わたしの独立開業日誌 #社労士・砥上聡史 


【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

「尾崎豊」の言葉を座右の銘にして

はじめまして。東京都渋谷区で開業しています社会保険労務士の砥上聡史と申します。

私が憧れる尾崎豊さんが残した言葉があります。

「人ひとりが幸せになるか、不幸になるかは、そばにいる人のちょっとした優しい言葉だったりすると思うんだ」

その想いを胸にお客様に尽くすことを考え日々業務に励んでいます。

プロフィール写真

ダラダラした毎日からの脱却のため、社労士試験に挑戦

22歳、新卒で入社した会社は毎日7:30から働き、23:00まで拘束される職場でした。離職率は1年で80%程度と高く、私も約4年間の勤務を経て転職しました。

結果、劇的に環境が変わりました。残業がなく、毎日17:30に定時帰宅ができるようになります。
ずっと23:00まで拘束されていたのに、17:30以降は時間を自由に使えるという生活になり、毎日何をして過ごせばいいのかわかりませんでした。
そして、毎日パチンコ通いをするという自堕落な生活に陥ります。

あるとき「これじゃダメだ」と思い、心機一転、何らかの資格取得に挑戦することを決意しました。
ただ、どんな資格があるのか、何の資格を取得したらいいのかわかりません。
仕事を続けながら無理なく取れる資格を検討し、たまたま社会保険労務士が候補になりました。
どんな資格かも詳しく知らないところからのスタートでしたが、勉強を始めると「世の中ってこういう風に成り立っているのか!」と、どんどん興味が出てくる分野でした。

難病に罹患した先輩の助言を得て開業へ

社労士試験には、2016年(当時36歳)に合格できました。ただ、その後は特に何もすることがなく、試験合格が目的だった私は、また自堕落な生活に逆戻りしていました。

資格取得から5年経過した2020年(当時40歳)、会社の先輩が「多発性骨髄腫」という病気になっていることを知ります。

「自分はやりたいと思うことができなくなってしまった、お前は人生後悔しないよう、やりたいことをやれ」

先輩から、そう助言されました。自分の気持ちが劇的に変わった瞬間でした。

とはいえ、安定した立場を捨てての開業は怖さしかなく、多くの社労士の先生方に相談しました。
面識がない社労士の先生にテレアポして話を聞きに行ったりもしました。おそらく数十人の先生とお話しましたが、誰一人開業に反対する方はいませんでした。そこで開業への気持ちが固まりました。

お金も人脈も経験もない、ゼロからのスタートでやったこと

開業を決意したものの、お金も人脈も経験もありません。「丸腰では戦えない」と思い、少しお金をかけて戦闘力を上げることにしました。

弁護士との顧問契約

「お客様にご迷惑をかけてはいけない」という気持ちが強く、社労士分野以外でもできる限り対応できるよう弁護士と顧問契約をしました。

事務所案内等の作成

「ちゃんとした事務所だ」と思われたい気持ちがあり、デザイナーに頼んで事務所ロゴ・事務所案内・チラシを作成しました。

社労士有料オンラインサロンへの加入

試験に合格したとはいえ実務は全く違います。自分が行き詰ったときに相談できる仲間が欲しく、有料のオンラインサロンに加入しました。

そのほか、開業時に取り組んだことは以下のようなことです。

・開業の挨拶状を作った
・アポイントを取り、知人への挨拶回りをした
・連携できそうな他士業をネット検索しテレアポして会いに行った
・経営者団体にいくつか加入した
・ホームページを作った
・事務所案内、チラシ、名刺を作った
・相談できる人(同業者)に挨拶に行った
・お誘いは断らなかった

初めて「自分の看板」で受任した仕事に感動!

こうしているうちに、知り合いを伝って1件目の仕事の話がありました。開業2ヵ月目のことです。
会社員時代は勤務している会社の看板で仕事をしてきたので、自分が看板となり初めて行った業務です。自分の中で意味合いが全く違います。
この初めての仕事は自分にとってかけがえのない財産になりました。

これから

開業して約1年半が経過し、次第にお客様が増えてきました。
10月には事務所拡大のため現事務所から移転する予定です。

私は目標として「日本一お客様に尽くせる事務所になる」ことを掲げています。
事務所運営には売上が必要ですが、それ以上に考えるのは自分の存在がお客様のプラスになること。

社会保険労務士の仕事には答えが無いことがたくさんあります。

お客様に寄り添い、そのお客様に合った対応・ご提案をすることで、より働きやすい職場づくりに貢献していきたいと思います。

<プロフィール>
砥上 聡史 ( とがみ・さとし)
アイソトープ社会保険労務士事務所代表

アイソトープ(isotope)は同位体を意味し、ギリシア語のisos(同じ)とtopos(場所)に由来。経営者様・従業員の方を問わず、同じ場所で働く仲間全員が幸せになれるよう、働きやすい職場づくりのお手伝いができるよう、日々業務に真摯に向き合っている。
URL: https://www.isotope-sr.com

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