【税理士試験 消費税法】合格発表を受けて令和4年に合格するためにすべきことは?


12月17日に第71回(令和3年度)税理士試験結果が公表されました。

消費税法は、受験者数6,086人、合格者数726人、合格率は11.9%(昨年は12.5%)。全科目で最も低い合格率となりました。

ただ、税法科目のなかでは受験者数も一番多く、来年度の試験にチャレンジされる方も多いと思われます

そこで、税理士の加藤久也先生に、当面の勉強のヒントを伺いました。

第71回(令和3年度)の合格率をみて

――今年の合格率について、先生はどのような印象をもたれていますか?

今年度の消費税法の合格率は11.9%でした。この合格率は、他の科目と比較すると最低の合格率で、合格率が一番高かった財務諸表論の23.9%の実に半分以下です。

しかし、消費税法の過去10年間の合格率を振り返ってみると、最高が平成29年度(第67回)の13.3%、最低が平成26年度(第64回)の10.3%、この間の平均合格率は12.1%となっており、今年度の合格率が特に厳しい合格 率ではないことがわかります。

今年度の出題は、第一問・第二問とも解答しづらい項目があったため、基本項目について着実に正答を重ねることができた受験生が順当に合格したものと考えられます。

次に向けて、どのように勉強すべき?

――今年度の出題内容を振り返ったうえで、これから当面どのように過ごしていけばよいでしょうか? まずは「理論」から教えてください。

第一問の問1では、いわゆる個別理論問題が3題出題され、問2では、事例の正誤問題が4題出題されました。出題者は、「消費税法特有の項目について広範囲に問いたい」という意図から、この出題形式を採用したものと考えられます。

この出題形式の場合、その規定において重要な内容をもらさず記述し、重要度の低い内容を省略することで効率よく得点できるかどうかがポイントとなります。

基本的な項目について正確に記述できるようにしておくとともに、解答時間を意識した答案作成練習を繰り返す必要があるといえます。

また、実務上重要性のある論点が出題される傾向にあるため、国税庁が公表する情報も押さえておくとよいでしょう。

――「計算」はいかがでしょうか? 

第二問の問1では、複数の事業を営む個人事業者について、その事業別に課税売上割合に準ずる割合を適用して納付税額まで計算させる総合問題が出題されました。軽減税率制度の適用の有無を考慮しながら事業別に正確に計算することが要求されるボリュームのある問題です。

また問2では、賃貸用建物の取得に係る課税仕入れについて、取得後に適用される仕入れに係る消費税額の調整の時期及び調整税額を計算させる個別問題が出題されました。

消費税法の計算問題は、いかに正確に速く解けるかが勝負です。基本的な練習問題を速く正確に解答できるように繰り返し練習する必要があります。

また、個別問題では、総合問題で出題しにくい項目や、今回のように改正項目が出題されやすい傾向にありますので、これらの項目について対策するようにしましょう。

――消費税法の受験勉強で大切なことは何ですか? 

消費税法の受験対策として大切なことは、基本的な知識を確実に身につけることです。

消費税法は平成元年に施行されてから多くの改正を経て、その規定が複雑になっていますが、基本的な構造は変わっていません。基本項目について、繰り返し訓練することで確実に解答できるようにする必要があります。

また、理論暗記の正確性と計算問題の解答能力をアップさせながら、条文の意味や内容について理解を深める復習もしていくようにするとよいでしょう。

――今回、悔しい結果となった方にメッセージをお願いいたします。 

今の悔しさを忘れずに挑戦を続けましょう。

合格までのあと数点をどう取るかが課題ですが、今年その数点を取れなかった原因について真摯に振り返ってみてください。不合格の原因は必ず自身の中にあります。

この時期に反省すべきことは反省したうえで、いかに気持ちを切り替えて新たなスタートを切るかが、来年の合否を左右します。あなたの努力があなたを裏切ることはありません。

あと数ヵ月、消費税法の勉強時間を与えられたと思い、最善を尽くしてほしい。あなたからの合格の報告を楽しみに待っています。

――参考となるお話、励みとなるメッセージをありがとうございました!

<執筆者紹介>
加藤 久也(かとう・ひさや)

税理士/名城大学大学院非常勤講師(消費税法担当)
1991年、富山大学理学部卒。1991年~1995年、株式会社日立製作所に勤務。1998年、税理士試験合格。2000年、税理士登録。2002年、愛知県春日井市に加藤久也税理士事務所開業。税理士業のほか、1998年~2019年に名古屋大原学園、2016年より名城大学、2019年より愛知淑徳大学にて非常勤講師を務める。2017年より東海税理士会税務研究所研究員、2021年より同研究所副所長に就任。2019年より日本税法学会所属。著書に『ワークフロー式消費税[軽減税率]申告書作成の実務』(共著、日本法令)がある。


関連記事

ページ上部へ戻る