わたしの独立開業日誌 #会計士・林 竜太


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

シンガポールで会計事務所を経営

こんにちは、林 竜太(はやし りょうた)です。
シンガポールで会計事務所を営んでおり、10年程度シンガポールに住んでいます。

▶︎シンガポールの伝統的なプラナカンハウス

今回のテーマは、シンガポールでの独立開業についてですが、以前「海外で働く公認会計士のリアル:#シンガポール編・林 竜太」にもコラムを書きましたので、そちらもぜひご覧ください。

シンガポールでの独立開業

私がシンガポールでの独立開業を決意したのは、シンガポールをはじめとする東南アジアというダイナミックなマーケットに身を置きながら仕事がしたかったからです。

自分自身が海外で挑戦し、海外で挑戦している方々と一緒に働くことに楽しさとやりがいを感じています。

▶︎マーライオンと金融街

シンガポールは東南アジアのハブであり、ここで仕事をしていると、自然に東南アジア諸国でのビジネスに関わることができます。シンガポールの税制は、海外からの投資を促進し、企業の海外展開を後押しするようなダイナミックなものになっています。

クライアントからは、会計税務等はもちろんのこと、シンガポールや東南アジアでの事業展開など幅広いご相談を頂きます。

そのため、シンガポールで見識を深めるとともに、仕事やプライベートでフットワーク軽く東南アジア諸国に赴き知見を広げるよう心がけています。シンガポールは地理的にも便利で、ほとんどの東南アジア諸国へは2時間程度のフライトで行けるため、毎月のように海外出張をしています。

独立開業まで 〜クライアントの近くで仕事がしたい〜

日本の大手監査法人やシンガポールの会計コンサルティング事務所を経て、シンガポールで開業しました。振り返ってみると、常にクライアントとの距離を近く保ちたいと考え、働いてきたように思います。

大手監査法人勤務時代には、監査人としてクライアントと関わっていたため、クライアントとの距離感に気を使う必要がありました。会計コンサルティング事務所では、より密接に関わることができましたが、会社の方針からサービス内容に限界を感じることもありました。

独立したことで、クライアントとの関わり方やサービス内容を自由に決めることができ、さらに距離が縮まりました。ビジネスやプライベートをオープンに話し合うことも多くなり、クライアントからの相談も増え、仕事のやりがいが増す一方で、責任も重く身が引き締まる思いです。

独立してからの仕事

現在は、下記の業務を軸としています。

① シンガポールにおけるコンプライアンス

日系企業や投資家の方がシンガポールに進出・移住される際に、シンガポールでの会社設立や会計税務、就労ビザ取得等の支援をしています。海外進出となると不安もあるかと思いますが、私が経営者の方々と伴走することで様々なお悩みをワンストップで解決できるよう心がけています。

② 海外子会社の内部監査・内部統制支援

東南アジアに拠点を構える子会社の内部監査や内部統制構築のサポートをすることが多いです。日本本社からすると、海外子会社の業務内容がブラックボックス化しているので、業務の「見える化」を行いたいというニーズが多くあります。また、不正防止の観点から定期的に内部監査に行くこともあります。

③ 財務デューデリジェンス・PMI

日系企業の海外投資に伴う財務デューデリジェンスや、買収後の統合プロセスであるPMI業務をしています。異なる文化を持つ海外の企業を正しく理解し、投資後スムーズに統合するため、投資先とのコミュニケーションを特に重視しています。

④ 海外進出コンサルティング

私自身が「HITOSAJIYA」という調味料ブランドを経営している経験を生かし、日系企業の海外進出に関連する経営コンサルティングを行なっています。

新たな仕事は、ほとんどがクライアントや知人からの紹介のため、毎日の仕事に真摯に取り組み良いパフォーマンスを発揮することが重要だと思っています。

ブランドの立ち上げと経営経験を活かして

HITOSAJIYA」というブランドの立ち上げから運営まで幅広く経験していることは、会計事務所を運営する上でも非常に役立っていると感じます。

▶︎日本やシンガポールを中心に販売するHITOSAJIYAの商品

ブランド立ち上げ段階では、デザイナーの方々とチームを組みブランド理念の抽出を行い、ブランドの方向性を決めました。カメラマンやフードスタイリストの方々による写真撮影や、コピーライターの方を交えてのブランドステートメント・プロダクト紹介の作成を経てブランドを立ち上げました。

ブランド立ち上げ後は、商品の直販や卸販売を行っており、ECサイトの運営も手掛けています。
日本や海外で食品展示会に出展し、販路の拡大も行っています。

現在、シンガポールや東南アジア諸国でビジネス展開されるクライアントと伴走させて頂くことが多いため、これらの経験も非常に役立っています。

独立すると業務範囲も自分で決められるため、自分の経験を最大限に活かしてサービスを提供することも重要だと実感しています。それが、結果としてクライアントのためになると信じて、日々仕事をしています。

<執筆者紹介>

林 竜太(はやし りょうた)


シンガポールの会計事務所Pure Consulting Pte. Ltd. 代表取締役/公認会計士
シンガポール歴10年目
慶應義塾大学卒業後、有限責任監査法人トーマツ、AGS Consulting Singapore Pte. Ltd.を経てPure Consulting Pte. Ltd.を創業。
シンガポールで、会社設立から会計税務まで含めワンストップで支援を行なっている。
東南アジア諸国で、海外子会社の内部監査・内部統制関連支援、財務デューデリジェンス・PMI業務を提供。
HITOSAJIYAという調味料ブランドの経営も行っている経験を生かし、日系企業の海外進出に関連する経営コンサルティングも手掛けている。
事務所ホームページ(https://pure-cslt.com
HITOSAJIYAホームページ(https://hitosajiya.com

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