(編集部)
2024年12月10日付けの官報にて、令和7年度税理士試験の試験委員が公告されました。
例年、年明けの1月に発表されていたところ、昨年は12月20日、今年は12月10日の発表でちょっと驚いていたのですが、今年はさらに早まりましたね。
昨年度と比較すると、研究者・実務家関係では、4名が退任されて、あらたに4名が任命されました。そのため、全体の人数構成は昨年と同じでした。
(役所関係)
渡辺 隆
(国税庁課税部課税総括課消費税室長)財務事務官
大柳 久幸
(国税庁課税部個人課税課長)財務事務官
秦 幹雄
(国税庁課税部法人課税課長)財務事務官
三浦 隆
(国税庁課税部酒税課長)財務事務官
山本 学
(国税庁徴収部徴収課長)財務事務官
細野 道誉
(東京高等検察庁検事兼国税庁課税部資産課税課長)検事兼財務事務官
市川 靖之
(総務省自治税務局都道府県税課長)総務事務官
水野 敦志
(総務省自治税務局市町村税課長)総務事務官
池田 敬之
(総務省自治税務局固定資産税課長)総務事務官
(研究者・実務家関係:数字は就任年数)
相澤 範忠 ②
出岡 伸和(新)
一高 龍司 ②
小津稚加子 ③
小野 正芳 ②
柏木 英樹 ②
加藤 大吾 ②
木下 純 ③
佐藤 増彦 ③
澁谷 雅弘 ③
角ヶ谷 典幸 再①
富永 生志 ③
林 めぐみ ②
原 俊雄 再②
藤田 隆大(新)
藤村 幸司 ③
溝上 達也(新)
山下 雄次 ②
渡邉 明裕 ②
渡邉 雅雄 ③
(以下、おまけ)
今回の新任・再任の方の中で、弊社の執筆者である2名の先生について、簡単にご紹介します。
角ヶ谷典幸先生(一橋大学教授)
(ご略歴)慶応大学商学部卒業、一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位修得退学。名古屋商科大学、福島大学、九州大学、名古屋大学を経て現職。博士(商学)(一橋大学)。公認会計士試験委員、税理士試験委員を歴任。
再任された角ヶ谷典幸先生は、海外ジャーナルで多数論文を掲載し、また日本語でも非常に精力的に研究に取り組んでいる先生ですね。
単著としては、『割引現在価値会計論』森山書店、2009年を刊行されており、日本会計研究学会太田・黒澤賞を受賞されています。
英語の論文については、共著でIFRSの適用に関する影響の内容のものが多いように思われます。
日本語の論文(単著)では、直近のものとして
・「リース会計基準(案)の経緯と課題―借手のオペレーティング・リースの会計処理―」『會計』206巻2号(2024年8月)
・「リース会計・使用権アプローチの未解決課題」『會計』203巻5号(2023年5月)
・「不確実性の会計学―Barker and Penman (2020)の所説を中心にして―」『産業經理』82巻3号(2022年10月)
などを執筆されていますね。
弊社の書籍では、『スタンダードテキスト財務会計論Ⅱ(応用論点編)』にて「第2章 デリバティブ」「第3章 リース」についてご執筆いただいています。
溝上達也先生(松山大学教授)
(ご略歴)一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学、一橋大学博士(商学)。松山大学学長を歴任。
研究領域としては、キャッシュフロー会計に関する内容を長年続けてこられていますね。
<主な著書>
①『学部生のための企業分析テキスト : 業界・経営・財務分析の基本〈改訂版〉』共著、創成社、2024年
②『会計学・簿記入門〈第17版〉』共著、白桃書房、2024年
③『勘定科目・仕訳事典〈第3版〉』共著、中央経済社、2024年
④『全経簿記上級 商業簿記・財務会計テキスト〈第9版〉』共著、中央経済社、2023年
⑤『財務会計論究』共編著、森山書店、2015年
他多数
試験委員対策、する? しない?
「さあ、来年の試験委員がわかったので、試験委員の書籍や論文を読んで対策を立てましょう!」というつもりは、1ミリもありません。
国税庁のHPに「税理士試験は、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的として行われます。」とありますので、試験委員の方々は、将来税理士として職務をまっとうするにはどのような知識・能力を身につけていてほしいか、という視点から出題しているはずです。
「出題のポイント」で多数指摘されている「基礎的な知識及び理解を問う問題」は大きなメッセージですね。
ですので、特別な試験委員対策は基本的には必要ないといえるでしょう。
まずは年末年始で「過去問」をじっくり分析しよう!
税理士試験の目的である「税理士となるのに必要な学識及びその応用能力」を有する問題はどのようなものかを把握する最高の教材は「過去問」です。
試験委員の先生方は、作問する上で必ず過去問を参照しているはずです。
ですので、過去問を見ることは、今後学習を進める上で非常に重要といえるでしょう。
そして、国税庁HPには近年の試験問題と出題のポイントが掲載されています。
ぜひ、この年末年始で以下を実践してみてはいかがでしょうか。
- 「過去問」と「出題のポイント」を見る。
- 出題のポイントでは「基本的な理解を問うている」などの指摘が多数みられる。これにより、試験委員は基礎的な理解を重視していることがわかる。そこで、試験委員は何を基礎と考えているかを把握する。
- その延長で、他の論点でも基礎とカテゴライズされるものを考える。
- 今、自分はどのくらい基礎が身についているか、8月の本試験までにどのようにマスターしていけばよいかを検討する。
新試験委員発表を機に、ぜひ実践しましょう!