インタビューで知る公認会計士のリアル-関西学院大学の学生によるトーマツ東京オフィス訪問体験記2025【前編】


会計人コースWeb読者のみなさん、こんにちは。関西学院大学商学部で原価計算論を教えている濵村純平といいます。今回ここでご紹介するのは、会計に興味をもつ学部学生たちと大手監査法人である有限責任監査法人トーマツ(以下の、トーマツ)の東京オフィスに訪問させていただき、いろいろとお話を伺ったときのレポートを2回にわけて記していきます。

5名の学生たちが2つのグループにわかれ、計4名の現役公認会計士の方々に疑問をぶつけてみました。もしかすると、みなさんにとっても役立つ情報が含まれているかもしれません。勉強の合間に少し手をとめて、自分が合格したあとのことをイメージしながら読んでみてください。

入社理由はスポンサーがきっかけ!?

関西学院大学のアパサ武藤愛花、岩田真結、梶原未有のグループです! 私たちはこちらのお二方にインタビューさせていただきました。

田嶋大士先生
・パートナー/公認会計士
・監査・保証事業本部 金融インダストリー
・慶應義塾大学卒業

林谷なつみ先生
・スタッフ/公認会計士試験合格者
・監査事業本部
・奈良女子大学・北海道大学大学院卒業

公認会計士の仕事が気になっている私たちは、受験生時代のことや、なぜトーマツに入社したかなどを伺いました!

田嶋先生(右)と林谷先生(左)

逆境を乗り越えて

Q:会計士を目指したきっかけは?

田嶋先生 高校時代にバンド活動や留学に熱中するあまり、勉強がおろそかになってしまい人生で初めて先生に呼び出されるほど成績が落ちました。その挫折経験から、「仕事で逆転したい」、「公認会計士になって“まくりたい“!」と思い目指し始めました。

林谷先生 大学生時代にコロナで留学が中止になり、「なにか他のことを」と考えていた時、就活に使えると聞いて簿記2級を取得しました。そのあと進学した大学院で、公認会計士を目指す仲間と出会い、自分も挑戦したいと思ったのがきっかけです。

Q:受験期のスケジュールは?

田嶋先生 論文式試験の勉強をしていた時期は朝の5時半に家をでて、7時から予備校でテスト、そのあと9時に大学に行っていました。大学が終わったあと予備校に行き、帰宅は22時ごろでした。だいたい、この生活を8~9カ月続けていました。週3~4日程度のアルバイトと両立しながら勉強していた時期もありました。

林谷先生 私は大学院の2年生の5月に短答式試験に合格しましたが、論文式までわずか3カ月しかなく、睡眠は1日3時間程度でした。エナジードリンクを毎日2本飲みながら必死に追い込み、ほとんど寝ずに試験に臨みました。他の人には決しておすすめできません(笑)。

働く場」としてのトーマツ―入社のきっかけはF1!?

Q:なぜトーマツで働こうと思ったのですか?

田嶋先生 就活当時、さまざまな不正で監査法人業界が揺れていた中、トーマツだけ巻き込まれていなくて。特別、意識していたわけではないですが、そのような品質を重視する姿勢に惹かれたのだと思います。

林谷先生 受験生時代にたまたまF1の動画を見ていたら、スポンサーをしている“Deloitte.”のロゴが目に入り、「デロイトってすごい!」と思ったのが最初です。また、就活をする中でも、やはり大手はブランド力と人の勢いがあると感じ、大手での就職を決めました。

Q:「体育会系」って噂、本当ですか?

田嶋先生 体育会系じゃないと思います! 体育会系特有の「上の言うことは絶対」の雰囲気はなく、上司が部下を呼ぶときも呼び捨てはせずに「さん付け」です。

林谷先生 そもそもノルマがある仕事でもなく、体育会系のイメージでよくある「詰められる」ようなことはないです。なので、そこまで不安になる必要はないです! 飲みに行くこともしばしばあります。

「継続」が未来を変える

Q:受験勉強は実務にどう活きていますか?

田嶋先生 公認会計士の仕事は「違和感を抱けるかどうか」がすべてです。それには、受験生時代にたくさん仕訳を切った経験や、体に刷り込ませた理論の知識が活きていると感じます。このベースがあるからこそ、違うものを見たときに違和感があって、会社に確認して…と繋がっていきます。

林谷先生 働くにあたって必要なことばかりで、使わない知識はないです。私は特に論文の勉強を3カ月で終わらせてしまったので、足りていないと感じる場面もあり、もっと勉強しなきゃという気持ちです。

Q:やりがいを感じる瞬間を教えてください

田嶋先生 部下の育成や組織づくりにやりがいを感じています。加えて、企業のCFOやCxOといった経営層と直接やりとりできる機会が多い点も、この仕事ならではの醍醐味だと思います。

林谷先生 やはり自分自身の成長を実感できるときですね。新しい業務に挑戦し、できることが増えていくことに大きなやりがいを感じます。また、クライアントから直接頼られることや、上司に褒めてもらえることも喜びにつながっています。

Q:受験生へメッセージをお願いします!

田嶋先生 一番大事なのは「継続」です。勉強したくない日や体調がすぐれない日もあると思いますが、少しずつでも続けていけば必ず成果に結びつきます。

林谷先生 合格後の自分をイメージすることも大切ですね。勉強は大変ですが、「合格したら何をしたいのか」を思い描くと、勉強のモチベーションを維持しやすいと思います。そして何より、諦めずに続ける経験そのものが、将来自分にとって大きな「自信」になるはずです。

インタビューを終えて―学生が受けた印象          

アパサ武藤 インタビューという初めての経験でとても緊張しましたが、トーマツのオフィスや公認会計士の方々のお話から、この職業の魅力を改めて実感し、憧れがさらに強まりました! いただいたアドバイスをこれからの人生に活かしていきたいです。

岩田 監査を通して、企業の信頼性を高める公認会計士の仕事に改めて感銘を受けました。知識を社会に還元する姿に刺激を受け、将来私も企業の経理や財務の仕事に就いて、会計知識を社会に役立てられるように学び続けたいと思いました。

梶原 「継続が一番大事」という言葉がとても印象に残っています。私自身、勉強もその他もよく三日坊主で終わってしまうので、大きな目標ばかりを見ずに、毎日の小さな継続から始めていきたいと思いました。貴重な機会をありがとうございました。

インタビュー風景

おわりに

再び濵村です。

自分の進路を選ぶきっかけにもいろいろあるんですね。読者のみなさんが公認会計士を目指し始めたきっかけはなんでしょうか。初心に返ってみるのもいいかもしれませんね。

後編も近日公開予定です。後編では実際に育休・産休を利用された先生のお話や、近年話題のサステナビリティ開示と関連した内容を含めて、トーマツでの働き方をさらに深めていきます!


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