【USCPA合格体験記】IT監査の実務経験を活かしFAR•AUD•REG+ISCにストレート合格!


NFSQ

【編集部より】
USCPA(米国公認会計士)試験の受験を検討する人にはさまざまなバックグラウンドがあるそうです。そのため、受験をスタートする時点での経験、受験勉強を続ける環境も人それぞれ。たとえば、簿記・会計の前提知識の有無によっても、試験対策の方法や戦略が変わるでしょう。
そこで、本企画では、異なるバックグラウンドのUSCPA合格者に、受験エピソードを教えて頂きました。これから受験を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、USCPA試験は2024年から新試験制度に移行しました。合格体験記の中には旧制度での合格者もいますのでご留意ください。

試験前の事前知識と試験のスケジュール

こんにちは、NFSQと申します。日本の大手監査法人での勤務を経て、現在はバンコクの監査法人で働いています。USCPA合格体験記のお話をいただき、少しでもこれから試験に挑戦される方の参考になればと思い寄稿しました。

私は元々IT統制の評価担当として監査業務に携わっていたため、内部統制や監査論の基礎理解が求められるAUD(監査及び証明業務)とISC(情報システム及び統制)については業務経験に大いに支えられました。また、グループ監査のなかで英語対応が必要な機会もあり、基礎的な会計・監査用語には馴染みがあったことも試験対策において有利に働いたと思います。

一方で会計については、日商簿記2級を取得してはいるものの、取得当時は連結などが試験範囲外だったこともあり、FAR(財務会計)対策では会計の基礎から改めて勉強する必要がありました。税務・法務については全くの門外漢であったためREG(ビジネス法)対策はゼロからのスターとなりました。

受験のスケジュールと結果は次の通りです(ISC以外は旧試験です)。

科目受験時期/
結果(99点満点)
準備期間
FAR
Financial Accounting and Reporting
2023年6月上旬/
2023年6月中旬(89点)
2023年1月〜6月
AUD
Auditing and Attestation
2023年8上旬/
2023年8月下旬(92点)
2023年6月末〜8月
REG
Regulation
2023年10月下旬/
2023年11月上旬(81点)
2023年9月〜10月 
ISC
Information Systems and Controls
2024年7月上旬/
2024年9月中旬(97点)
2024年5月末〜7月

余談ですが、AUDの結果発表があるころにバンコクに引っ越したため、REGとISCは日本に帰国したタイミングでの受験となりました。
あまり当てはまる方は多くないかと思いますが、試験会場を利用できる期間が確定する前に飛行機を予約するとキャンセルして取り直さなければならなくなるため、海外から日本に戻って受験される方は飛行機よりも先に会場を予約することを強くお勧めします。

学習教材・勉強方法

私は基本的にはアビタスの教材を中心に学習していましたが、ISCではGleimを主教材にしていました。
各科目で具体的に利用した教材は次の通りです。

教材FARAUDREGISC
アビタステキスト
アビタス問題集
アビタス解説動画×××
アビタス模試×××
RQ問題(公式過去問)×××
Gleimテキスト×××
Gleim問題集×××
その他(基準の原典など)×××
◎:大いに参考にした
〇:参考にした
△:ほとんど利用していない
×:利用していない

各科目の勉強方法については後述しますが、基本的には主教材とした問題集を周回することに重きを置いていました。テキストを読んで理解度チェックで問題を解くという流れをベースに、「前日間違えた問題」+「当日分の問題」をセットにして演習し、間違えた問題は確実に翌日復習するようにしていました。

問題集では演習時点の正誤よりも取り上げられている論点と周辺情報を抑えることを重視していたので、正答した問題であっても自信がなかったものや解説を読んで理解が及んでいない個所を見つけた問題については「前日間違えた問題」の枠で復習できるようにフラグを付けて管理していました。

問題集で取り上げられている論点を確実に理解していれば本試験で大きく失敗することはないだろうと思い、上記で◎を付けた問題集の8~9割くらいについて問題を見れば解説の要点を思い出すような状態に持っていくことを1つの目安にしていました。

解答の要点を覚えるには関連する問題を同時にたくさん解いたほうが効率的なので、章をまたいで問題をランダムに解くような演習はせず、テキスト・問題集の章構成に沿って単元ごとに演習するようにしていました。

FAR

試験範囲が広く、時間が経つと最初のころに学習した内容を忘れてしまうため、1~2週間に一度はテキスト・問題集の各章について復習のタイミングを設けるようにしていました。本試験で計算を求められるので、とにかくきちんと手を動かすことを重視しました。

問題集だと仕訳(勘定科目)の理解があいまいでも金額を計算できれば正解できてしまうものも多かったので、必ず仕訳とセットで確認することを意識していました。

AUD

監査業務への関与経験がありましたので、比較的取り組みやすい科目でした。実務経験があることで問題集の解答・解説に納得がいかない(4択のうち2つまでしか絞れないなど)こともしばしばありましたが、本試験ではあまり気にならなかったので、出題者側もなるべく意見の分かれなさそうな選択肢を用意してくれているのかもしれません。

監査報告書の表現を細やかに問われる問題も多々見受けられたため、レポートの記述については穴埋め問題などで見かける都度音読して覚えるようにしていました。

REG

法律についてはFARやAUD同様に粛々と問題集の演習を進めていましたが、税務については暗記項目が非常に多かったため間違った問題とその解説をスプレッドシートに転記して、教科書からも情報を補って苦手対策のノートを作っていました。アメリカの税法に関する知識を使う予定は今のところないので、試験のための暗記と割り切って詰め込みました。

納税申告フォームを埋めながらフォーム間の関係性を覚えるという勉強法も見かけましたが、問題集などでフォームの穴埋めを要求されなかったためフォームは一切見ずに税目と税率を丸暗記して乗り切りました。本試験でも特に困ることはありませんでしたが、運が良かっただけかもしれません。

ISC

IT監査の経験が活きるだろうと見込んでの受験でした。ITの基礎的な理解や保証業務に関する理解については実務経験に大いに助けられましたが、ガイドラインやフレームワークの理解を問われる問題も非常に多く、各種ガイドラインの構成や主要なポイントを覚える必要がありました。ガイドラインを全て読んで覚えるのは現実的でないため、練習問題を解いて問われる深度の感覚をつかんでから原典を流し読みして構成を把握するようにしていました。

ガイドラインにもよりますが、見出し(章立て)と各章の最初に記載されているサマリの文章あたりまで押さえておけば一通り対応できるのではないかと思います。

おわりに

USCPAは決して簡単な試験ではありませんが、突飛な論点や難問奇問もあまり出題されないため基礎力の積み重ねによって確実に合格に近づくことができる試験だと思います。
この合格体験記がこれからUSCPAに挑戦される誰かの参考になれば僥倖です。

<執筆者紹介>
NFSQ
監査法人でIT監査やITリスク・ITガバナンスに係るアドバイザリー業務を担当後、バンコクの日本人デスクに転籍。稀にX(旧Twitter)とnoteで情報を発信する匿名アカウントです。
※すべての媒体での発信は個人の見解であり、過去または現在の所属組織の見解とは無関係です。
・Xアカウント(@NF_SQ_08

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