森川敏行(税理士)
【編集部より】
税理士試験に合格した後もスキルアップは欠かせません。歯科専門税理士法人を経営する、旅好き税理士こと森川敏行先生は、この夏、1ヵ月の休みを取り、2週間の短期語学留学に挑戦されたそうです。なぜ今、短期留学に行こうと思ったのでしょうか。また、顧問先や事務所スタッフの方とはどのような関係を築いているのでしょうか。
挑戦し続ける所長の姿から、今後のキャリアに対するヒントが見つかるはずです!
海外に短期留学したきっかけ
もともと旅行が好きで、ひまを見つけると海外に旅をしていました。X(旧Twitter)では「旅好き税理士」なんてアカウント名ですが、実は英語がまったくできません。英語と向き合わずに今まで過ごしてきました。
税理士業はかなり忙しく、顧問先には毎月50件は訪問しています。朝から夕方まで顧問先回りをすることが多く、休みを取るのは4~5日が限界。1週間以上の旅行はGW期間に限られます。「いつかリタイヤしたらまとまった旅行でもしようかな」と考えていましたが、年老いた母がケガで歩くのも不自由になるのを見ると、元気なうちにするのがいいなと感じました。
そんなとき、顧問先に1ヵ月だけ訪問しないことを思いついたのです。顧問料を値上げしない代わりに、訪問しない月をつくる提案をしました。幸い、顧問先にも理解してもらうことができ、今年8月は顧問先を全く訪問しなくてよくなりました。
自由が手に入り、何をしようかと考えたとき、自分が10代から抱いていたコンプレックスを思い出します。
「私は英語ができない…。」
それなら、フィリピンの語学学校で英語漬けにしたらどうか、まとまった休みで今までできなかったことをやってみよう、と。
いきなり1ヵ月は不安なので、語学学校の2週間コースを申し込みました。
語学学校の様子
学校はセブ島にあるEV ACADEMYという学校です。現地につくと外部寮に案内されました。校内の寮が基本ですが、いっぱいで学校から車で10分のサービスアパートメントで2週間を過ごすことになりました。
朝7:15に送迎のワゴン車で学校に向かい、授業の後も送ってもらえます。学校内は禁酒なので、個人的には外部寮になってよかったです。
授業は8:00から始まり、夕方17:10まで45分の授業が10コマあります。マンツーマンレッスン6コマにグループレッスン4コマ、合間の休憩は5分だけでけっこうハード…。
どの授業もひたすら英語で話しかけられるのですが、これがキツイ。どう返していいのか言葉が出てこずに固まっていると、先生は英語の他の言い回しで話してくれるが、それもわからない…。
こんな状態がひたすら繰り返されるので、最初の3日は本当にきつかった記憶しかありません。半日でかなり疲れ、昼食の後もひたすら授業が続きます。1日が終わり、部屋に帰るとぐったりしてベッドに横たわる日々でした。
生徒は20歳前後が中心で、夏休みの時期だったので日本の学生が4割程度いました。あとは、韓国、台湾、中国、モンゴル、アラブの人もいました。30代もいましたが、社会人は少数。中には、小中学生の子供と母との親子もいました。ちなみに、最高齢は75歳の女性で、年末に豪華客船で世界クルーズをする予定だそうで、そのバイタリティに驚きました。
食事は3食、食堂で決まった時間にバイキング形式で食べます。基本はフィリピン料理でしたが、生野菜や果物もあるので健康的な食生活を送ることができましたが、1週間もすると飽きてきて、夜は外食も増えました。
授業の内容
英語の教科書をもとに授業を進めていきますが、先生は英文を読みながら説明と質問をします。単語がわからないときは、他の単語を使ったり、違う言葉の表現をしてくれたりします。
一方で、こちらが英単語を説明するときは、他の英語で説明することを求められ、似た単語や言い換えを何度も聞かれました。まるで英英辞典を引いているようでした。
実はこれが英語習得のために必要なことで、ある言葉を他の単語で説明しようとすると、必然的に語彙力が増え、英語で話すことにも慣れてきます。それを繰り返すことにより、英語の会話力が上達するのだと感じました。
たった2週間では、英語ですらすら話すことはできなかったですが、ここにいると上達するなということは実感しました。それに、英語で話かけられることの抵抗はなくなり、何度も聞き返せるようになり、なんとなくニュアンスがわかって答えられることも増えました。
今後について
この短期語学留学を機に、「税理士として海外の仕事を手掛けるのか」というとそれは全くありません。そんな付け焼刃でできるほど現実は甘くないからです。
ただ、所長自らが長期の休みを取る事務所なので、スタッフは自由に休んでいます。当日急に休んでもslackで連絡すればOKで、理由も必要ありません。
何より、今までやったことのないことに挑戦できたのが、自分にとって喜びが大きく、こんなチャレンジは歳を取ればできない気がします。
おじさんが学校に行くと完全にアウェイだし、「よく来るよね」という雰囲気はあります。それでもやさしく話かけてくれる学生もいましたし、最後の日に一緒に食事やボウリングにも付き合ってくれ、若いのに立派な学生もいるのだなと感心しました。
私自身もまるで学生時代に戻った気がして、そういう気分を味わうだけでも行った価値があったと感じています。
チャレンジが大事
そんな状態でしたが、若い時に留学すれば吸収力はもっと違うでしょう。頭の入り方も記憶力もまるで違うので、若いうちにいけば英語の上達も早いに違いありません。
だから、若いうちに行くのがオススメですが、資格試験や就職などの関係で行きたくても行けなかった人もいるでしょう。だから、いつになってもいいから英語に興味があれば、行ってみましょう!
人生はチャレンジ。行けば何とかなります。
【執筆者紹介】
森川 敏行(もりかわ としゆき)
税理士
1967年京都市生まれ。同志社大学商学部卒業。1994年に税理士登録。
大手税理士法人の医療事業部部長を経て、1998年森川会計事務所を開所。大手歯科メーカーの「歯科開業セミナー」の講師を20年以上続けている歯科専門の税理士。会計税務だけでなく開業立地からマーケティング、内装までも相談に応じる。モットーは「お客様と開業10年たっても共に喜びを分かち合いたい」
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