年末年始に読みたい!大野貴史先生がオススメする課題図書
- 2025/12/26
- 書籍・雑誌の紹介

いまでも夢を見る。答案用紙を一生懸命埋めたものの、100点満点中8点を取ってしまった。
大いなるケアレスミスで真っ青になる夢だ。資格試験の勉強や実務をしていると、ケアレスミスが一番の恐怖。わかっちゃいるのに零点だ。
もったいない。
とにかく、「もったいない」をなくしたい。
もったいないおばけが出ないことを祈りたい。
ミスを減らすには、一服も必要だ。年末も押し迫り、あわただしいところだが、年始年末、本でも読んでちょっと一服してみよう。
オススメ図書①『小学生のためのケアレスミスがなくなる本』(野英利香著、すばる舎)
結局のところ、実務に出ても「ケアレスミス」とのたたかい。
資格試験の勉強は、そもそもの内容の理解はもちろんだが、いかにケアレスミスをなくすかの鍛錬でもあるともいえる。
その鍛錬が実務にも活きてくる。
そう思いなおして、ケアレスミスをなくす努力をするのもよいだろう。
本書は小学生向けに書かれたものではあるが、いやはや、これはこれは。大人にも十分に通用する。ミスが起こるのは「学習のクセ」「メンタル」「生活習慣」などの無意識の行動パターンがあるという。
かくいう私も、そもそもの素地もあるが、さらに寄る年波には勝てず集中力散漫、うっかりミスが増える。生活習慣も大事であることを教えてくれる。
オススメ図書②『3訂版/少しのコツで不正・ミスを賢くチェック! 「おかしな数字」をパッと見抜く会計術』(山岡信一郎著、清文社)
ミスを減らす工夫のもう一つは、ちょっとした「違和感」を大事にすること。
問題を解き終わって再度見直してみたら、なにかしらの違和感を覚え、終了時間間際にミスが発見できたというのはよくあることだ。
違和感の感度はベテランであればあるほど強くなる。資格試験では、この違和感の感度を高めておくのもひとつ。
本書は、「おかしな数字」をキーワードに違和感の感度を高める方法を教えてくれる。
複式簿記は貸借ですべてがつながっている。おかしな数字が発見しやすい。
勘定科目別、決算整理仕訳の観点からの解説もふんだんで、もちろん実務にも役立つ情報が満載だ。木を見て森を見ずではなく、森を見て木を見る感覚を養うことができる。
オススメ図書③『東芝事件総決算 会計と監査から解明する不正の実相』(久保惠一著、日本経済新聞出版)
ちょっとした違和感から発見することができるのが「会計不正」。
東芝の不正会計問題が発覚したのは2015年。
もうすでに10年が経過した。
東芝の不正会計事件関連図書には、『東芝粉飾の原点』(小笠原啓著、日経BP社)、『東芝の悲劇』(大鹿 靖明、幻冬舎文庫)、『東芝不正会計 底なしの闇』(今沢毎著、毎日新聞出版)などがある。
その多くは人物に焦点を当てたものであり、ジャーナリスティックな観点からの書籍である。
本書は、公認会計士である久保惠一さんが書かれたものだ。
公認会計士の立場から、会計と監査の視点で東芝の不正会計問題を分析したものであり、簿記や財務諸表を学んだ人にとって多くの気づきを与えてくれる。
資格試験勉強で学んだ論点がそのまま不適切会計に絡む。生きた会計の教材である。
是非、一読してほしい。
***
昨今、会計仕訳も切ることはなく、自動連携やインポートすることが多くなった。
さらにはAIによる仕訳の自動化が進む。私たち経理に関与するものに最後に残されているのは、「違和感」力ではないかと思う。
「違和感」は案外正しい。
ミスや会計不正は、違和感で防げる。
違和感に気づける人がこらからの会計をつくっていく気がする。
紹介した3冊は、違和感をテーマにした本だ。是非、違和感力を高めてほしい。あぁ、クルーネックTシャツが前後ろだった。違和感。
【プロフィール】
大野 貴史(おおの たかし)
公認会計士・税理士
筑波大学大学院修了(法学修士)。監査法人,税理士法人,証券会社等を経て,大野公認会計士事務所(東京都品川区)開設。事業承継(企業オーナーの相続対策)コンサルティング,M&A仲介・アドバイザリー,株式評価,財務・税務デューデリジェンス,IPO支援,企業組織再編業務を中心に,法人及び個人の税務業務及びコンサルティング業務を行う。著書に、『誰も教えてくれなかった月次決算の実務Q&A〈第2版〉』『誰も教えてくれなかったプロジェクト別原価計算の実務Q&A〈第2版〉』(中央経済社)など。
X→https://x.com/ohnocpatax














