後藤元哉
(愛知学院大学商学部4年)
<受験情報>
・合格科目:2022年度簿記論・財務諸表論・国税徴収法、2023年度法人税法・消費税法。受験回数は全科目1回
・学習スタイル:簿・財は1月から大原の通学講座(初学者短期合格コース)、国徴は3月から大原の通信講座(初学者短期合格コース(1月開講)を受講。法人税法、消費税法は9月から大原の通学講座(初学者一発合格コース)を受講。
友人の誘いでなんとなく始めた簿記3級から税理士試験へ
私が大学に入学したのは2020年4月。
ちょうど新型コロナウイルスの影響で、授業はすべてオンライン。サークル活動もなく退屈な大学生活でした。
そんな中、オンライン授業でできた友人に日商簿記3級を受けようと誘われ、なんとなく勉強を始めました。
それから簿記の勉強に夢中になり、2021年の11月に日商簿記1級を取得。その頃には、税理士や公認会計士のような会計の専門職に就きたいと考えるようになりました。
会計の専門職の中でも税理士を選んだ理由は、税理士は高齢化が進んでおり、若手が参入すれば活躍のチャンスが大きいと感じたからです。
勉強への向き合い方と勉強時間
アウトプットの大切さ-的外れな解答を書いても、それは記憶に残るチャンス
勉強する上で常に意識していたことがあります。それは、間違えを恐れずアウトプットすることです。
税理士試験の勉強では、毎週のミニテスト、毎月の確認テスト、模擬試験、過去問など、アウトプットする機会が多くあります。そのアウトプットの際に、わからなければすぐに答えを見たり、白紙で答案を提出していたりする場合は非常にもったいないです。
私の体験談ですが、間違えた問題と必死で考えた問題は解答を見たときに印象に残りやすかったです。特に、自分の解答が的外れであればあるほど、強く印象に残ります。
間違えることは恥ずかしいかもしれませんが、わからない問題でも必死に考えて何かアウトプットしましょう。間違えた分だけ実力がついていきます。
勉強時間の目安-移動時間で理論暗記
勉強時間は正確に測っていたわけではないので、おおよその時間です。机に座って勉強する時間は講義を受講している時間も含みます。
休日も関係なく予備校か大学に毎日通学していたので、その移動時間は理論暗記に充てていました。
・9月~4月:移動時間(理論暗記)3時間、机に座って(講義の復習、問題演習など)4時間
・5月~:移動時間(理論暗記)3時間、机に座って(過去問、模試の解き直し、テキストの読み込み、問題演習など)6時間
理論暗記は「覚える」→「定着させる」を繰り返す
理論は講義で学習したもののみを暗記の対象としていました。暗記の前提として、テキストの解説は事前に読んでおいて、意味は理解できているものとします。
理論暗記は大きく「新しい理論を覚える」ことと、「覚えた理論を定着させる」ことの2つの作業に分けて行っていました。
新しい理論を覚える-ひたすら音読!
まずは覚えていない新しい理論を暗記する作業です。
私は、ひたすら音読して覚えていました。覚えられたと思ったら理論を紙に書くか、暗唱したものを録音して、しっかり覚えられているかを確認していました。
自分では覚えられていると思っても、正しくアウトプットできなければ意味がありません。アウトプットは絶対に必要です。これは正直気合で乗り切るしかありません。
覚えた理論を定着させる-ひたすら回す!
次に覚えた理論を定着させる作業です。私は、何も見ずに暗唱して、その後に該当箇所の理論を黙読して正確に覚えているかの確認を1題ずつ行っていました。
この作業は、慣れてくると1題を5分程度で確認することができます。私は片道1時間30分かけて通学していたので、通学時間だけで1日30題ほど回していました。1日30題も回していると、回転速度が忘却速度を上回るので、私は一度覚えた理論は忘れたことがありません。
これを見て「自分には絶対できない…」と思った方もいるでしょう。私の友人にも同じような反応をされました。そのような場合でも暗唱をする“努力”と回転数を上げる“努力”は必要です。
理論は何回も触れて、何回も思い出そうとすることで定着していきます。
直前期(5月頃)までは予備校任せでOK
税理士試験の勉強は、基礎期などと言われる9月から5月と、直前期と言われる5月から本試験までで、大きく異なります。
直前期に各予備校で始まる模擬試験は、自分の弱点を理解し、時間配分や問題の取捨選択などのテクニックを身に着ける場です。その模擬試験を有意義に活用するためには、それまでにしっかりとした知識を身につけておく必要があります。
そのために直前期までにやるべきことは、なんだと思いますか? それは、単刀直入に言うと予備校のカリキュラムに従うことです。予備校のカリキュラムは超優秀です。それに従って勉強すれば、合格に十分な実力は身につきます。
参考までに、直前期までに目指すレベルとして、私は月に1回行われる確認テストで満点が取れるように取り組んでいました。ただし初見で満点は難しいので、解き直しも含めて満点が取れるレベルになれば大丈夫です。
私はそのレベルに達するまで、テキスト・問題集ともに最低3周は繰り返しました。
直前期にはひと工夫した勉強法で差をつける
直前期にやっておくべきこととして、模試の解き直し、過去問演習、計算の総合問題、理論暗記の題数を増やす、といったことがよく言われています。
これらのことは当然重要で、多くの受験生が実践していると思います。そのため、ここではあまり受験生がやっていないことで、個人的にやってよかったことを2つご紹介します。
1日1題の事例問題対策で苦手を得意に
税理士試験の理論問題は、条文のベタ書きと事例問題に分けられます。ベタ書きについては、合格レベルの受験生であれば完璧に書けるので差が付きません。
そこで、周りの受験生と差をつけるために、事例問題の対策をしておく必要があります。
やり方は簡単で、過去問や模試で出た事例問題を毎日解くだけ。ポイントは、紙に書いて練習することです。初めは何を書いたらよいのかわからなかったり、的外れなことを書いたりすると思います。
それでも毎日継続すると、高得点を取るための解答の作り方や、問題文から論点を見極める力がついてきます。最終的には、「答えを暗記してしまった」くらいが理想です。
事例問題は多くの受験生が苦手としていますし、合格レベルの受験生でも減点されていることも多いので、事例問題を得意分野にすればかなり有利になります。
全論点をフォローする「コスパ最強」の意外な勉強
直前期に私がオススメしたいのは、これまでのテキストをすべて読むことです。
この時期になると、テキストの内容はおおむね理解している受験生が多いため、意外と盲点になっていると思います。
この方法のメリットは、本試験にすべての論点を満遍なく持っていくためのコスパがよいということです。
というのも、総合問題ではすべての論点に触れることができませんし、個別問題をすべて回すと時間がかかりすぎます。また、問題演習ばかりやっていると答えを出すことがゴールになり、趣旨や背景を考えなくなります。
その点、テキストの読込みでは全範囲を満遍なく最速で復習でき、本試験の慣れない形式の問題への対応力も上がります。
私が受験した法人税法を例にすると、計算テキストが4冊、理論テキストが1冊、直前対策テキストが2冊ありました。これらを1ヵ月ですべて読んで、直前期の3ヵ月で3周しました。
「そんなに速く読めないよ…」と思った方も、安心してください。直前期まで勉強しているのであれば、テキストを読むスピードは想像以上に速くなっています。
Xの受験生を仮想ライバルにモチベーション維持
税理士試験は競争試験で、ライバルに勝たなければなりません。ライバルの勉強量を知ることで危機感を持ったり、合格に必要な努力量も見えてきたりします。
そのため、ライバルの勉強量を知ることは、モチベーションを保つことにもつながります。
でも、「近くにはライバルがいないな…」と思った方もいるでしょう。実は私も予備校では一言も喋らずに帰るタイプだったので、身近にライバルはいませんでした。
そんな方におすすめしたいのがX(旧Twitter)です。Xの受験生はとにかくレベルが高いです。どれくらいレベルが高いのかというと、模試の結果は3人に1人くらいが上位10%以内で、体感7割くらいの人が合格しています。嘘だと思った人は、実際に確かめてみてください。
私自身Xでそのような受験生を多く見て刺激を受けていたので、常に高いモチベーションで勉強ができていました。
おわりに-受験生へのメッセージ
最終的に合格を決めるものは「自信」だと思います。
1年目に受験した国税徴収法は、3月から勉強を始めたこともあり、過去問では一度も合格点を超えたことがなく、模試の成績も受験した科目の中では最も悪かったです。
それでも合格する自信を持ち、前日まであきらめずに勉強した結果、本試験では100%の力を出し切って合格することができました。
この合格体験記を読んでいる方の中には、思うような成績が取れていない方もいると思いますが、合格する自信は持ち続けてください。
合格する自信を持っていると、日々の勉強に対して前向きに取り組めるようになり、最後まで諦めずに勉強を続けられるようになります。
最後に、皆様の合格を心からお祈りします。
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