わたしの独立開業日誌 #行政書士・千葉直子


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

千葉県千葉市で障害福祉専門の行政書士をする千葉です!

皆さま、はじめまして。

千葉県千葉市で障害福祉専門の行政書士をしております千葉直子と申します。

私は、2019年1月に行政書士試験に合格しました。
1歳10ヵ月の子供を育てながら、第二子妊娠7ヵ月のときに、行政書士試験を受験しました。
2回目の試験で合格でき、合格発表の5日後に出産しました。

そこから2年間、専業主婦として子育てに専念し、下の子供が2歳になったのをきっかけに、社会復帰を試みました。しかし、コロナ禍ということもあり、パートで4時間の求人はほぼなく、自分で開業する道しか残されていませんでした。

ここでは、私が業界未経験でどのように開業準備をしていったのか、また、事務所の売上をどう安定させていったのか、業務経験ゼロ、さらに2児のママという属性でも、どうにか行政書士事務所を運営してきた話をご紹介します。

こういった例もあるんだと、試験勉強のモチベーションや、合格後どうしようと思っている方の参考になれば幸いです。

プロフィール写真

宅建士試験合格後に行政書士試験に挑戦!

結婚して千葉県に来て、専業主婦でトイプードルと暮らす毎日。
平凡な日々でした。
「結婚もしたし、次は家かなー?」っということで、土地と建物について勉強しようと思い、「どうせなら資格をとろう!」と思いました。
家の賃貸でお世話になった不動産会社にパートで勤めながら、宅建士試験を受験し無事に合格できました。

知らない土地での慣れない子育ては疲れることも多いです。
「少し自分だけの世界がほしいな」と思うようになり、行政書士試験に挑戦してみることにしました。子育てや2人目の不妊治療でストレスがかかる中、行政書士試験の勉強で、自分だけの世界に没頭できる時間は、とても貴重でした。

渋谷の資格予備校に通いましたが、先生には大変お世話になり、苦しくも楽しい受験生活でした。
お昼休憩に受験仲間と行くランチは美味しかったです♪(笑)
「あの判例解釈は難しい」「あそこの模試は難しい」「あの人は受かりそう」「いや、自分終わってる…」など、たわいもない話がストレス発散になっていました。

幼児2人の子育て中、4時間のパートは厳しい!

下の子がプレ幼稚園に通いだし、平日の時間が4時間ほど空きそうなので、早速、社会復帰を試みました。
司法書士事務所に運よく採用されましたが、幼児2人を抱えて、いつ熱がでるかもわからないうえ、幼稚園の行事もたくさんあります。
週3日×4時間のパート勤務は、かなり厳しく、試用期間で断念をしました。

そこで、思い出したのが行政書士の資格です。
「これで、独立開業するしかない!」と背水の陣で開業に挑みました。
通帳にあった100万円と自分で金融公庫に創業融資を申し込んだ100万円の合計200万円で、自宅開業をスタートしました。

開業3ヵ月、セキュリティを考えて事務所を借りる

コロナ禍で、人に会うことも難しかった時に開業したこともあり、ちょうどSNS集客が目立ち始めたときでした。

不特定多数に、自分の事務所や自分のことをオープンにしていくので、自宅開業についてセキュリティに不安を感じ、事務所を借りることにしました。
売上がまだ少ないのに、固定費を上げて大丈夫か、ビクビクしながらだったことを覚えています。

親指でポチポチ、スキマ時間にできるTwitter(X)は、時間を拘束されたくない子育て中の2児のママにとって、とても相性がよかったです。
事務所ホームページを作成し、SNSで拡散し、知ってもらい、ホームページからお問い合わせいただくという手法をとりました。

1ヵ月目からお客様がつき始め、また、顧問契約のお問い合わせもあり、実際に契約に至ったものもありました。
そこから地味ながらも右肩上がりでお仕事が増えていきました。

2児ママゆえの悩みは、時間がないこと&キャパオーバー

仕事が順調に増えたものの、幼稚園や小学校の準備、食事の支度、掃除、洗濯、お迎え、習い事の送迎をしながらの仕事は、マルチタスクもいいところです。
専業で仕事できる人が羨ましく思えました。 

いつも、「限られた時間の中で、どう効率よく仕事し、結果を出すのか」を考え、外注してみたり、雇用をしたり、色々挑戦しました。

現在は、3人の事務スタッフと仕事をしています。
1人でやれる仕事には限界があるので、チームとして事務所を運営しています。

とはいえ、それでも今、限界に直面しています。
「これからどのような組織にしていくのか?」
「拡大路線はやめて、違う専門業務や事業を検討するのか?」という岐路に立たされています。

「まずは行動する!」の精神

色々悩みはあるものの、行政書士試験に合格して、開業しないとこの道は歩けなかったと思います。
たくさんの人に助けられています。

行政書士の仕事は、プレッシャーやストレスがかかりますが、やりがいも多く、とても満足しています。
この仕事をしていなければ、出会えなかった人との出会いもあり、感謝することが多くなりました。

受験を考えている方は、資格について調べてみる。
現在受験生の方は、計画を立てて勉強を淡々を進める。
開業準備の方は、キャッシュアウトしないように開業計画を立てて実行する。

まずは、やってみないと、現実は変わりません。
なにか動くことが大事だと思います。
私も動いた結果、今があります。

とはいえ、私は不器用なタイプなので、行動が遅いです。
それでも、なんとかがんばっています。
この記事を読んでくださった方の力になれば嬉しいです。

<プロフィール>
千葉 直子(ちば なおこ)


高校・大学時代には福祉ボランティアクラブに所属。2021年8月、子育て中の専業主婦から、業界未経験・実務知識ゼロの状態で、障がい福祉に特化した愛とひだまりのある場所の継続を願い「あいまり行政書士オフィス」を開業。
障害福祉専門の行政書士として、障害福祉事業所の新規事業所開業からその後の運営や経営の相談の相談や書類作成、顧問契約などを行う。全国からのお問い合わせに対応。現在、事務パートスタッフ3名、開業2年10ヵ月目(2024年6月時点)で日々絶賛奮闘中。
事務所HP:https://ai-mari.com/

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