【税理士合格体験記】40代フルタイム税務部員、税法大学院と並行しての酒税法合格
- 2026/2/26
- 合格体験記

そのぴす(40代・事業会社の税務部門勤務)
【受験履歴】
合格科目: 酒税法(2025年)、簿記論(2012年)
学習スタイル: TAC通信講座
▶サムネイルはノルマを管理したカレンダー
1. 税理士を目指したきっかけと酒税法を選択した理由
事業会社の税務部門で国際税務を中心とした業務に数年従事する中で、今後もより専門性を高め、税務領域の仕事を続ける上では、税理士資格を持っていた方が、働き方の幅がより広がるのではないかと考えるようになりました。
30代で簿記論を取得後、税理士試験からは10数年撤退していましたが、再挑戦するならば、短期での税理士登録を目指すべく、税法大学院への進学と同時並行での、税理士試験再挑戦を決めました。計画としては、2年間で税法大学院で税法論文を執筆し、その間に何らかの税法科目を税理士試験で合格、税法3科目を揃えた後、残りの会計科目である財務諸表論を受験することにしました。
進学を決めた税法大学院では、2年間で税法や会計、経営学などの学習と並行して、税法論文を執筆し、30単位を取得する必要がありました。1コマ2.5時間の授業を9コマ受講し2単位となるため、授業だけで2.5時間✕9コマ✕(30単位/2単位)=337.5時間を要し、授業以外の時間で予習や試験対策、論文執筆のための文献収集および執筆となると、かなりの時間を要することが予想されました。
よって、比較的ボリュームが少なく、かつ、計算の割合が多い(計算7割、理論3割)ほうが自分には適していると考えたため、酒税法を受験することにしました。
2. 学習計画および学習方法
酒税法は計算7割、理論3割ですが、理論暗記は特に工夫しました。理由は2つあり、1つ目は暗記が苦手で1回目の受験で暗記精度の低さに課題を感じていたこと、2つ目はTAC講師が「計算は直前2カ月でも何とか巻き返せるが、理論は直前での巻き返しは難しい。講座スタートからコツコツと理論に触れる回数を増やすことが大事」と仰っていたからです。
酒税法は比較的ボリュームが少なく、7割を占める計算問題も、判定さえ間違わなければ、その後の計算はひねりがなく解きやすく、また、問題の取捨選択をしないといけないほど時間が足りないものでもありません。そのため、計算ではむしろ実力差がつきづらく、理論がある程度できていないと合格しないと考えたのも、理論攻略を重視した理由でもあります。
基礎期(12月下旬~4月末)
(理論)
- 学習計画: 「理論学習スケジュール」を作成し、徹底的に反復しました。納税義務の成立(1-1)から酒類の定義等(6-6)まで、全58ページの理論を、だいたい1週間に3ページ暗記するペースでスケジューリングし、2週目以降は1週目のものを復習しながら暗記を進めました。
- 学習方法:単なる暗記ではなく、各項目の「趣旨」の理解を最優先しました。例えば、納税義務の成立については、「本来、消費税の建前からすれば最終消費に近い時点で納税を捉えるのが望ましいが、徴税技術の点から製造場移出時に課税することとしている」といった、ルールの背景をきちんと理解してから、暗記していくようにしました。
インプットはTACの理論テキストを使用するだけでなく、自作で音声データを作成し、理論テキストの黙読と音声データを聞く方法をとりました。理論テキストの文言を暗記マーカで色付けし、色下敷きで隠しながら黙読し、理論テキストのテキストデータを音読さん(https://ondoku3.com/ja/)というサイトで音声化し、mp3データでGoogleDriveに保管、移動時間などの隙間時間にiPhoneで聞きながら声に出し、理論テキストの黙読で得た記憶を定着させるようにしました。
アウトプットは手書きでは時間が掛かるのと、腱鞘炎になるのが目に見えていたので、スピードが速く負担が少ない、Wordにタイピングをする方法をとりました。
最初からゼロベースでアウトプットするのは苦痛なので、まずはタイトルとなるもの(例:趣旨、納税義務者の原則、移出又は引取り等とみなす場合など)をWordなどに書いておいて、それをヒントにタイピングし、暗記がすすんできたら、全て自力でタイピングしていくようにしました。
記憶は思い出す作業を繰り返すことで定着する、という情報をいくつか目にしていたので、暇さえあれば、理論の内容を思い出すようにもしていました(例:朝起きたら、「1-1納税義務の成立」とはどのような内容であったか、頭の中で思い出し、暗唱してみる)。

(計算)
- 学習計画:2月中に酒の判定(材料やアルコール分などから、どの酒類か判定する)をTACのトレーニングでスラスラと解けるレベルになることを目標とし、毎日夜は必ず判定問題を解くようにしました。最初は酒類の品目(清酒、ビール、ウイスキーなど)ごとにその特徴を整理しながら解くように計画し、慣れてきたら、様々な品目の酒類が混在している問題を解くようにしました。
- 学習方法: 計算において最も重要なのは「酒類の品目判定」です。計算70点中、判定に30点ほど割り振られており、判定を間違えるとそのあとの計算数値もずれてしまうため、目安として、8題の判定問題において、2ミスしたらアウトです。
過去の答練で犯したミス(例:エキス分2度未満の蒸留酒をリキュールと誤認したミスなど)を「判定ミス・総チェック」リストとしてまとめ、二度と同じ間違いをしないよう徹底しました。
間違いノートはGoogleのスプレッドシートにまとめ、PC、iPad、iPhoneからいつでも確認ができる環境を整え、移動時間などの隙間時間に、ふと気になった時にすぐ確認できるようにしました。

完成期(5月~試験日)
- 学習計画:6月半ばのTACの全国公開模試までに理論および計算を完成させ、上位に入ることを目標に学習スケジュールを組みました。
- 学習方法:理論については、5月いっぱいは柱建て(主要な項目のタイトル部分)したWordに理論をタイピングし、6月から6月半ばの全国公開模試までは、なるべく柱建てなしでWordにタイピングをできるよう繰り返しました。それと並行してTACの理論ドクター(頻出の理論をまとめた問題集)20題を4周回すようにしました。全国公開模試後は、これまでの答練、全国公開模試、理論ドクター、を4~5周回しました。
計算についてはTACの答練や補助問題、TAC出版の過去問5年分を5周回しました。
過去問については、過去問分析一覧を作成し、過去5年間で判定や税額控除などでどのような問題が頻出しているか、傾向が一目でわかるように整理しました。

3. 仕事と学習の両立のコツ
税理士試験合格の秘訣として、以下の2点が重要だと考えています。
1. 意志の力ではなく、いかに勉強を習慣化できるか
2. 常に、自分の実力と目指す地点との差異要因を分析し、それを改善できる勉強方法を見つけ、取り組めるか
理由は2つあり、1つ目は、人のモチベーションには上がり下がりがあり、到底当てにできるものではなく、そのような不安定なものに頼って合格できるほど簡単な試験ではないこと。2つ目は、自分の弱点を潰す勉強方法を見つけないまま闇雲に学習を進めるのは、疲弊するだけで、合格には繋がらないと考えるからです。
仕事で疲れて勉強しないループにはまらないよう、以下の「マイルール」を徹底しました。
- 朝の理論、夜の計算: 一般的に、暗記は夜実施したほうが記憶が定着すると言われていますが、私はあえて朝の脳が冴えている時間帯に理論の暗記を行い、夜に計算問題に取り組みました。理由として、夜は仕事で疲れて眠くなったりするので、計算問題で電卓を叩いているほうが、集中力が切れず、効率が良かったからです。
朝は30分散歩して目を覚ましながら、理論を音声で聞いて暗唱し、帰宅後にWordにタイピングしてアウトプットし、夜は過去問や答練などの計算問題をまとめて解いていました。 - 勉強時間のルール化: 12月下旬から3月までは、平日2時間、土日5時間、4月から試験日までは、平日4時間、土日6時間の勉強時間を死守しました。
- 勉強したことの視覚化:実施した勉強はスケジュール表に記入し、目標の勉強時間を達成した日は、カレンダーにシールを貼り、毎日達成感を感じられる仕組みを作りました。

4. 受験生へのメッセージ
40代で税理士試験に再挑戦するにあたり強く意識したのは、「成功する確率を高める」ことです。その理由は、年齢的に長期化は避けたかったこと、そして、記憶力や体力は以前よりも落ちている実感があったためですが、結果としては、現状把握(今の自分の実力)、計画(勉強スケジュールおよび勉強方法)、習慣化(勉強を生活の一部に組み込む)を徹底することとなり、それが合格につながったのだと思います。
再挑戦する前は、「年齢的に遅い」とか「失敗したらどうしよう」とか色々考えましたが、あるとき「勉強や挑戦は若いうちしかできないと誰が決めたのだろう」と考えたとき、挑戦を避けようとしているならば、それは自分自身の弱い心が決めているのだと気づきました。酒税法は受験者数が少なく、受験情報や一緒に戦う仲間も周りにはあまりいなかったので、酒税法受験者がX(旧Twitter)で発信している情報を見ては、自分を鼓舞していました。また、家族や同僚など、周りの人たちのサポートも非常にありがたく、改めて自分だけで掴みとった結果ではなかったと、本当に感謝しています。
1度目の受験では不合格だった酒税法ですが、たとえ挑戦して失敗したとしても、その経験を糧にして、次はどう戦うか検証し、回り道をしたとしても、自分で自分の人生を正解にしていくことが重要だと考えます。試験という勝負をするならば、勝つことがもちろん重要ではありますが、負けたとしても、どのように負けたか、負けた後にどう対処したのかが、自分の望む人生への道を切り開いていく、重要な鍵となるのではないでしょうか。











