要です。

今年度の簿記論は、それまで勉強を頑張ってきた人ほど、第一問から絶望したのではないかと思います。

しかし、運の要素をできるかぎり少なくすることはできます。確実にできる問題を増やしていけば、運に左右されにくくなります。

私は同じ問題を繰り返したことで、解ける問題も増え、「合格に近づいている」という実感にもつながりました。勉強には「やって無駄だった」ということはありません。

当初の目的は簿記論・財務諸表論に合格することだったので、税理士試験はこれで卒業と思っていました。ただ、会計を勉強したことで所得税や消費税など身近な税金がどうなっているのかにも興味が出てきています。

もしかしたら税法科目を受験する日も来るかもしれません。また明日からお互い頑張っていきましょう!


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