わたしの独立開業日誌 #税理士・平川紀章
- 2025/12/18
- 独立開業日誌

2025年3月に独立開業!
はじめまして。
2025年3月に東京の九段下で独立開業した平川紀章(ひらかわ のりあき)と申します。
独立から間もない時期ではありますが、このような執筆の機会を頂きました。
若輩者ではありますが、これから税理士資格の取得を目指す皆様にとって、少しでも良いアドバイスになれましたら幸いです。

税理士試験受験時代
私の最初の受験は、大学卒業後の23歳でした。
勉強浪人の2年間で4科目を取得できたものの、最後の1科目は就職後に4年を要しました。
就職後に働きながら勉強を続けることは、想像以上に簡単ではありません。
新人として仕事を覚えながら、仕事の楽しさも感じ始める時期ですし、プライベートの遊びや交友関係が広がる年代でもあります。
経済状況や家庭の事情は人それぞれですが、もし可能であれば「就職前にできるだけ多くの科目を取得しておく」ことを、ひとつの戦略として強くおすすめします。
「後々の自分を少しでもラクにしてあげるための投資」として、学生時代の時間を有効に使っていただきたいというのが、受験を終えた今の率直な実感です。
税理士法人勤務時代で得たもの
私の就職先は東京の税理士法人で、10年間お世話になりました。
基本的な税務顧問業務にとどまらず、相続税申告や事業承継対策、組織再編税制を利用したスキーム検討など、資産税・組織再編といった高度な分野にも多く携わる機会をいただきました。
また、税務以外に、人事評価制度の構築、上場準備会社の資本政策、経営計画・事業計画の策定支援といった、コンサルティング色の強い案件に関わることもできました。
20代のうちの苦労は「お金を払ってでもした方がよい」とよく言われますが、多少の無理をしてでも広い業務を経験させていただけたことは、今振り返ると何物にも代えがたい財産です。
税理士の良い面は、すべての知識・経験を積み上げていける職業である点だと思います。
条文を読み、解説書で理解し、立法趣旨の背景を丁寧にたどっていくことで、それらは“知識の資産”になります。
ある案件で苦労して検討した論点が、数年後に別の顧問先でそのまま生きてくることも少なくありません。こうした知識と経験の積み上げが、将来独立したときの大きな強みになります。
独立開業後
私自身は、税理士試験の受験を決めたときから「いつかは独立する」と心に決めていました。
区切りとして考えていたのが30代半ばで、結果的に34歳で九段下での開業を決断しました。開業後は当然、ゼロから顧客開拓をするために、他の方々の例に漏れず交流会にも多く足を運んでいます。
その際に私が特に意識しているのは、「自分の事務所の顧客を紹介してもらうこと」以上に、「顧客を一緒に支援できるパートナーを見つけること」です。
税理士は、税務・会計という企業の“足元”を整える役割には強みがありますが、顧客のトップライン(売上)を直接伸ばすことは、どうしても専門外になりがちです。
だからこそ、マーケティングや営業支援、人事・組織づくりを得意とする専門家など、「顧客先に足りないピース」を持っている方とのネットワークづくりを意識して交流するようにしています。
私自身、事業承継や組織再編といったコンサルティング業務に携わってきた経験は、交流会の場で自己紹介をする際の大きな武器になっています。
“税務顧問業”というワードだけでは、やはり営業の目線からすると難しいと理解しています。その一方で、「事務所の主力サービスをどう位置づけ、どう見せていくか」を改めて言語化する必要性も痛感しています。
勤務時代に経験した業務をフル活用しつつも、今後は「自分だからこそ提供できる価値」をよりわかりやすい形で整理し、発信していきたいと考えています。
その意味でも、独立前の勤務時代にどれだけ多くの業務に触れ、どれだけ主体的に関われたかは、独立後の選択肢を大きく左右します。若手の方には、興味を持った仕事にはぜひ手を挙げてチャレンジしていただきたいと思います。
今後の経営
私の事務所では、経営理念を「経営者の想いに伴走し、目的地まで送り届ける」と定めました。
税理士の醍醐味は、社長の半生に長く寄り添える仕事であることだと感じています。
ある局面だけを支援する専門家というより、創業・成長・成熟・承継といった企業のライフステージ全体に関わり続けることができる点が、この仕事の大きな魅力です。
よく独立後に「どのような業種・規模の企業とつながりたいですか」と質問されます。
その問いを受けるたびに、「税理士として関われるフィールドの広さ」を実感します。会社があり、そこに経営者がいれば、税理士としてお手伝いできる領域は必ずあります。
税理士資格の良いところは、「資格を取った瞬間がゴール」ではなく、「そこからどういう方向に専門性を伸ばしていくか」を自分で選べることです。
受験勉強の延長線上に、実務・独立・経営といったさまざまなキャリアが広がっています。
おわりに
私自身の歩みは、決してスマートな成功ストーリーではありませんが、振り返ると「一つ一つの選択と経験の積み重ね」が、今の独立開業へとつながっています。
この記事が、皆さまがご自身のキャリアを考えるうえで、ほんの少しでも背中を押す材料になればうれしく思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【プロフィール】
株式会社エスコッチコンサルティング/エスコッチ税理士事務所
代表取締役・税理士 平川紀章(ひらかわ のりあき)
大学卒業後、株式会社AGSコンサルティング/AGS税理士法人へ入社。
10年間の勤務後、東京都千代田区の九段下で独立開業。
「経営者様の旅路に伴走し、目的地まで送り届けること」を信条に、税務顧問業、資産税・事業承継、組織再編、経営強化支援等のコンサルティングサービスを提供。










