キャリアコンサルタントが教える若手採用のコツ


平野裕一(キャリアコンサルタント/株式会社主体的なキャリア形成🄬代表取締役)

はじめに

株式会社主体的なキャリア形成🄬代表の平野です。
キャリアコンサルタントとして、人手不足対策に力を入れております。

近年、企業から「若者の採用が難しい」と相談を受ける機会が多くなりました。
この問題の背景には、少子化や若者の価値観の変化など様々な要因が複雑に絡み合っていると思われます。

どの業界でも深刻な問題ではありますが、会計人コースwebをお読みなっている会計事務所様でも例外ではないはずです。
ここでは、いかにお金をかけないで採用活動を強化していくか?を解説します。

私自身、60歳からSNSを始め、フォロワーが2万7千人を超えるようになりました。
ご参考になれば幸いです。

なぜ若者の採用が難しいのか?

少子化による労働人口の減少

総務省統計局のデータによると、2012年から2022年の間に25歳~34歳の労働人口は全国で約15%減少しました。特にIT・製造・物流・介護・医療業界などで人手不足が深刻化しています。 

若者の価値観の変化

従来の終身雇用や年功序列といった価値観が変わり、若者たちは多様な働き方を求めるようになりました。Indeedの調査によると、若年層の8割以上が「ワークライフバランス」を重視しており、企業選びの際に重要な要素となっています。 

情報収集の多様化

X・Instagram・TikTokなどのSNSを通じて、若者たちは企業情報を容易に入手できるようになりました。これらのプラットフォームでの企業評価は、若者の就職活動に大きな影響を与えています。

地方の人口流出

国土交通省の調査によると、2015年から2020年の間に、福岡市から他の都道府県へ転出する20代が増加傾向にあります。特に、東京・大阪といった大都市圏への流出が目立ちます。 

企業が若者を採用するためにできること!

企業の魅力を発信する

福岡ソフトバンクホークスのように、地域に根差した活動を行い、地域貢献を積極的にアピールすることで、若者の共感を呼ぶことができます。
また、社内の若手社員が活躍する様子を動画で公開するなど、リアルな情報を発信することも効果的です。 

多様な働き方を認める

富士通のように、リモートワークやフレックスタイム制を導入し、柔軟な働き方を推進することで、子育てや介護中の社員及び地方在住の社員も働きやすくなります。 

キャリアパスを明確にする

新卒入社三年後のキャリアパスを具体的に示すなど、若者が将来のキャリアをイメージしやすいようにしましょう。
また、OJTだけでなく、外部研修や資格取得支援制度を充実させることで、成長意欲の高い若者を惹きつけます。

企業の社会貢献活動を発信する

無印良品のように、持続可能な社会の実現を目指した取り組みを積極的に行い、SDGsの目標達成に貢献することで、社会意識の高い若者からの支持を得ることができます。

インターンシップの実施

インターンシップ中にメンターをつけ、個別指導を行うことで若者の成長をサポートし、入社後のミスマッチを防ぐことが可能となります。

「お金をかけない」採用のコツ:アナログとSNSの組合わせ!

なぜアナログのアプローチが重要なのか? 

デジタル化が進む現代においてもアナログな人間関係の力は依然として大きいものです。
特に学生との直接的な繋がりのあるキャリアセンターとの連携を築くことは、採用活動においても大きなアドバンテージとなります。

⑴ キャリアセンターとの連携強化

大学のキャリアセンターは、学生の就職活動のサポートを行う重要な拠点です。
現場のキャリアコンサルタントとの関係性を深めることで、最新の学生の動向やニーズを把握することができます。
学生は大手企業狙いが多いのですが、大手企業は狭き門です。
採用される倍率は0.7%だと思われます。不採用だった場合にキャリアセンターの担当者が、定期的に訪問している中小企業を案内していただけるチャンスが巡ってくる場合があります。

⑵ OB・OGの活用

社内のOB・OGは、企業と学生の間の架け橋となる貴重な存在です。
彼らの経験や人脈は、企業の魅力を学生に伝える上で大きな力になります。 

⑶ 「伝える力」の強化

中小企業は、大手企業に比べて知名度が低いという課題があります。
中小企業の多くは優れた製品やサービスを提供しているので、その魅力を充分に伝えることが大切です。

⑷ 共同求人委員会の活用

福岡の中小企業家同友会の共同求人委員会は、大学訪問(2月と10月)などを通じて中小企業の採用活動を支援しています。
このような取り組みを活用することで、より多くの学生に自社の魅力をアピールすることもできます。

「伝える力」とSNS

では、どのようなことを若者に伝えていけばいいのでしょうか?

⑴ 自社の魅力を明確にする

まず、企業は自社の魅力を明確にする必要があります。

・企業理念やビジョン
企業は何のために存在するのか、将来、どのような会社になりたいのか
・事業内容
どのような事業を行っているのか、その事業が社会にどのような貢献をしているのか
・企業文化
社内の雰囲気、働き方、大切にしている価値観は何か
・成長機会
若手社員がどのように成長できるのか、キャリアパスはどのようなものがあるのか

⑵ 求める人物像を具体的に示す 

・どのようなスキルを求めているのか
・どのような経験を求めているのか
・どのような人物が欲しいのか(例えばコミュニケーション能力が高いなど)

ただ単に「やる気のある人」といった抽象的な表現ではなく、具体的な行動やエピソードを交えて説明することが大切です。

⑶ Uターン・Iターン促進及びリモートでの人財活用

Uターン・Iターン希望者向けの住宅補助制度等を充実させ、自社や街並みの魅力を発信する動画を作成し、SNSで拡散することで、若者の移住を促しましょう。
 また、東京の優秀な人財を東京にいながらリモートで活用することも重要です。

⑷ 多様なチャネルを活用した採用活動

これらの情報を若者にも分かりやすく伝えることが重要です! 

X・Instagram・TikTokへ動画も含めて投稿し、自社のホームページ採用サイトの閲覧につながるようなリンクを貼りましょう。
無料のSNSの活用は、中小企業にメリットがあります。

SNSと自社ホームページ応募サイトとの連動成功事例(ロールモデル)

やみくもにSNSを行うより、採用に成功している他社事例を参考にしましょう。

以下のような、X・Instagram・TikTokを連携させているフォロワー数の多い企業のアカウントを、ぜひチェックしてみるとよいと思います。

【成功事例(ロールモデル)】
・株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズ
(資本金3,000万円・従業員数125名・本社東京)
・Gライン株式会社(資本金1,000万円・従業員数75名・本社福岡県糟屋郡)

おわりに

若者の採用が難しくなるという課題は、少子化という社会構造の変化に加え、若者の価値観が多様化したことなども要因として挙げられます。

企業は、若者のニーズに応える多様な働き方を提供し、魅力的な文化を醸成し、地道なSNSで「伝える」努力が採用につながると考えられます。
ぜひ、アナログとSNSの組み合わせで「お金をかけない」採用を行ってください。

※『聴く力』と『問いかける力』を高めて!社員の方々がやる気になる面談力向上講座を毎日SNSで発信中、宜しければ定着率向上に役立ててみてください。

皆さまの採用がより良く、うまくいきますように♪

プロフィール>
平野 裕一(ひらの ゆういち)

株式会社主体的なキャリア形成🄬代表取締役 
国家検定2級キャリアコンサルティング技能士
若者・中高年・シニア・女性のご相談を18年、1万人以上を面談。
刑務所で受刑者の方へのキャリアコンサルティング実績もあり。
令和4年12月16日から『聴く力』と『問いかける力』を高めて!という社員の方々が#やる気 になる面談力向上⤴講座をSNSで発信中!
若者採用力強化のためのSNS実践・研究中、現在総フォロワー数2万7千人超え! (令和6年11月23日現在)


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