わたしの独立開業日誌 #行政書士・徳永静


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

岡山県岡山市で行政書士として活動

皆さまこんにちは。
岡山県岡山市で行政書士事務所を開業しております、徳永静と申します。

私は令和元年、6回目の挑戦で行政書士試験に合格しました。
決して優秀な受験生ではありませんでしたが、あれから無我夢中で走り続け、なんとかここまでやってきたという感じです。

ここでは、私自身の「子育てと仕事のリアル」、そして「受験生へのエール」をお届けしたいと思います。

プロフィール写真

 

40代・2児の母・未経験で開業

さて、副業やキャリアアップの一環として資格を目指す方が増えている今、行政書士試験の受験者も年々増加傾向にあります。

2024年度(令和6年度)は全国で約47,000人が受験し、そのうち女性は約3割。
少しずつではありますが、女性行政書士も増えているのを感じます。

私は2人の子どもを育てながら、開業したのは下の娘が3歳になる前でした。
当時は事務パートとの掛け持ち、40歳を過ぎた体力面の不安、そして当然ながら経験も人脈もゼロ、開業資金も最低限です。

悩んだのは「時間の使い方」

ただ、それよりも一番悩んだのは「時間の使い方」でした。

受験生時代から今まで、「あぁ、今日も子どもとゆっくり過ごせなかった・・・」という気持ちと闘っています。

仕事や勉強が順調でも、ふとした瞬間に「子どもの小さな時間って今しかないのに・・・私は何か取り返しのつかない日々を過ごしているのではないだろうか・・・」と、焦りや罪悪感のような感情が生じるのです。

子どもとの時間を大切にしたい。
でも、仕事も軌道に乗せたい。
理想と現実のギャップに戸惑いながら、試行錯誤の末に私がたどり着いたのは、「早朝・土曜日を活用する」スタイルでした。

今でも、日中にできなかった仕事は早朝や土曜日に集中してこなしています。
育児中だとどうしても日中の稼働時間に制限がある日があり、子どもが寝ている時に頑張るしかありません。
子どもが寝てから夜頑張ろうとすると、私が先に寝てしまいます(寝かしつけのために真っ暗な部屋で静かに横になって、寝ずに生還出来る精神力が私にはありません・・・)。

この早朝スタイルが私にはあっているようです。

スケジュールを調整して時間をやりくり

行政書士と聞くと、「書類作成中心の事務作業」というイメージを持たれがちです。
ただ、私の場合、役所やお客様の元に出向いたり、移動も多いです。

朝に書類作成 → 午後は学校の参観日 → 夕方また仕事に戻る

などと、子どもの予定と調整しつつ、柔軟なスケジュールを組んでいます。
この融通が利くのは、個人開業の利点ではないかと思います。

もちろん、心身ともにしんどい時もあります。
でも、子どもたちが巣立つまで、あと15年。
私はそのゴールまで、走り続けなければ!といつも思っています。

「働く女性」にとって、「時間」はお金よりも貴重なものかもしれません。
でも生活するにも子どもを育てるにもお金がかかります。
この葛藤とは、まだまだ付き合っていくことになりそうです。
心も持ち方一つではあると思いますが、よい考え方があれば、ぜひ教えていただきたいところです。

コネなし・金なし・経験なしでも、支えてくれた“ご縁”

私が開業した当初はコロナ禍の真っただ中でした。

「このタイミングで開業するなんて」という声もありましたが、当時は支援金関連の相談も多く、そこで多くのお客様と出会うことができました。

中には今もお付き合いが続いているお客様もいて、本当にありがたいご縁だと思っています。

経験がないから、業務の間口を絞らずにいられた。
人脈がないから、新たに一から人脈を作れた。
一見して不利に見えることでも、裏返せば利点になったりするものですから、あまり心配しなくても良いと思います。

開業当初、経験がなかったのでご依頼いただいた仕事を丁寧に完遂することを心掛けていましたが、これは今でも変わっておらず現在も専門は絞っていません。

頂いた仕事を丁寧にこなす。
これをずっと繰り返す。
でやっています。

最後に――「夢は力になる」

私はいつも子どもたちに、「自分はこんな大人になりたいって思えたら、頑張れるよ!」と話しています。

息子の大好きな某主人公の「○○王に、俺はなる!(ドン!)」という名台詞の通りですね。

長男が私の職業をぼんやりと認識しだしたであろう頃、学校でこんな物を残していました。

小学生で税理士という職業を知っているのが凄いと思ったし、「あぁ、少しは母の背中を見てくれているんだな」と凄く感激したのを覚えています。

まぁ、私は税理士ではないので勘違いも多分にあるようですが・・・。

努力して夢を叶える力は誰にでもある。
それは私自身が実感していることでもあります。
何度も不合格を経験しても、夢を持って努力を続ければ、いつか形になる。
それを私は身をもって学びました。

2度の妊娠・出産を経て、未経験での開業・・・「大変そう」と思われるかもしれません。
でも、今、結構育児も仕事も楽しめています。
もちろん大変な事もたくさんありますが・・・後から振り返れば、充実した日々だったと思えるのではないでしょうか。

受験勉強中・開業準備中は不安になることもあるでしょう。
思うように進まない日や、もしかしたら誰かの心無い言葉に揺らぐ日もあると思います。
でも、諦めなければ必ず道は開けます。

どうか、自分の夢と向き合いながら、今日も一歩を踏み出してください。

あなたの努力は、きっと報われます。応援しています!

〈著者プロフィール〉
徳永 静(とくなが・しずか)
徳永しずか行政書士事務所代表
岡山市にて開業。得意な業務は補助金サポート業務。
小学生二児の母 。趣味は手芸。最近の悩みは家に変な虫が出ることです。 昔は本田翼に似ているとよく言われました(嘘です)。

ホームページ:https://office-tokunaga.com/


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