わたしの独立開業日誌 #行政書士・米光有美
- 2025/10/2
- 独立開業日誌

【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
宮城県で開業する行政書士
こんにちは。私は宮城県で開業している米光有美と申します。
ここでは、私の行政書士としての歩みを記したいと思います。
どなたかのお役に立てば幸いです。

出産を機に美容部員を辞め、社労士事務所に勤務。士業に憧れを抱く
私はもともと美容部員として働いていました。
メイクを通じてお客様の笑顔を引き出すことが大好きでした。
ただ、出産後、勤務時間の都合で接客業に復帰することが難しくなり、「柔軟な勤務時間で長く続けられる仕事をしたい」と思うようになりました。
そして、下の子が幼稚園に入ると同時に、社労士事務所で働くことにしました。
その社労士事務所は、勤務時間がとても柔軟で、働きやすい環境が整っていました。
そこの代表と副代表の2人の女性社労士に出会ったことで、私の人生が大きく変わりました。
資格を活かして働く姿がとても素敵で、「私も先生方のようになりたい!」と思ったのです。
とはいえ、各士業がどのような仕事をしているのか知らない状況で、まずそこから調べました。
そして、業務と試験内容を検討した結果、行政書士試験への挑戦を決めました。
実務を学びながら行政書士試験に合格
事情があって社労士事務所を退職することになりましたが、ご迷惑をおかけするはずなのに、「米光さんの人生だから、応援している。きっとできる」とエールをいただきました。
先生方とは、独立後の現在もご縁が続いていて、感謝の気持ちでいっぱいです。
その後、「行政書士試験を受験するのであれば、合格後のことを考え、行政書士事務所で実務も学びたい」という気持ちがあり、行政書士事務所に転職しました。
その事務所では、建設業務のノウハウを教えていただき、それが現在の専門分野となり、独立につながっています。
仕事・子育てと勉強の両立に苦労
さて、受験を決めたと言っても、当時はまだ子どもも小さく、家事育児と仕事に追われる毎日で、勉強時間は限られていました。
加えて、法律初学者のため、勉強にはとても苦労しました。
私の勉強方法は「1冊の過去問を何周もする」と「家事中に耳で勉強」でした。
夜は寝ている子どもの隣で過去問を解き、翌日の夕方には家事をしながら、わからない部分をYouTubeで聞いていました。
料理や洗濯をしながらでもインプットできるのは、本当に助けになりました。
集中力が続かないときには「ごほうび作戦」も取り入れました。
「ここまで解いたら娯楽系の動画を1本見ていい」とし、見終わったらまた同じ学習を繰り返すようにしていました。
こうやって何とか気持ちを切らさずに続けました。
行政書士の先輩方の活動の配信を見るのも、気晴らしとモチベーションを保つのに役立ちました。
YouTubeで動画配信してくださっている先生方には、今でも心から感謝しています!
模試では一度も合格点に届かなかったものの、何とか合格を果たす
模試では一度も合格点に届かないまま試験日を迎えました。
本番が終わり、自己採点をしても、結果を見るのが怖くて、結局娘に代わりに答え合わせをしてもらいました。
その瞬間の緊張と、娘の表情を見たときの胸の高鳴りは、今でも鮮明に覚えています。
結果は記述待ちで、発表までの数か月は落ち着かない日々が続きました。
だからこそ、合格発表で自分の番号を見つけたときは、嬉しさと同時にとてもホッとしました。
あぁもう受験勉強しなくていいんだ、もう過去問解かなくていいんだ。と走り出したい気持ちでした。多分人生で一番頑張って勉強したと思います。
コロナ禍の真っただ中に秋田で開業も、オンラインで全国の行政書士とつながる
私は当時住んでいた秋田県で開業しました。
開業はコロナ禍の真っただ中でした。
不安もありましたが、全国的にオンライン交流が盛んになり、多くの行政書士の先生方とつながることができました。
コロナ禍だったことで、むしろ、秋田で開業したとは思えないくらい多くの行政書士の先生方と出会えたのではないかとも思います。
同期の行政書士の先生方には自分の専門分野ではない業務を教えていただいたり、また逆に私の知識を役に立ててもらったりと日々活発に交流しています。
このようなつながりは何にも代えがたいものです。
この業界の良いところは、ほとんどの専門分野にベテランの先輩方がいらっしゃることです。
各分野を極めている姿はとても素敵で、先輩方が惜しみなく知識を教えてくださる姿勢に触れて、私自身も「後輩が困ったときは同じように手を差し伸べられるようになりたい」と思うようになりました。
紹介からの仕事がほとんど
独立後、1番初めの仕事は、友人からの相続の依頼でした。
その後も友人、同業の先生方、他士業の先生方など、直接の知り合いからの仕事がほとんどです。
開業当初から、「まずは自分を知ってもらうことが大事」と思い、経営者団体への参加など、対面の集まりによく参加していました。
また、「営業はどのように行えばよいか」と先輩に相談し、「いただいたお仕事を最後まで丁寧に行うのが一番の営業だよ」とアドバイスをいただきました。
私はこの言葉に感銘を受け、今でもそれを忠実に守っています。
客数の大きな伸びはありませんが、着実にお客様や他の先生方との関係が築けていると感じています。
とはいえ、経営の安定のため、色々な営業方法を検討し実行していくつもりです。
他士業の先生と、建設業者向けの合同セミナーを行う予定があり、準備している最中です。
秋田県から宮城県へ事務所移転して2年
独立3年目には、秋田県から地元である宮城県に事務所を移転しました。
それでも、オンラインや郵送を利用しながら、秋田県のお客様からも継続して依頼していただけています。
移転から2年が経ち、もともと私の地元なので、すっかりと馴染んで、日々楽しく暮らしています。
これからもお客様に安心して任せてもらえるよう、知識のアップデートを欠かさず続けていきたいです。
振り返れば、私の行政書士としての歩みは「挑戦」と「感謝」の連続でした。
受験勉強の苦しさ、合格の喜び、実務での学び、仲間との出会い、そして子どもと過ごす日々。
すべてが今の私を作っています。
これからもその原点を忘れずに、一歩ずつ進んでいきたいと思います。
【プロフィール】
米光有美(よねみつ・ゆみ)
グラント行政書士事務所代表。
会計人コース記事に、「元美容部員・行政書士に聞く!士業の就転職・合格祝賀会 メイクのコツ」がある。
ホームページ:https://grant-gyosei.com/